〜リレーエッセイ〜


メイドインまくらざき

 
 先日、垂水市牛根境にある蔵元を訪ねました。特別の見学許可をいただいたのです。
 鹿児島湾の静かな波が打ち寄せる海岸近くの閑静な集落の中、朱色の暖簾に染められた「かめ壺焼酎森伊蔵」の黒文字が目に飛び込んだ瞬間、「何かが違う」と感じました。
 「森伊蔵」は、鹿児島県を代表する銘酒ともいわれます。「さつまいもは、曽於郡末吉町の契約農家が栽培したもの、米は福島県産のこしひかりを使っています」と工場長の説明。原料への徹底的なこだわりが伺えました。麹づくり、発酵、蒸留等の工程が丁寧な手作業で処理され、かめ壺で熟成されたアルコールに高隈山系の豊かな伏流水がブレンドされて芳醇な焼酎になります。
 垂水市といえば、昨年大ヒットした映画「ホタル」の撮影地でもあります。舞台となった海潟海岸を観光スポットとして売り出すため、漁協婦人部がボランティアをかって出て、観光客を懇切に案内してくれています。決して流ちょうではないですが、方言交じりの語りには暖かさを感じます。私にはこの二つの地域が輝いて見えました。
 故郷おこしにどこも頑張っているなと思いながら、わが枕崎市を考えました。いや枕崎も負けていないぞ。今年の南日本文化賞に枕崎市(風の芸術展)が選ばれたじゃないか。第一回「KKBふるさとCM大賞」での優秀賞受賞もある。市民劇団「ぶえん」は、枕崎の風土を題材に創作劇に挑戦し、地元アマチュアバンド「アーツ」も全国レベルの活躍をみせています。
 かつお節や本格焼酎のように日本一とまでいかずとも、枕崎ならではの手づくりのものを創り出し、全国への情報を発信し続ける高い志を持ち続けたいものです。


総務部総務課長 栄 村 道 博