堅蔵(けんぞう) 

                        
 指宿酒造協業組合   指宿市池田6173−1
                          Tel 0993−26−2277
      ゲットした日 : 平成15年4月5日
                     

堅蔵
  「堅蔵」「利右衛門」で親しまれている指宿酒造のこだわり銘柄である。厳選された朝堀の唐芋だけを原料に黒麹唐船峡湧水で仕込んでいる。
  唐船峡は開聞町にあり、池田湖を少し南下した平原に忽然と現れる渓谷は、鹿児島県民にはソーメン流しのメッカとして広く知られた存在である。日産10万トンの湧水は年間を通じて13度と冷たく、ソーメンや鱒の養殖に最適であるばかりでなく、飲料水としても当然旨い。この天然の恵を焼酎の仕込み水にと考えるのは焼酎好きにとっては自然の摂理だろう。

  この焼酎は本年4月に生理学者エスエヌさんをお迎えして、大学院講座風学究的?ノンカタをした時に、そのセッティングされた開聞町在住の秋田出身薩摩人こだまさんからお土産で頂いた物である。

  和紙で包まれた駆体、銘柄名が草書体で墨書されたシンプルなラベルにはこだわり感?が漂い、裏ラベルには「低温上面発酵技術」によってキレのある旨味が生まれたと記載され、開栓前に否が応でも期待が高まる。 アルコール度数25%。一升瓶の他に五合瓶があるかは不明。

  生で飲んでみた。顔前に拡がる甘い芳香が何とも心地よい。口に含むと、取っつきは甘く柔らかな表情なのだが、舌上を滑る間に、辛味が奥行きとなって顕れる。 実に飲み易くかつ複雑な味わいはやがて解析不能に陥り、満足感へと収束して行く。
  ロックにして冷やすと爽快な甘味がより一層増すようである。
  あらかじめ割り水したものを燗付けすると、 辛さと甘さが表裏一体となった厚みのある味わいが増幅する。なんたる旨さ!なんたる安らぎ!まこてよか焼酎です。

  打ち寄せそして引く波のように様々な味わいが重層し、脳裏に多幸感を刻んで行く。まさしく芋焼酎の粋といえる逸品である。 どのような飲み方でも期待通りの美味しさを発揮するが、お湯割り系統の厚みある味わいは特筆ものである。
 

          平成15年7月24日記載