南海黒潮 

                        
本坊酒造(株)屋久島工場   熊毛郡屋久町安房2384
      Tel   09974−6−2511
ゲットした日 : 平成14年3月29日
                     

  
南海黒潮  
  南海に浮かぶ洋上アルプスの異名を持つ屋久島には、亜熱帯から亜寒帯までの植物が垂直分布している。 さらに一月に35日雨が降ると伝えられる如く降水量が尋常ではない。 地図上では小さな島に過ぎないが、山深さは想像を絶する程雄大であり、二千年を越す屋久杉など悠久の大自然が今も息吹き、世界自然遺産に指定されている。 また当然銘水の産地でもあり、最近屋久島の水を中東か何処かの国に売るビジネスを始めたと聞いたことがある。

  水が良いとなると酒造りになるのだが、現在島内には三岳酒造本坊酒造屋久島工場がある。 何れも創業当初からあったわけではなく、昔からの酒造所を買収して今日に至っているらしい。 
  本坊酒造屋久島工場は「手造り焼酎伝承蔵」とも呼ばれ、明治20年から現存する甕や手造り麹を使った焼酎造りが行われている。 また「屋久酔館」と言う宿泊施設も併設されており、屋久の大自然と相俟っていつか訪ねてみたい蔵の一つである。

  この「南海黒潮」は島内向けに出された製品なのであろうが、本坊酒造屋久島工場は主力銘柄を「太古屋久の島」にシフトしており、さらに島内シェアーの大半を三岳酒造の「三岳」が占めるに及んでは、絶滅危惧銘柄に挙げられるのかも知れない。 事実本坊酒造(株)のホームページには「さつまおはら」同様この焼酎は紹介されていない。(-ー;) 

  このような製品の常として入手困難なのであるが、焼酎探索家Aptiva野郎さんが県都某所にひっそりと息を潜めていた「南海黒潮」を発見救出し、拙宅まで丁重に届けて下さった。 安閑と座していては決して対面し得ない稀少な焼酎を、何の努力も要せずいとも簡単に入手出来、感謝の極めである。(^_^;)
  
  ラベルには逆巻く波間に屋久島が描かれており、どことなく葛飾北斎の「富岳三十六景神奈川沖浪裏」を彷彿させる。 このように風景画の描かれているラベルはその土地土地への思いがジンワリと浸析して来るようで好感が持てる。 アルコール度数25%。 5合瓶があるかどうかは定かではない。

  生で飲んでみた。 芋焼酎らしい芳香が臭球を刺激し大脳愛酎野を激しく揺さぶる。(^_^;) ビックリする程柔らかく甘美な飲み口である。 しかも後味には静かにいつまでも減衰しない余韻がある。 
  この味わいは燗付けにより、より一層増強されるようである。 5:5に割り水しているのに濃醇な味わいで、爽やかな甘さ及びふくよかさ共々申し分なく、わっぜうんまか!のである。(^^) まさしく太古の大自然の恵みと言えよう。 

  このように秀逸な焼酎が地元の人達にさ程愛されていないと言う悲しむべき事実が、ブームブームと浮かれる鹿児島焼酎業界に暗い陰を投げ落としていると感じるのは小生だけであろうか? この「南海黒潮」「三岳」同様屋久島の人達を癒す焼酎であって欲しいと切に願っている。
  お薦めの飲み方はやはりお湯割り系統であろう。 


                         平成14年4月26日記載