道徳ミニ講座

[これからの道徳授業]

教師が子供を道徳の授業に対して夢中にさせるには,道徳の授業を魅力的ものにしていく必要が
あります。そのためには,教材(資料)開発・改作が欠かせません。子供の心を揺さぶることができ
ないと思われる資料を使って授業をしても,結果はおのずと見えてきます。そのようなことを繰り返し
ていると道徳嫌いな子供・教師が増やすだけです。
ある30代半ばの教師は,次のようなことを言っていました。
「昨今の社会情勢や子供の様子を考えたならば,道徳の授業を大切に実施することは重々理解して
 います。しかし,子供たちがなかなかな道徳の授業にのってきません。私もつい,他の行事が入って
 くれば,すぐに道徳をつぶしてしまうことがありました。また,安易に道徳のテレビを見せることも多々
 ありました。時には,ドッジボールなどのレクリエーションもしたことがありました。お恥ずかしいことです。」

教師が,「よっしゃ,この資料使って子供の心をふさぶってやろう(どぎもをぬいてやろう)」と思えるような
資料手元にあるならば,道徳の時間が待ちどうしてく仕方がなくなるはずです。これは,子供にとっても
同じことが言えます。

資料を開発する際のいくつかのポイントを紹介します。

〔ポイント1〕
・物語資料に頼らないこと。
 物語資料は,どうしても国語的な授業に陥りやすい傾向があります。また,読解力の低い子供にとっ
 ても,やはり億劫になるおそれがあり ます。そこで,数枚の写真やビデオ,ゲーム形式などを用いた
 道徳授業をすることにしました。子供たちも私の授業に対して,「今日は 何をするのかなあ」という期
 待感をもっていたようです。授業中,お客さんになっている子供は,いなくなりました。

〔ポイント2〕
・固定した指導過程にとらわれないこと。
 「導入や展開,終末などは,こうあるべきだ」という考えには,とらわれないようにしました。
 文部省が出している学習指導要領解説(道徳編)にも,「指導過程を固定しないで多様な・・・。」とい
 う文言もあったと思います。
 基本的な指導過程を学ぶことも大切です。しかし,それにばかり縛られていては,限界があると思い
 ます。
 料理に例えれば分かりると思います。
 玉子料理は,目玉焼きをすべきだ。といっていれば,きっと卵が嫌いになるに違いありません。オム
 レツもあれば,スクランブルエッグ,温泉卵など,さまざまなバリエーションがあるからこそ,卵料理が
 嫌いにならないのだと思います。

〔ポイント3〕
・資料自身に力があるものを使うこと。
 つまらない資料使っても,限界があります。
 多くの教師がやってみたくなるような気がする資料を開発することが大切です。
 そのような資料を集めた著書
 『今を生きる人々に学ぶ』(大江浩光著,深澤久解説,明治図書)
 を紹介します。
 (1)「生きる」をテーマにした7本の道徳自作資料がつまっています。
 (2)他の教育活動と連動しています。(総合的な学習の時間とも関連)
 (3)研究授業で使える「学習指導案付き」の自作資料も掲載しています。
 (4)「子供による授業評価の事実」を示しています。
 (5)「発問」「指示」「助言」「ワークシート」などが掲載しています。
    (すぐに授業で使えます。) 
詳しくは,下記のホームページ掲載しております。
・ホームページ『道徳自作資料の部屋』
    http://www.synapse.ne.jp/ooe/

 このような資料活用することにより,教師や子供も道徳の授業に対する意識の変革ができたと思
います。
 『今を生きる人々に学ぶ』を読み,追試した先生のお手紙を紹介します。
・この資料(著書の中の資料)には,私自身期待していた。なぜならこの資料を読んだ時,私自身が
 震え,背筋が凍るような思いをしたからである。
 この時の気持ちを子供たちに伝えたいと心から感じた。
 期待をもちながら授業をすると,子供たちの質問・意見の多さにはびっくりした。関心が高かったと
 いうことなのだろう。
 (途中省略)
 私自身道徳の授業に関して考えさせられたことは,道徳を生かすも殺すも資料次第だということが
 よく分かった。今後,このような資料か多く世に出されれば,道徳を軽視する教師は減るだろうと思
 った。

 全国の先生方,是非
 『今を生きる人々に学ぶ』(大江浩光著,明治図書)
 を,追試してみてください。
 先生自身,きっと道徳に魅力を感じるようになると思います。
 なぜなら,今までとは違った子供たちの反応が返ってくるからです。



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