萬世酒造


     加世田市唐仁原6242  Tel0993-52-0648  Fax0993-520650

萬世酒造1  「萬生」の名は、子供の頃万世小学校の先生をしていた叔父から良く聞かされていた。
その他に「金峰」とか「おはら」とかの銘柄もあった。今から40年ぐらい前のことである。
  その当時、焼酎で極めつけのメジャーな銘柄はなく、皆地元の焼酎を可愛がっていたのではないかと、推測している。
  加世田の造り酒屋と言えば、現在本坊酒造吹上焼酎宇都酒造、及び萬世酒造の4つであるが、なんと3つまでが益山万世地区に集中している。加世田本町地区にはないのである。昔はあったのかも知れないが私の記憶にはない。このことより、太平洋戦争前までは、万世地区が加世田の殖産の中心地だったのではないかと、考えている。今でも万世の人たちの結びつきは、本町の私たちから見ても強いように思われる。  その懐かしい響きの「萬世酒造」を訪ねてみた。
萬世酒造2  工場は万世小学校の近くにある。加世田から国道をAコープ万世店を過ぎて60m位行くと、左手に申し訳なさそうに「萬世酒造」の矢印案内が出ていた。結構狭い道を奥に進んでいくと、ここら辺は住宅街で、果たして焼酎工場があるのだろうかと心配になった頃、左手に「萬世」の看板がいきなり現れた。「えっ、ここが焼酎工場?」と疑いたくなるほど、こぢんまりとしている。でも看板からそうなのだろう。日曜日で入り口にはチェーンがしてあり、中には入れなかった。
  入り口から写真を撮り、「もうつぶれたのでは?」と不安に駆られ、近所の酒屋を探した。国道沿いに結構大きな酒屋が2軒あったが、そこをスルーして、旧万世駅前の酒屋に駆け込むと、なんと正面に「萬世」と銘打った1升瓶が数本置いているではないか。
萬世 恐る恐る主に、「萬世は良く出ますか?」と聞いたところ、「地元の焼酎ですから」という、力強いというか、もっと具体的にどれぐらい、と知ろうとする野次馬根性を受け付けないような、威厳のある返事であった。無駄な突っ込みはせず、万世地区の人には愛されているのだな、と解釈して、「萬世」と「吹上」の1升瓶を買って帰った。
  早速、どんな焼酎なのか味わってみた。
と言っても、私自身、だらしないほどの焼酎好きで、どんな焼酎にも偏見を持たずに旨く感じるという、いわば味音痴なのである。一般の厳しい見方とは大いに感性が異なること請け合いなのだが、嗜好というのはどうせ独断と偏見なのだからと開き直り、厚顔無恥にも感じたままを書くことにする。

   ラベルは和紙に「萬世」と墨書しただけの極めて質実剛健なもので、好感が持てる。さらに「酒者天之美禄」(酒は天の美禄?)の小さなラベルが貼ってあり、なんだか嬉しくなってくる。

    外観は透明で澱などは見られないが、結構芋焼酎らしい匂いがする。
  で飲むと、意外とまろやかな味でほのかに甘みを感じる。
  オンザロックで飲むと、少し渋みが増すような感じ。ちょっと合わないかな・・・(^_^;)。
  湯割りでは、匂いはそんなに強くはならないが、舌に少し鋭利な感じが残る。薄目(5:5位)の湯割りで舌の鋭利感はなくなり、逆に甘みを感じるようになる。
  総体的に昔ながらの芋の香りを残した硬派な良い焼酎という印象であった。
多来福
  
  チャーミー加世田店の片平社長に加世田の焼酎の紹介をしたい旨話したところ、快く協力してくれ、おまけに同店が扱っている、プライベートブランド「多来福」をプレゼントされた。
これは萬世酒造が黒麹で作っている本格芋焼酎である。
  香りはきりりとしまった芋焼酎の香りが漂う。
  で飲むと、黒麹のせいなのだろうか、まろやかな深みのある味わいである。
  ロックでは飲み易さが増し、芋焼酎の味わいは残ったままだが、渋みは全く感じない。十分に飲める。水割りにしても味が落ちない。
  湯割りではきりりとしまった味わいはそのままで、こくのあるしっかりした味わいである。甘みも十分に引き立っている。香りも良く旨い。
黒麹のせいなのだろうか、他の焼酎とはなんか違う。飲みやすく、とても旨いのである。これで一升瓶が850円とは・・・(・_・)
や、や、安い!!!それでいて旨い!!!