frower2015年  1月のフィールドノートから

*番外編*1月11日 沖縄県国頭村某所 & 1月13日-14日 沖縄県伊平屋島
 アマミヤマシギは冬の間、沖縄へ渡っているのか? 沖縄での観察記録のほとんどが冬季に集中しているので、おそらく渡っているのではないかと思うのだが、いま
だに確証がない。奄美大島では保護増殖事業の一環ですでに500羽を超えるアマミヤマシギにカラーリングを付けている。沖縄では付けていないので、仮に1羽でもカ
ラーリングのあるアマミヤマシギを沖縄で観察できれば、渡りが立証されることになる。
 11日の夜、やんばるの鳥に詳しい渡久地さんに案内してもらい、ナイトウォッチングに出かける。私の主目的はもちろんアマミヤマシギ。経験上、アマミヤマシギは月
夜のときに出やすいが、この夜はあいにく月がなく暗い。その分、星はとても美しいのだが。さっそくヤマシギ類の出現ポイントへ向かう。しかし悪い予感が当たり、見
つけられたのはただのヤマシギが1羽だけ。足環付きどころか、ふつうのアマミヤマシギさえ見つからなかった。気を取り直して、別のポイントへ。渡久地さんによると、
そこはヤンバルクイナがよく眠っているという。探すこと数十分。いた! ヤンバルクイナが2羽で木の上で眠っている。しかし、光で照らされたせいで目覚めてしまった
ようだ。迷惑そうに幹を伝ってそろそろと下りていく姿がユーモラスである。さらに別の場所ではごく近くの枝先で眠る2羽を発見。こちらも1羽はすぐに下りていったが、
もう1羽はなかなかふんぎりがつかないのか、しばらく枝の先端に止まったままの姿勢で、じっくり観察させてくれた。安眠を妨害して、ごめんよ。


▲枯れ木の枝先で眠っていたヤンバルクイナ。翼が退化しているのがよくわかる。

 やんばるの調査を終えて、伊平屋島へ渡る。沖縄県の有人島では最北に位置するこの島は面積もそこそこ大きいし、200mを超える山が連なっているので、もし
かしたらアマミヤマシギはこの島へも渡っているのではないかと考えたのだ。しかし、調査した13日の夜は相変わらず月がないうえに風が非常に強く、ヤマシギ類の
観察には最悪のコンディション。そのせいかどうか、アマミヤマシギもヤマシギもまったく姿を見ることはできなかった。残念ながら、今回もまたアマミヤマシギの渡り
の証拠はつかめずじまいだった。
 ヤマシギは見られなかったが、伊平屋島は鳥が多く、バードウォッチングは楽しめた。14日にはキャンプ場の敷地内でコマミジロタヒバリと思われるタヒバリを発見。
春や秋の渡りのシーズンはかなり面白いのではないだろうか。時期を改めて再訪したい島である。


▲マミジロタヒバリにしては嘴が細く尖って見えるし……


▲中雨覆の黒斑の縁が丸く、後趾の爪も短めに見える。


*1月23日 奄美市住用町内海
 ヒシクイが4羽訪れていることが新聞に載ったようだ。今季は11月に喜界島で11羽の群れが観察されているし、つい先日の沖縄でも糸満の海岸で目撃した。かなりの
数のヒシクイが南西諸島に飛来していると考えられる。せっかく新聞ネタにもなったのならば一目見ておこうということで、アマミヤマシギの調査帰りに立ち寄ってみる。
先に湾内を眺めてみるが、オオバンしか見当たらない。では農耕地だろうと考え、車を走らせると、すぐに見つかった。首が長いし、嘴峰と頭のラインもなめらかなので
亜種オオヒシクイのようだ。双眼鏡で観察すると、1羽だけ顔が黒く小柄に見える。この個体は幼鳥なのか? あるいはこの個体は亜種ヒシクイなのだろうか。沖縄でも
ヒシクイとオオヒシクイが同時に出現している世なので、そういうこともあるのかもしれない。結論は保留。


▲右から二番目の個体が小さく見える。顔の色も濃い。


▲一番右の個体だけ亜種ヒシクイ?

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