クローン病の発病


 私は子供時代から、あまり体が強いほうではなくて、かかりつけのお医者さんに度々お世話になっていた。確かに中学の頃は貧弱で痩せていたので、周りのいじめっ子からいつものように、いじめられていたのだが、高校時代にはそれもなくなり、ただ教室の隅で特に友達もなく一人で物思いにふけっていたので、当事流行ってた言葉で根暗と言われていた。そのように本人は至ってマイペースで一人でいることが多かったのだが、大病にもかかる事もなくなって大分子供時代よりも体力はついていたはずだった。
 やがて、九州の某KS大学に入り、精神的にも大変明るくなり、友達も増え、大変楽しかったものだ。ただ、やはり二十歳そこそこの初めての親から離れた生活で相当な油断があったに違いない。若さと当事の友達つきあいからの楽しさから度々夜更かしし、食生活もかなり偏っていた。クローン病はそんな私の若さゆえの無謀さの影にひたひたと忍び寄っていたに違いない。
 大学も3年目のある時期からそのクローン病の前兆は当事ははっきりとわからなかったが、今思うと確実に現れていた。
 原因不明の高熱に寝込む日が増えてきたのである。時には体を持ち上げるとこも苦痛に思えたのである。
 そして、クローン病はある日突然牙をむいてきた。あれは大学3年の後期試験の真っ最中、突然大下血したのである。当事下宿のトイレは昔ながらの汲み取りトイレだったのだが、驚き立ち上がろうとしたら、目の前が真っ白になり、意識を一瞬失って、気が付いたら片足を便器の中に突っ込んでいたのである。
 なんとか、はってトイレから出たのだが、すごい大貧血状態で本気で死ぬかと思った事件だった。翌日は試験科目があったので、若さと気力で頭がガンガンした状態でなんとか試験を受けた、苦いそして絶対忘れられない記憶である。
 思えば、それが私にクローン病が最初に牙をむいた瞬間だったのだと後から理解している。そのとき、病院のいかなくて、回復したのは奇跡的であり、今考えたら、なんて無茶なことをしたんだろうと思ってしまう。おそらく、病院にいけば即入院だったに違いない。
 そういうことがあったに関わらずその後、特に何事もなく学生時代の4年間が終わり、やがて私も某会社に就職したのである。(実はそこは現在ダイエーホークスのヘルメットについてるスポンサーになってて驚いた〜)
 その会社では関西で営業をしていたのだが、やはり営業という仕事がら、いろんな店で外食をする機会が多く、毎日のように外食をしていたのだが、ある時期からおいしそうな料理を目の前にしても、全く食欲がでなくて、自然に食が細くなり体力的に正常な状態ではないことに気が付き始めていた。それにあわせて営業という仕事から来る大変大きなストレスで精神的にも肉体的にも限界が来ていたのがわかったので、結局一年ほどでその会社は辞職し、故郷で再就職することになったのである。
 再就職はどの町にも支店が必ずあるJ*だったのだが、やはりなにかお腹の調子がすぐれず下痢をすることが多かったので、その段階でようやく地元の市立病院で検査を受けた。そこで、はじめてクローン病という聞きなれない病気の名前を主治医の先生から告げられたのである。