frower2022年  10月のフィールドノートから

*番外編*10月1日~2日 大分県大船山
 秋風に誘われるように九重連山にやってきた。目指すは九州本土第3位の高峰大船山。長者原を7時過ぎに出発し、雨が池越えルートで坊がつるに出る。そこからが本格的な大船山登山。登りはつらいが
それでも一歩一歩進めば確実に頂上にたどり着く。天気もよく山頂からの眺めは素晴らしいが、紅葉にはまだ早かった。しばし休憩してさっそく下山。登るのよりもつらいのが下り。歳を重ねるごとに膝がしん
どくなる。転ばないように慎重を期しながら、ゆっくりと歩を進める。途中でミソサザイが何度か姿を見せたが、写真に収めることはことはかなわなかった。と、ナナカマドの木に小鳥が止まった。コガラだ。何年
ぶりの対面だろう。ナナカマドが色づいてくれていたら最高だったのに。坊がつるまで下り、本日は九州で一番標高の高いところにある温泉、法華院山荘に泊まる。山荘に向かう途中で、トンボを発見。ミヤマ
アカネのオスのようだ。早めにチェックインをし、温泉&ビール。登山の疲れが一気に吹っ飛ぶ。極楽極楽。
 翌朝は山荘を6時30分に出発し、霧に沈む坊がつるを経て、前日に来た道を戻る。まだ誰も歩いていない山道では起き出したホオアカが食事中。途中、雨が池では朝露に濡れるヤマラッキョウの花を堪能。
クロツグミの姿などを確認しながら、9時前に長者原に到着。駐車場の周りではエゾビタキの群れが飛び交っていた。これから南西諸島を通って南下するのだろうか。奄美にも立ち寄るのかと想像すると、感慨
深い。


▲コガラを観たのは何年ぶりだろう


▲翅に赤褐色の帯を持つアカトンボ、ミヤマアカネ。


▲ヤマラッキョウの花。


▲奄美で秋によく目にするエゾビタキがここにも。


*10月13日 徳之島井ノ川付近
 クラウドファンディングで集まった資金を元に、アマミヤマシギ調査。捕獲してGPS発信機を装着し、移動を調べる。それほどたくさん林道に出ておらず、苦労する。その途中、とある林道を通っていると、
同行者のK氏が突然、「オビトカゲモドキがいる!」と声をあげた。車が停まるのももどかしげにドアを開けて飛び出すK氏。慌てて駆け寄ると、たしかにオビトカゲモドキの姿があるではないか。徳之島には
何度通ったかわからないほどだが、これまでこの徳之島固有の爬虫類には出逢う機会がなかった。それがついにご対面である。想像以上に小さいが、想像以上に美しい。そして恐竜っぽい! ヤモリに
近い仲間にもかかわらず足指は吸盤状になっておらず、爪を地面に突き立てているのがかわいい。発生末期に近いので仕方ないが、尾がちぎれていたのが残念だった。


▲ライトを当てられて固まったオビトカゲモドキ。


▲ピンク色の帯がなかなかおしゃれ。


*10月27日 大和村フォレストポリス
 フォレストポリスの水辺の広場にマガンが来ていると聞き、さっそく確認にいってみる。ガンは大きいので、いれば見逃すことはない。さっそく発見。トンボの池でオオバンと一緒に泳いでいる。近くで重機を
入れて池の整備をしているにもかかわらず、気にすることもなく悠然と餌をついばんでいる。道路沿いにはツバキに似たチャノキの花が咲いている。そうかこの時期に花が咲くのかと納得。芳香がよく、スズ
ガやハチが集まっている中に、ひときわ大きなヒメスズメバチを発見。奄美にもいるとは聞いていたが、観るのは初めてである。スズメバチの中では正確は温和というが、大きいだけに威圧感は半端じゃな
い。グラウンドのほうへ回ると、小鳥がちらほら。ハクセキレイ、キセキレイに交じって、アトリがエサを探している。植木にはエゾビタキの姿が。今月初めに九重高原で見たエゾビタキではないかと妄想が膨
らむ。


▲オオバンと一緒に泳ぐマガン。


▲チャノキの花を訪れたヒメスズメバチ。


▲アトリが草の実を探していた。


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