夢を形にする特別支援教育用「大江メソッド」
                 ―どの子も幸せに生きられますようにー
                                    押谷 由夫
                                (元文部科学省教科調査官
                                 武庫川女子大学教授、
                                日本道徳教育学会名誉教授)

 大江先生の精力的なご活動に、いつも驚嘆させられます。どうしてこのような活動がで
きるのでしょうか。強固な信念と気迫にある、と確信します。強固な信念とは、一人一人
の子どもたちへのリスペクトであり、責任観です。具体的には、どの子もかけがえのない
存在であることへのリスペクトであり、一人一人への絶対的信頼であり、「どの子も幸せに
生きられますように」という願いです。そのことを保障するのが教育であり、責任をもっ
て実現していくのが教師であるという信念です。
そして、その信念を、日々の実践をとおして具体化し、さらに検証をとおしてよりよい
方法を磨き続けるという気迫です。
その信念と気迫を具体化されているのが、道徳教育と特別支援教育です。この2 つは、
これからの教育の根幹に位置付きます。道徳教育は、「かけがえのないきみ、どう生きる」
と一人一人に問いかけ、自分らしい生き方を追い求められるように支援していくことです。
その理念の具体化が最も問われるのが特別支援教育です。
すでに大江先生は、「特別の教科 道徳」を要とした道徳教育については、「大江方式」
と言える指導方法を確立し、さらに磨きをかけておられます。
特別支援教育においても「大江メソッド」を提案され、より精緻化を図られています。
特別支援教育において大切なのは、日常生活を自立的に行えることです。大江先生は読
み書き算に目を付けられます。そして特に、算に関わって買い物計算に注目し、その具体
的指導計画をパッケージ化されました。特別支援教育で求められる「個別の指導計画」「個
別の教育支援計画」を具体化できるように、習得状況を記号や数値、グラフ、文章で管理
し、実態を把握しながら、大江先生が開発された「たす・ひく」アプリともリンクして、
複数の先生方や保護者とも連携して取り組むことができます。

さらに、大きな特徴は、大江先生が開発されている「ひらがな完全習得ワーク」や多く
の道徳教育やアプリなども関連づけながら活用できることです。そのことで、買い物計算
を身につけることが、自分の生活を豊かにし、また自分の人生をも拓いてくれるという夢
をもたせることができるのです。大江先生の「夢」が「形」となった本実践が、一人一人の
子どもたちの幸せへとつながっていきますことを祈ります。