〔鹿児島の波戸裕幸先生の実践例]

鹿児島の波戸裕幸先生は,私が尊敬する実践家の一人です。
 今回は,波戸裕幸先生のご好意で,実践例を掲載させていただきました。
 

授業に遅れてくる子どもの対応
チャイムがなると同時に、黒板に5問か10問の問題を書き、ノートに解かせる。
すぐに答え合わせをする。(待たない)
授業終了2分前にノートチェックをする。先の問題が解いていないと解かせる。
(遅い子どもは休み時間までに食い込むのである)
教師が叱らずとも痛い思いをさせる。

体育の始まりが騒然としている場合の対応
教師が来る前に次のことをしておかないと、体育の授業を別な授業と入れ替える。
・校庭2周走る
・準備体操
・早く終わったら、座って待っておく。
できていなければ本当に入れ替える。
だいたい1回やれば、次は2度としなくなる。
これも教師は叱らない。ただ約束したことをやるのみ。

朝の会、帰りの会(基本的には帰りの会はしないが)を自分たちで進められない場合の対応
先生の話が始まるまで教室に入らない。(特に帰りの会の時にする。子どもは早く帰
りたいのだから)
日直が
「先生の話の時間になりました」
と言いに来てから教室に入る。
教師は叱らなくてもすむのだ。

家庭学習をいい加減にやってくる子どもへの対応
次のように言う。
「明日、このプリントと全く同じテストをします。(漢字・計算が多い)」
「今日家でやってらしゃい。」
しない子どもがいるのですね。
基本的には帰りの会はしない。(先生の話だけである)
この時間に、テストをする。
家でやってきた子どもは早く終わる。
やってこなかった子どもは練習してできるまで残す。(長くとも10分程度で終わるが)
このように宿題をきちんとした子どもが報われるシステムをつくるのだ。
何も注意・指導する必要はない。
これでいいのである。

もう一つ夏休みぼけを取り戻す指導
1 基本的な学習技能を取り戻す
 その一例
 授業が始まる早い内にノートをとらせるようにする。
 「書けた人は持ってきなさい。」と言って、ノートチェックをする。
ここで基本的なことをやっているかを確認する。

2 自分で考え行動させる
 久しぶりだと指示まちが多い。
 とにかく子どもたちに考えさせる。
 自分たちで考え行動させる。教師は、子どもたちだけではどうしてもできない部
分、子どもたちから助けを求められた部分だけを指導する。
(1) ある課題を与えて、自分たちでさせてみる。
例えば、
「友だちと話し合って、今よりももっと教室をきれいにしてごらんなさい。時間は2
0分です」
活動を反省させる。(何がよくて、何がわるかったか)
解決策考えさせる。
そして、させてみる。
さらに、反省させる。(うまくできなかった。何が悪かったのか。)
ここまで来て、ようやく教師の指導が入る。
そして、またもう一度させてみる。
最後に、よく考えた子ども、よく活動した子どもを誉める。絶対に叱らない。
 こういう機会を2学期はたくさん仕組むようにする。

(2) なるべく教師は言わない。
教師は黙っている。(黙っている教師ほど怖いものはない)説教もしない。
1日の進行は全て日直にまかせる。
先生の話も日直から声がかかるまではしない。それまでは仕事をしておけばよい。
話を聞く態度ができていなければ、絶対に話はしない。また席に帰る。
話を聞く態度ができていない子どもを叱らない。叱っても直らない。話をしっかりと
 聞いている子どもを大いにほめる。自分の気持ちもいい。
こちらの方が効果的だ。

とにかく基本はこどもを叱らない、よけいな説教もしないということです。
子どもが悪さをしたら、「何が悪いことなのか」「これから何をきをつけてほしい
か」をクラスの子どもたちに発表をさせればいいのです。
(教師の代わりに言わせればいいのです。)
ここでもほめます。
教師は、本人に
「今、言ったことを守れますか。」
教師は、みんなに
「今のAくんの言ったことを信用できる人手をあげて」
最後に本人に
「Aくん、みんなを裏切ったらいけませんよ。」
と言えばいいのです。

とにかく説教だけはやめましょう。
自分自身がかっこわるくなるだけです。


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