萬膳


          (有)万膳酒造     本社: 国分市中央1−24−25
                        Tel  0995−45−0112
                        蔵: 姶良郡霧島町永水字宮迫4535
          ゲットした日 : 平成13年7月12日 

  
萬膳  万膳酒造は長く閉鎖されていたが、4代目社長万膳利弘氏が叔父に当たる杜氏歴58年の宿里利幸氏と共に、平成11年末に霧島山中深く渓流手篭川(てこがわ)の辺りにちいさな蔵を新造し再興した蔵である。 蔵の設計から二人で行い、地元産のこだわり厳選材料を使い、手造り、カメ仕込み、木桶蒸留機等、全てに良いものへのこだわりを凝縮した蔵である。 蔵に見学に行った辛口で知られる知人が絶賛するほど素晴らしいらしい。(蔵の様子はこちら

  そして噂が噂を呼んで、僅か2年弱の間に県内では極めて入手困難となってしまい、取扱店が国分市方面しかないと言った有様で、既に幻の焼酎と化している。 一方都会ではまだ多く流通しているのであろうか、結構あちこちのホームページでこの焼酎の名前を見る。 幻の焼酎となった以上飲めないものと諦めていたのであるが、東京の知人がこの「萬膳」「萬膳庵」を送って下さった。 いわば逆輸入品と言えるのだろうか。(^_^;)

萬膳と薩摩切り子  この「萬膳」黒麹造りアルコール濃度25%であるが、特上の甘味がとろけだしたような柔らかく優しい味わいで深みのあるコクを感じる。 舌に旨味がまとわりつく感じは濾過を最小限に止めているせいなのだろうか? それとも木桶蒸留機による柔らかい蒸留の影響なのだろうか? 後味にも上品な甘味と余韻が残り、幸せと感じさせてくれる。 このままでもアルコール濃度を全く感じさせずに美味しい。
  ロックにすると柔らかい味わいはそのままで飲みやすさが増すようである。 薄まっても懐かしいような胸の奥に響く味わいは変わらない。 本当に旨くて飲みやすい。
  割水したものを黒ヂョカで燗すると、生で感じた味わいが一層深みを増し甘味も引き立つようである。 また爽やかな後味に思わず唸ってしまう。

  最初飲んだ印象は「百合」に共通した味わいの優しさであった。 山の蔵、海の蔵と相反する環境のようではあるが、両者とも量を求めず、富を求めず、ただ焼酎造りに淡々と励んだ結果が味わいに出ているようである。 造りの求道者の如き真摯な姿勢が生み出した珠玉の作品と言えよう。
  ちなみに何れの飲み方でも秀逸な味わいは楽しめるが、生で受けた印象が清冽で、これを一押しとしたい。

  
  
                                      平成13年8月11日記載