第28回オオトラツグミ一斉調査について
〜奄美中央林道で98羽、全域では209羽確認〜

 1994年から奄美野鳥の会が中心となり、島内外の多くのボランティア調査員の方々のご協力のもと進めてきたオオト
ラツグミ一斉調査は、今回で28回目(28年目)を迎えました。昨年に引き続き、奄美中央林道を中心とした一斉調査を
実施し、補足調査は主要な林道に限り実施することで、可能な限り調査精度を上げることに努めました。
また、今後生息域を広げる可能性も考えられることから、今年も引き続き北部の笠利町喜瀬地区や用安地区方面など
でも実施しましたが、鍋比林道は崩れたところが多く危険なため、調査はできませんでした。さらに今後生息域を広げる
可能性も考えられる加計呂麻島の一部でも実施しました。
 第28回オオトラツグミ一斉調査は、3月21日(日)に奄美中央林道全域のほか、スタルマタ林道(〜西仲間)、住用
ダム線、油井岳林道などで実施しました。調査には、一斉調査の一日だけで130名のボランティア調査員の方々の
参加をいただきました。この21日の一斉調査の結果では、オオトラツグミのさえずり個体数132羽(うち中央林道は98羽)
を確認することができました。
 第28回一斉調査と補足調査(ICレコーダーにより調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、第27回の280羽
(調査地点数150)より71羽少ない、209羽(調査地点数126)となりました。2021年3月は新型コロナウイルスの影響等で、
補足調査が昨年より24地点少ない確認地点にとどまったことなども影響しているものと思われます。
 長年にわたり継続調査している奄美中央林道でみると、第27回はこれまでの調査で2番目に多い102羽を記録しました
が、第28回も98羽を記録し、前年に引き続き、多くのオオトラツグミの生息を確認することができました。
 補足調査では、第23回で初めて2羽のさえずりが確認された市理原では、昨年3羽が確認されたのですが、今回はIC
レコーダーによって1羽が確認されています。北部・笠利半島の喜瀬、用安地区、および南部・加計呂麻島ではまださえ
ずり個体は確認されませんでした。
 今回も、多くのみなさま方のご協力とご理解があって、無事に調査を終えることができました。ボランティア調査員と
して調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方々、調査資金にご寄付いただい
たみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。 ご支援、ご協力ありがとうございました。

                              特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
                                   オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会


●2021年(第28回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   126箇所
確認羽数  209羽
調査員   211人(延べ人数)


●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移

奄美中央林道 その他 合 計
1990 24羽 1羽 25羽
1994 40羽 14羽 54羽
1995 18羽 14羽 32羽
1996 18羽 11羽 29羽
1997 27羽 14羽 41羽
1998 21羽 17羽 38羽
1999  調査方法変更 28羽 72羽
44羽
2000 25羽 36羽 61羽
2001 40羽 34羽 74羽
2002 40羽 37羽 77羽
2003 43羽 61羽 104羽
2004 42羽 84羽 126羽
2005 68羽 103羽 171羽
2006 47羽 118羽 165羽
2007 78羽 171羽 249羽
2008 47羽 180羽 227羽
2009 51羽 225羽 276羽
2010 32羽 262羽 294羽
2011 45羽 288羽 333羽
2012 59羽  296羽  355羽 
2013 96羽  426羽 522羽 
2014 85羽 調査方法変更 
215羽 300羽 
2015 73羽 241羽 314羽
2016 106羽  230羽 346羽
2017 54羽 191羽 245羽
 2018  79羽  234羽  313羽 
2019 102羽  279羽 381羽
2020  102羽  179羽  281羽 
2021   98羽 111羽  209羽 

「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。
1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年
以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。



 奄美中央林道での調査では、昨年より4羽少ない98羽となった。26回、27回同様、28回も100羽近い
個体数を維持し、3年間同水準で個体数が安定している。全調査地域では、前回より調査地点が24地
点少なかったため、全体の確認数は前回より71羽少ない209個体となった。また、市理原地区ではIC
レコーダーによって1羽が確認され、さらに北部地域の喜瀬・用安地区や南部の加計呂麻島では、さえ
ずり個体は確認されていない。


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