薩摩紅  


本坊酒造(株)津貫工場    加世田市津貫6594
Tel 0993−55−2001
    ゲットした日   平成14年9月20日

薩摩紅  
  薩摩は文字通り唐芋(薩摩芋)の産地である。 日本本土最初に唐芋が伝来したという歴史もさることながら、薩摩のシラス台地は水はけが良すぎ稲作には不向きで、薩摩の飢餓を唐芋が救ったということも大いに影響しているのだろう。
  しかしながら、戦後、鹿児島産の唐芋の大半は澱粉用となり、食用芋を大々的に生産している農家は少ない。 そう言った状況下で知覧町南部から頴娃町にかけては、肥沃な台地に良質な唐芋を産することで、焼酎原料用唐芋生産農家が多く、南薩の芋焼酎の原料の大半を供給しているらしい。 

  とりわけ知覧紅という品種は、鹿児島県のブランド指定を受けた甘さと美味さが際立つ高品質の唐芋で、知覧町特攻観音や武家屋敷などの土産物店でも売っており、観光客や地元の人達に絶大なる人気を誇っている。
  この食用としては最上級の唐芋を使用し、黒麹で仕込んだのが「薩摩紅」である。

  瑠璃色のガラス瓶はユニークで美しく、何かしら垢抜けた印象を受ける。 ラベルには紅芋が抽象的に描かれており、中央に銘柄名が墨書されている。 裏ラベルの説明記載により、商品により一層親しみが持てる。 アルコール度数25度。 一升瓶の他に四合瓶もある。

  生で飲んでみた。 薫りは押さえ気味で、スッキリと柔らかく、ほのかな甘味が引き立つ飲み口と清涼感溢れる後味が印象的である。 しかも味が深く濃く上質なので、こりゃ〜このままでもゴイゴイ行きます。(^_^;)
  ロックにして冷やすとすると、甘味がギュッと凝縮するようで、これが芋焼酎と疑いたくなるような飲み易さである。 薄まっても微動だに崩れない酒質も特筆物である。薩摩紅とヘレンメリル
  あらかじめ5:5程度に割り水したものを黒ヂョカで燗付けすると、柔らかい甘さとふくよかさ、そして包み込むような優しい味わいになる。  

  これまで、黄金千貫以外の美味しいと言われる食用芋を原料とした焼酎は、カロチン質と言おうか、少々アクの強い味わいになるような印象を持っていた。 しかし「薩摩紅」には、刺々しさが全くなく、極めてスムースで極めて上質な味に仕上がっている。 そして単に飲み易いだけではなく、腰の強い味わいと柔らかく上品な甘味が良く引き立っている。 これは芋焼酎の苦手な方を芋焼酎党に帰依させる最終兵器とも言うべき逸品である。
  秋の夜長にジャズなどを聴きながらグラスを傾けると、美味しいこと美味しいこと。(^^) ついつい度が過ぎてしまい反省の朝を迎えること必至です。(^^ゞ)

  ただ一つだけ苦言を許して頂けるなら、新しい芋焼酎ファン獲得のためにも、銘柄名に「薩摩紅」と言った硬いイメージより、「南の夕焼け」、「くれない」等(小生この種のセンス全く無し(-ー; )、「石の蔵から」のような、酒質をイメージするユニークさ柔軟さが欲しいような気がするのだが・・・。
  お薦めの飲み方は・・・、やはり生で広がりのある甘さを堪能して欲しい。

                                
                   (平成14年10月30日記載)

    平成14年11月1日追記
  昨夜の飲ン方にodabooさんの職場の女性が二人参加されるとのことで、この「薩摩紅」を4合瓶に移して持っていった。 全員の印象は飲み易くて旨い! しかもしっかりとした味がする!と言うことで、生でゴイゴイ飲まれてしまった。 銘柄名に水を向けると、やはり小生と同様の感想を持ったらしく、ある女性が「このままで」はどうねと言っていたが・・・。(^^) 酔っているときは秀逸と思ったが、素面になると・・・。(^_^;)