第26回オオトラツグミ一斉調査について
〜奄美中央林道で102羽、全域では381羽確認〜

 1994年から奄美野鳥の会が中心となり、島内外の多くのボランティア調査員の方々のご協力のもと進めてきたオオ
トラツグミ一斉調査は、今回で26年目を迎えました。前年の第25回に引き続き、奄美中央林道を中心とした一斉調査を
実施し、補足調査も第25回同様、主要な林道に限り実施することで、可能な限り調査精度を上げることに努めました。
また、今後生息域が拡大する可能性も考えられるため、龍郷町北部の市理原地区のほか、笠利町の喜瀬地区や土浜
地区、さらに北の鍋比林道でも調査を実施しました。今後渡来が期待される加計呂麻島の一部でも実施しました。
 第26回のオオトラツグミ一斉調査は、3月17日(日)に奄美中央林道全域のほか、金川岳、小湊安木屋場線、スタルマ
タ林道、三太郎峠東・西仲間、住用ダム線、油井岳林道などで実施しました。17日の一斉調査の一日だけで173名の方々
の参加をいただきました。この一斉調査の結果、オオトラツグミのさえずり個体数211羽(うち中央林道は102羽)を確認
することができました。
 第26回の一斉調査と補足調査(ICレコーダーにより調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、第25回の313羽(調
査地点数210)より68羽多い、381羽(調査地点数182)を記録しました。第26回は調査地点が第25回よりも28地点減りまし
たが、確認個体総数は逆に68羽多くなりました。
 第24回は一斉調査時に雨が降ったことなどもあって、第23回に比べ101羽も減少となりましたが、第25回は第24回より
68羽増え、第26回は第25回よりもさらに68羽が増えて、個体数の増加傾向が一層明らかになりました。また、第23回で初
めて2羽のさえずりが確認された市理原では、第26回では1羽(ICレコーダーによる)が確認されました。さらに北に位置す
る笠利半島の喜瀬・土浜地区や鍋比林道、さらに南の加計呂麻島では、まだ確認されませんでした。
 今回も、多くのみなさま方のご協力とご理解があって、無事に調査を終えることができました。ボランティア調査員として
調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方々、調査資金にご寄付いただいたみ
なさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。 ご支援、ご協力ありがとうございました。

                              特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
                                        オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会


●2019年(第26回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   182箇所
確認羽数  381羽
調査員   299人(延べ人数)


●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移

奄美中央林道 その他 合 計
1990 24羽 1羽 25羽
1994 40羽 14羽 54羽
1995 18羽 14羽 32羽
1996 18羽 11羽 29羽
1997 27羽 14羽 41羽
1998 21羽 17羽 38羽
1999  調査方法変更 28羽 72羽
44羽
2000 25羽 36羽 61羽
2001 40羽 34羽 74羽
2002 40羽 37羽 77羽
2003 43羽 61羽 104羽
2004 42羽 84羽 126羽
2005 68羽 103羽 171羽
2006 47羽 118羽 165羽
2007 78羽 171羽 249羽
2008 47羽 180羽 227羽
2009 51羽 225羽 276羽
2010 32羽 262羽 294羽
2011 45羽 288羽 333羽
2012 59羽  296羽  355羽 
2013 96羽  426羽 522羽 
2014 85羽 調査方法変更 
215羽 300羽 
2015 73羽 241羽 314羽
2016 106羽  230羽 346羽
2017 54羽 191羽 245羽
2018  79羽  234羽  313羽 
2019 102羽  279羽 381羽

「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。
1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年
以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。



 奄美中央林道での調査では、昨年より23羽多い102羽の記録となった。これは、これまでで最も多かっ
た2016年(第23回)の106羽に次いで2番目に多い記録である。全調査地域でも、前年より調査地点が28
地点少なかったにもかかわらず、全体の確認数は前年より68羽多い381個体となった。また、前年1羽の
さえずりが記録された市理原地区では、今年も1羽(ICレコーダーによる)が確認された。さらに北部地域
の喜瀬・土浜地区や鍋比林道、また南部の加計呂麻島では、さえずり個体は確認されていない。


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