炎症性腸疾患と行政サービス
(炎症性腸疾患に診断されたら=特定疾患申請手続きの流れ)


 平成15年10月1日より、新しい特定疾患医療制度が施行されます。これまでの一律公費定額自己負担を見直し、所得と治療状況に応じた段階的な一部自己負担制度へ再構築されています。尚、詳しい情報・内容については厚生労働省難病情報センターのホームページでご確認ください。

 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)は原因が不明で根治的な治療方法が完全には確立していないので、患者はどうしても炎症性腸疾患治療との長いつきあいが必要となり、経済的にも相当負担を強いられるので、多くの患者は国の社会保障制度の一つである特定疾患医療給付による医療補助を受けたほうがいいようです。
 
 ※患者の自己負担分は平成15年10月1日より別表1のとおりとなります。 
 ※軽快者の場合は医療補助の対象外になり、一般の疾病と同等の扱いになります。
 ※重症申請を行い認められますと、医療費の自己負担はありません。
  (確認書類は不要です。)
 ※低所得者(市長村民税非課税)は、自己負担はありません。
 ※実施主体が、都道府県ですので各都道府県で提出書類の多少の相違があります。
 ※訪問看護、院外処方による薬剤費については、全額公費負担です。
   (登録者証・受給者証をもらった方)


特定疾患の申請は各都道府県に次のような手続きをしなければなりません。
1.特定疾患用の診断書申請書の準備
(これらは患者が住民票登録をしている区域の保健所でいただくか、病院に用意されています。)
↓
2.診断書・臨床調査個人票への記入
  (診断結果を担当医師が記入)
↓
3.申請書への記入(本人か保護者)
↓
4.保健所(保険センター)への特定疾患の申請
  (申請窓口)
  • 診断書・臨床調査個人票(医師が作成したもの)
  • 申請書
  • 住民票謄本
  • 印鑑
  • 保険証
  • 生計中心者の所得税に関する状況を確認することができる書類※別表2


※更新時の書類

  • 特定疾患医療受給期間更新申請書
  • 特定疾患治療意見書(医師が作成したもの)
  • 医師の意見書(医師が作成したもの:主治医と相談のうえ、主治医が治療意見書のほかに追加所見が必要とした場合のみ提出)
  • 臨床調査個人票
  • 特定疾患治療意見書の研究理由についての同意書
  • 特定疾患医療受給者証
  • 世帯全員を確認するための書類(住民票謄本、国民健康保険証の写し、社会保険証の写しのいずれか)
  • 生計中心者の所得税に関する状況を確認することができる書類 ※別表2
↓
5.登録者証・受給者証の交付
(書類審査の終了後、1〜2ヶ月ほどで交付)
  1. 該当疾患と認められない場合(不認定)
  2. 軽快者の場合(登録者証
  3. 所得に応じた負担の場合
    (各都道府県により色が異なるようです。白や薄青等)
  4. 全額公費負担の場合
    (各都道府県により色が異なるようです。ピンクや薄黄等)


※治療の結果症状が改善し、経過観察等一定の通院管理下で著しい制限を受けることなく就労などを含む日常生活を営むと判断される対象患者に該当した場合は医療補助の対象外になり(=軽快者※別表3)、一般の疾病と同等の扱いになります。(ただし、急に入院とかになったりした場合は各都道府県に連絡をしてください。軽快者からはずれて公費負担の対象となります。)

↓
6.医療費補助の開始時期の確認
(医療費補助の開始時期は各都道府県で異なるため保健所で確認。)
↓
7.受給者証の更新
(受給者証は有効期限一年(10月1日から9月30日)であるので、満了二ヶ月前までに前述の手続きを繰り返す。)



申請窓口にて申請書類が受理された後、次のような手順で審査され、受給者証の交付が行われます。
申請窓口 保健所(保健センター)
 ↓
審査(書類の審査) 各都道府県 特定疾患関連部署
↓
軽快者  通常の治療が必要な患者  重症者
↓
病状
悪化
↓
↓
医療費助成の対象外 所得に応じて段階的 な自己負担限度額 医療費全額公的負担

===補足===

自己負担限度額表(別表1)TOPへ
階 層 区 分
対象者別の一部自己負担の月額限度額
入院
外来等
生計中心者が患者本人の場合
A
生計中心者の市町村民税が非課税の場合
0円
0円
0円
B
生計中心者の前年の所得税が非課税の場合
4,500円
2,250円
対象患者が生計中心者であるときは、左欄により算出した額の1/2に該当する額をもって自己負担限度額とする。
C
生計中心者の前年の所得税課税年額が10,000円以下の場合
6,900円
3,450円
D
生計中心者の前年の所得税課税年額が10,001円以上30,000円以下の場合
8,500円
4,250円
E
生計中心者の前年の所得税課税年額が30,001円以上80,000円以下の場合
11,000円
5,500円
F
生計中心者の前年の所得税課税年額が80,001円以上140,000円以下の場合
18,700円
9,350円
G
生計中心者の前年の所得税課税年額が140,001円以上の場合
23,100円
11,550円

生計中心者とは(別表2)
※生計中心者とは次のような方を指します。
  1. 自らの意思により生計を維持する患者本人
  2. 医療保険や税制において患者を扶養する者
生計中心者の所得税区分を確認する書類
区分
所得税
必要な所得税額証明書
発行先等
確定申告をしている方(自分で事業をしている方等)
  • 確定申告の控(1面)又はそのコピー
税務署
  • 確定申告の控(1面)又はそのコピー
  • 住民票の課税証明書
税務署
市町村の税務課
確定申告をしていない方(会社に勤務の方等)
  • 年末調整が済んでいる源泉徴収票又はそのコピー
勤務先
  • 年末調整が済んでいる源泉徴収票又はそのコピー
  • 住民税の課税証明書
勤務先
市町村の税務課
軽快者とは(別表3)
  • 日常生活に特段の支障がなく就労等も可能な状態です。