山田の凱旋門
白金酒造株式会社 姶良郡姶良町脇元1933
Tel 0995−65−2103
ゲットした日 : 平成14年11月13日
1955(昭和30年)年、山田村、帖佐町及び重富村の旧帖佐郷の三町村が対等合併し南北にひょろ長い姶良町が誕生した。旧山田村は北部山岳部ー現在の「県民の森」辺りに位置しており、西は蒲生町、東は溝辺町、横川町に隣接している。
平成15年2月25日の南日本新聞朝刊によると、合併当時の人口は27,024人で、その後鹿児島市のベッドタウンとして人口が急増した現在は43,196人と、過疎に苦しむ県内町村に於いて姶良町は希有なる存在である。 しかしながら旧山田村の人口はその間約7,000人から2,000人を切るまで減少し、当初51人いた村職員は支所に12人残ったのみで、町の中心部帖佐に移り、現在も生活に便利な町中心部すなわち沿海部への移住に歯止めが掛からない状況らしい。 同様の悲話を大島郡瀬戸内町加計呂間島でも聞いた。
現在平成の大合併で利害得失喧々囂々とかしましいが、如何に対等合併と言えども、繁栄する中枢と没落する末梢との二極化は避けられないことを象徴的に示している事例と愚考している。
銘柄名の凱旋門は日露戦争出征兵士の帰還記念碑として明治39年3月に建立され、現存する凱旋門としては歴史的に非常に貴重なものであるらしい(JA6DHNさんのHPを参照)。 この焼酎は平成13年に白金酒造の石蔵と共に国の登録有形文化財に登録されたことを記念して、旧山田村の有志が麹米を提供して仕込んだものである。
あたかも凱旋門のなかに石蔵が有るかのように合成された写真ラベルは、地焼酎の物としては比較的珍しいのではないだろうか。朱色に踊る銘柄名も凛々しく勇ましい。アルコール度数25度。一升瓶の他に五合瓶もあるらしい。
生で飲んでみた。 何の衒いもない芋の芳香である。 透明な液体を噛みしめ、更にもう一度噛みしめたとき、舌から咽頭へ漏出する芳醇は、生でありながら飲み手を身構えさせない優しさ、旨味の絨毯爆撃と言った所か。(^_^;)
ロックにして冷やすと、甘さ爽やかさが増し、益々飲み易くなるようである。
お湯割りにすると、ふくよかさが増し、喉の奥で発露するような厚みのある旨味が際立ち、シミジミよかな〜と唸ってしまう。
上質で濃醇、白金さんの蔵の美風を遺憾なく具現し、さらに麹米の影響なのだろうか、馥郁さが一層強調されているようである。 過疎に曝されながらも、故郷の誇り、地域の気骨が感じ取れる逸品と言えよう。
どの様な飲み方でも美味しく頂けるが、お湯割り系統を一押しとしたい。
なお、真摯かつ説得力ある酎飲後感はひるね蔵酒亭−本格焼酎寸言及び秋田出身薩摩人こだまさん−私の愛した薩摩焼酎をご参照下さい。
平成15年3月5日記載