Quartey's BAZOOKA attack



Quartey's BAZOOKA attack



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Quartey's BAZOOKA attack



Quartey's BAZOOKA attack



Quartey's BAZOOKA attack

アイク”BAZOOKA”クォーティー

一説によれば、世界で最も層が厚いと言われるウェルター級。
そのウェルター級はこの数年、まれにみる程の密度を見せています。
六階級制覇を目指すゴールデンボーイ・オスカー・デラホーヤ、プエルトリコの天才パンチャー・フェリックス・トリニダード、メジャータイトルと戦績にこそ恵まれないモノの一級品の実力を持つ、メキシコの不気味なカウンターパンチャー・ホセ・ルイス・ロペス、年齢による衰えが囁かれるものの”事実上無敗”(その対戦相手の中にはデラホーヤやチャベスもいます)とも言われるディフェンスマスター・パーネル・ウィテカ・・・

彼らと共に、ウェルターを他の階級とは別の高みに押し上げているのが、今回ご紹介するアイク・クォーティーです。

クォーティーはアフリカのガーナ出身。兄弟の中にはボクシングでローマオリンピック(間違いではありません。クォーティーはなんと26人の兄がいるのです。)に出場した兄もいるそうで、ボクシングの才能はその環境の中で開花したのかも知れません。


これがクォーティー。これがまた強いんです。

クォーティーがどんなボクサーかと聞かれれば答えは至って単純で、とにかく「強い」の一言です。
スピードがある、パワーがある。攻撃に転ずれば、有無を言わさず一気に叩きつぶす。
このコーナーでボクサーを紹介する際、どうすれば上手くその選手から伝わってくる「強さ」のイメージを伝えられるかとか、(これでも)いろいろ考えてはいるんですが、クォーティーの場合はあまりその必要ないみたいです。
「強い」という言葉の言わんするところを、実に分かり易く、このアフリカ(アフリカって言う野性味溢れるイメージも、また分かり易いです)出身のボクサーは表現してくれます。

分かり易い強さを誇るクォーティーは、ボクシングもまた分かり易いです。
ガッチリと構えたガードを高く上げ、ジリ、ジリ、ジリと接近。 相手のどんなパンチも、このガードで全て跳ね返します。
そうして今度はジャブをズシ、ズシ、ズシ。速く、重く、正確なこのジャブは、圧倒的なパワーで相手の体力を削っていきます。

 
ガッチリとした鉄のガード

絶対に崩せない鉄のガードと、防ぎきれないほど重いジャブ(あくまでもジャブに過ぎません)。それがジリジリと距離を詰め、まるで壁が迫ってくるような恐怖。
クォーティーの体から溢れ出すパワーに圧倒されてしまった相手は、そのプレッシャー(ガードとジャブだけの!)に数Rさらされるだけでヘロヘロにされていまいます。

そして相手が根を上げ、機が熟したと見るや一気に襲いかかります。右、右、右。右が当たる打ちはとにかく右。

あれほどガッチリと構えていたガードを放り投げ、「当たるなら、右が左でもどっちでも」とばかりに、一転して怒濤のように打ちまくります。

その怒濤の凄まじさは、当時無敵を誇っていたハズの王者、C・エスパーニャをロープに押しつけ、メッタ打ちにしてなぎ倒した王座奪取戦、現在S・ライト級で王座に君臨しているビンス・フィリップス(彼が倒したコンスタンチン・ツーは、それまで”現役最強”の一人に数えられていた王者でした)を3Rでボロボロにした4度目の防衛戦で伺い知ることができます。(左の長々とした連続写真は、そのフィリップスをKOしたときのモノです)

クォーティーがシンプル極まりない(つまり基本だけの)スタイルで、高度な技巧を操る世界のトップボクサー達を、こうまで圧倒的に蹴散らす事ができるのは彼の持つケタ外れの身体能力のおかげでしょう。


鉄壁のガードからジャブ・ジャブ・ジャブ!これが”シンプルで強い”クォーティーのスタイル

最初に”(クォーティーは)相手のどんなパンチも、このガードで全て跳ね返し・・・”と書きましたが、実際にコレを行うのは容易なことではないそうです。

まず第一に”ガード(またはブロッキング)”というのはただ腕を上げてるだけでは成立しないのだそうです(クォーティーのいる中量級以上になると特に)。
体の全体重を乗せて打ってくるボクサーのパンチは、ただ構えているだけではガードごと殴り倒されてしまうそうです。ガードする瞬間、グッと力を入れてパンチを押し返さないと防ぎきれないと。そして第二に、そうやってガードばかりしていると、今度は腕が痺れてガードできなくなってしまうそうです。
クォーティーには相手のパンチをカンタンに押し返しせるだけの筋力と、その高い出力を長時間キープできる筋持久力、そして相手のパンチに耐え続けられるだけの頑健な耐久力が備わっているから”全てのパンチを跳ね返す”事ができるのでしょう。

世界レベルの攻撃を苦もなく跳ね返し続けられる程の、他のボクサーとは比較にならないほどの圧倒的な体力差が、そのままクォーティーの強さなのかも知れません。
クォーティー「分かり易い強さ」とはそういう事なのでしょう。

近年まれにみる才能がひしめき合うウェルター。クォーティーにとっても我々ボクシングファンにとっても待ちきれないスーパーファイトが目前に迫っています。
オスカー・デラホーヤvsアイク・クォーティー
クォーティーの次なる相手は、抜群の人気を誇るゴールデン・ボーイです。

誰に勝とうと一向にアンチ派の批判を免れることのできないデラホーヤは、クォーティーに勝てば自分を認めさせることができる」と燃えていますしクォーティーも最強の称号と大金を一度に稼ぎ得るこのビッグマッチに大乗り気です。
マラリアにかかったり、そのおかげで指名試合ができずにベルトを剥奪されたり、デラホーヤに試合を延期させられたり、その結果一年以上のブランクをつくってしまったりと何かとついていないクォーティーですが、この試合で一気に爆発してほしいモノです。

デラホーヤの狡猾なまでの知性がクォーティーを仕留めるか、クォーティーの地響くようなアフリカン・パワーがデラホーヤを策略ごと制圧するか。
その答えは、あとほんの数日で明らかになります。

※追記
試合はまれにみる激戦の末2−1の判定でデラホーヤの逆転勝利。
しかし、リングサイドではクォーティーの勝利を支持する声が数多く上がってもいました。

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