真鶴(まなづる) 

                        
(有)万膳酒造   姶良郡霧島町永水字宮迫4535
Tel  0995−45−0112
      ゲットした日 : 平成14年11月9日
                     

真鶴  大正11年、国分市で創業した萬膳酒造は、先代蔵元が若くして死去された後、四代目にあたる現社長万膳利弘氏が蔵再興を果たす平成11年までの約30年間は焼酎造りを休止していた。 その間は委託製造の「真鶴」と、蔵元の捲土重来・理想の蔵造りへの情念が辛うじて蔵の命脈を保っていたのではと愚見している。 下記に引用した裏ラベルの口上に、代表銘柄復活を果たした晴れやかさと意気込みが窺える。
  「霧島山中深くは、天然の山女魚をも育む渓流『手篭川』の辺に四季折々の自然との調和、共存を願い、僅かばかりの木立を拓いた小さな小さな蔵が萬膳蔵です。自然の恵みの感謝を忘れず地元霧島産こだわりの厳選素材だけを用い、『手造り麹』『かめ壺仕込み』『木樽蒸留』で黒瀬杜氏の卓越した技で醸しました。
 この度、33年の時を経て、山小屋の蔵より『真鶴』を復活致しました。皆様に愛され、世に飛び立つことを心よりお願い申し上げます。
                 合掌・蔵主・萬膳利弘」
 

  この焼酎は宮之城町紫尾温泉に行く途中、ブラリと立ち寄った田渕酒店で、店主試飲用虎の子の1本をハイエナの如く強奪したものである。(^^ゞ) たぶっちゃんは何度か蔵を訪れ、蔵元の真摯な姿勢に心酔し、何時の日か商品として取り扱える事を夢見た矢先の不幸だった。 #早くその日が来ればよかですね。

  ラベルは、海上に昇り行く朝日、松越しに飛び立つ鶴と岩場に佇む亀等が描かれた目出度いものになっている。「萬膳」「萬膳庵」等の吟醸酒風墨書ラベルと異なり、伝統的な意匠を踏襲しており、創業以来続く銘柄名の重み荘厳を感じさせる。 白麹仕込み。アルコール度数25度。五合瓶があるかは不明。
 (新旧ラベルの比較や的確無比秀麗な酎飲後感等は秘剣師本格焼酎寸言をご覧下さい。)
真鶴とタカジ
  生で飲んでみた。 まさしく芋らしい優しい香りが立ち昇る。 口に含んだ瞬間に駆けめぐる清冽で濃醇そのものの旨さ、さらに後味に残響する華やかな甘さに深く感じ入ってしまった。 野放図に生でゴイゴイ行きそうな危なさがある。(^_^;)
  ロックにして和水してもエグミなど全く感じられず、生の味わいそのままである。
  5:5程度に割水したものを燗付けにしても、生の味わいはいささかもゆるがず、暖められた分ふくよかさがさらに増し、陶酔的な気分に浸ってしまう。

  ことさら特異な味を強調することなく、味わいの解析を超越した総体として美しさがある。 背筋がピンと伸びゆるみのがなく、味わうことの喜びがシミジミと感じ取られる逸品と言えよう。 例えるならば、文武両道に優れた上に人格高潔・容姿端麗、焼酎の超エリートと言った風情だろうか。 何一つ持ち合わせていない愚生などは、「ちょこっちやっせんとこいもあったほうがもぜたっど!(-ー;)(少しはダメな所があった方が可愛いよ!)」とやっかみたくなる程である。(^_^;)
  お薦めの飲み方は・・・、これはもうお好みでどうぞとしか言いようがないが、ネイティブ薩摩人の偏見はお湯割り系統を一押しとしたい。(^_^;)

  ショケはタカジ。正式名不明。三角ミナとも呼び、コリコリした食感と浸み出る旨味はサザエより人気がある。

                  平成15年2月18日記載