薩摩焼酎巡礼


      四元酒造(株)

   熊毛郡中種子町田島323
  Tel 09972−7−9015
訪問日   平成15年10月26(日)

ポーズを決めるこだまさん。当初はこれで退散予定だったが。(^_^;)

 芋洗い機と芋切り場。

  中種子町中心部を南側に少し過ぎると国道?沿いに四元酒造が見えた。 一見すると何の工場か解らないのだが、道路沿いの入り口にこんもりと積まれた唐芋から焼酎蔵と認識出来た。
  ここはアポイントを取っておらず、蔵をバックに記念撮影だけでもと思っていたのだが、H女史小売酒販組合の職務権限を発揮し、果敢にも四元睦子社長に掛け合って下さった。 当初は造りで忙しいのでダメかもと弱気であったが、製造担当で前社長のご実弟四元恒三専務が超多忙にも拘わらず快諾下さり、専務に先導されて豊饒の蔵に入ることが出来た。\(^O^)/

  四元専務は「うちは小さな蔵で観る所はないんだけど・・・。」なんて謙遜されていたが、工場はア酒造種子島酒造とは異なり、南薩で見慣れてきた普通の焼酎蔵の大きさで、何とも親近感が持て、漂う空気も何かしら暖かく肌にしっとりと来るようである。

  入り口左手の工場では女性数名が芋洗い及び芋切りに忙しそうに働いていた。 しかしそこは女性同士、色んなおしゃべりもしながら結構楽しそうである。 労働と言うよりは井戸端で家事をやる雰囲気か・・・。(^_^;) 何とも家庭的で良いですね。(^^) 思わず「あたいにもかたっしゃい!(私も仲間に入れて!)と声を掛けそうになった。(*^_^*)


 自動製麹機。

 三角麹棚。
  最初に自動製麹機麹棚を案内下さった。 ここらは所狭しと機械がひしめいている感じだろうか。 自動製麹機の傍の機械を一心不乱に操作している青年は3月の物産展でお会いしたのではと思ったのだが、忙しく立ち振る舞う姿を見て声を掛けるのを躊躇していると、ちょっと目を離した隙にほかの部署に移動されていた。
  

 一次仕込みタンク。半分地中に埋められている。
  造り最中の蔵は斯くも忙しいものかと再認識すると共に、不意の来訪にも拘わらず快く受け入れて下さったご厚情に深謝!

  ステンレス製の一次仕込みタンクは地中に埋められ、地表はコンクリートで舗装されているため、なんとも清潔な整頓された印象を受ける。


 赤米麹の二次醪。



 蒸留機の前で四元専務とH女史のツーショット。

   一次仕込みタンクの左奥、中2階になったところに2次仕込みタンクが整列してた。 二次仕込みの期間は約8日程らしく、1回量一次仕込み420kgの米に対して5倍量の芋を掛けて二次仕込みとするらしい。 この日は赤米麹の二次醪が沸々と活性していた。

  原料芋は「島乃泉」白さつま赤米麹米で仕込む「紅子の詩」コガネセンガンを使用するとのことである。
その他にも種子島紫芋の種子島ゴールドからを使った「紫育ち」もあるが、見学していた時には仕込まれていなかった。

  蒸留機は一次込みタンクの傍にあり、この日の蒸留は既に終わったらしい。 少し残念!(何が?(^^ゞ ) 
  蒸留機から原酒を移送するパイプが天井を縦横に走っており、最初に中継するのがアルコール検定用のステンレスタンクで、ほぼ5日分の蒸留原酒て満タンに満たされた後検定されるとのことである。

  味の恒常性と酒質の安定のため油分は丹念に取り除き、フィルターで濾過し、変わらぬ味を目指しているとのことである。


 打栓ーラベル貼りライン。

  最後に瓶詰め、打栓ラベル貼り行程のラインに案内される。 比較的新しい機械が並びある程度省力化が進んではいるが、何かしら昔ながらの懐かしく肌触りの良い印象は継続している。(^^)

  現在酒屋さんの蔵見学も多く県外からの引き合いが多いとのことで、やはり焼酎ブームを実感されている様子だった。 製品の倉庫には清酒用P箱に入った「紫育ち」「紅子の詩」が積まれていたが、その数が思ったより少ない。

 清酒用P箱に入れられた製品。

 島乃泉新ラベル。
  やはり製造したら即座に県外に発送されていくのだろう。
  これら和紙包装の一升瓶には発砲スチロール製のシートが巻かれ、移送時の和紙包装やラベルの破損を保護するらしい。 包装やラベルが少々痛んだぐらいでも商品価値が下がる市場に、「沢山売れても、一手間が増えて大変なんですよ。(-ー;)」と嘆息されておられた。

  P箱の隣には地元用と思われる二本括りになった「島乃泉」が並び、その壮観に見入っていると・・・、な、なんとラベルが変わっているではないか!(・_・) 伝統的ラベル保護運動(笑)の急先鋒としては座視出来ない問題で(^_^;)、このラベル変更の件で色めき立つと、旧ラベルの版元がすり減ってしまって使えなくなり、ラベルを新調したとのことである。 それと旧来の縦径の小さいラベルでは新しいラベル貼り機を上手く通らないのも一因かも知れない。(同様なことを宇都酒造社長に聞いたような・・・)  「それでも、うちのラベルは風景写真になるのですよ・・・。(*^_^*)」と屈託がない。
  ラベルをよく観察すると千座の岩屋辺りの海岸風景だろうか、南国らしく明るい雰囲気が良く出ており、なかなか秀逸ではないか。(^_^;)

  加世田に帰ってから旧ラベル「島乃泉」を買い占め、プレミアムが付くまでデッドストックしようと目論んだのだが、何処に行っても既に新ラベルの製品ばかりだった。(>_<)


 料飲店用プライベートラベル。

  倉庫の奥には地元の料飲店プライベートラベルの「島乃泉」5合瓶が箱詰めされていた。 恐らくキープ用のボトルになるのだろう。地元の飲み屋で地元の酒のラベルに自分の名前を記して飲む。 何たる至福! 何とも誇らしく美しい光景ではないか!
  加世田の料飲店で「黒○佐」や「島○人」のボトルが席巻している現状に辟易している人間にとっては、地元産の焼酎が斯くも愛されていることに、羨望の念を禁じ得ない。 「加世田んしもちった見習わんこて!(-"-)」




 戦利品を手に事務所の前で集合写真。
  県外の酒販店や消費者から無濾過や新製品を作ったらどうかとの引き合いも多いとのことだが、現在の蔵の生産性の限界と、ブームに便乗して闇雲に突き進むことの危険性を危惧されておられ、当分は現状維持を続けたいと仰っていた。 そして「うちは宣伝が下手じゃっでな〜!」とも呟かれた。
  同じく田舎に住むものとして、都会の嗜好や先行き不透明な熱気だけに踊らされ、地元を軽視したとも受け取れる風潮に危機感を覚えていたのだが、四元専務の飾らず真摯な姿勢に我が意を得たりとの心境になった。 地元という揺るぎない軸足があり、誇れるうんまか焼酎がある。 そしてなにより焼酎造りを愛して止まない純朴な作り手がいる。 四元酒造を見学し薩摩の蔵の土着性はまだまだ失われていないと意を強くした。

  別れ際に、わざわざ出荷前の梱包箱を開け、「紫育ち」「紅子の詩」化粧箱入りをお土産に持たせて下さった。 お忙しい中にお手を煩わしただけなのに、何たる温かいお心遣い! まことに有り難くただただ感謝!m(_'_)m
  
  
   精酎組種子島に遊ぶ−その2
   

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