ちらん・ほたる 

                        
知覧醸造(株)   川辺郡知覧町塩屋24475
Tel  0993−85−3980
      ゲットした日 : 平成14年10月19日
                     

ちらん・ほたる    
  高倉 健・田中裕子主演映画「ホタル」は、鹿児島県とりわけ特攻の町知覧町にさらなる観光ブームを引き起こしている。 旧富屋食堂ホタル資料館として復元され、新たな観光スポットになったのもその一つである。 「ちらん・ほたる」はこの「ホタル」にちなんで銘々された焼酎で、知覧醸造を訪れた時の森社長の話では、この4合瓶は知覧町の土産物店などで好評を博しているとのことである。

  芋焼酎では珍しい黒色の一升瓶はビニール袋に丁寧に包まれている。 ラベルは宵闇に浮かぶ富屋食堂にホタルが1匹飛び去る様子が描かれている。 黒ビンと黒いラベルをバックに黄色の「ほたる」の仮名文字と蛍が浮かび上がり、底はかと哀しい幽玄の風情が漂っている。 黒麹仕込みでアルコール度数25度。 一升瓶の他に4合瓶もある。

  裏ラベルには「この焼酎のふるさと知覧は、古くから多くのホタルが飛び交う町でした。太平洋戦争後期特攻基地が置かれたこの町で、短い一生にひかりを放ち続けるほたるの姿に自らを重ねた若者達の思いを今日何か形として残したい、そして平和の尊さを伝えたい。そんな思いで造りました。このラベルは特攻の母と慕われた『鳥浜トメ』さんの孫鳥浜明久氏のデザインによるものです。なおこの売り上げの一部は知覧町特攻英霊顕彰会に寄付させていただきます。」と森社長の鎮魂の心情が綴られている。 

  生で飲んでみた。 穏便でふくよかな薫りが立ち上る。 口に含んだ瞬間、円熟な風味が広がる。 味が厚くコクも深い。 上品な甘味も秀逸である。
ほたるラベル  ロックにすると、爽快な口当たりながら、芳醇で奥行きのある旨味に安らぎさえ感じてしまう。 後味に上品な甘味が高原の爽やかな風となって吹き抜けて行くようである。 水で薄まっても、しっかりとした味わいが残っている。
  5:5程度に割り水したものを燗付けしてみた。 程良い甘さとコクがしっとりと舌に馴染む。 スッキリと洗練された上品な味わいである。

  気骨の蔵人達が醸し出す大地の恵みは、突出した味を大仰に主張するわけではなく、芋焼酎が具備すべきエッセンスを絶妙のバランスで収斂させ、飲めば飲む程多幸感を増幅させるようである。 この上品な旨さ、さすが!と唸らざるを得ない逸品と言えよう。
  どの様な飲み方でも上品な旨さが煌めくが、ロックの爽快感は特筆物である。

                  平成15年1月8日記載