第22回オオトラツグミ一斉調査について
〜奄美中央林道と主要林道に限定した調査を継続〜

 これまでのオオトラツグミ調査で確認個体数が最も多かった2年前の調査を受け、昨年から調査方法を一部
変更しました。今年のオオトラツグミ調査も昨年と同様、一斉調査は奄美中央林道を中心として継続する一方、
補足調査は主要林道に限定して行いました。これは当分オオトラツグミの生息数が安定すると予測されるため、
奄美野鳥の会の会員をはじめとするヴォランティア調査員の負担軽減と、調査地域を絞ることで調査精度を上
げるための方策です。そんな中でもオオトラツグミの生息域が今後広がる可能性も考えられるため、調査地域
としては奄美大島北部の市理原や加計呂麻島の一部を新たに加えました。
 今年のオオトラツグミ一斉調査は3月15日(日)に、奄美中央林道全域やスタルマタ林道、油井岳林道などで
実施しました。一斉調査には155名の方々に、3月14日(土)の補足調査には55名の方々にヴォランティア調査
員としてご参加をいただきました。この二日間の調査では延べ210名の調査員の方々に参加していただき、163
羽(うち奄美中央林道は73羽)のさえずり個体を確認することができました。
 一斉調査とICレコーダーにより調査を含む全補足調査を合わせたさえずり個体の総数は、昨年の300羽(調
査地点数185)よりもわずかに多い303羽(調査地点数187)で、ほぼ横ばいの記録となりました。
 1994年に開始して以来毎年実施してきたオオトラツグミさえずり調査、これまで22年間の継続調査で、年によ
る増減を繰り返しながらも、ここ数年でみると次第に増加傾向が続き、安定的に生息していることが明らかにな
ってきました。これも長年にわたって、多くのみなさま方のご協力ご理解があって明らかになってきたことであり、
ヴォランティア調査員として調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方
々、調査資金にご寄付いただいたみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。
 ご支援、ご協力ありがとうございました。

                              特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
                                        オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会


●2015年(第22回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   193箇所
確認羽数  314羽
調査員   308人(延べ人数)


●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移

奄美中央林道 その他 合 計
1990 24羽 1羽 25羽
1994 40羽 14羽 54羽
1995 18羽 14羽 32羽
1996 18羽 11羽 29羽
1997 27羽 14羽 41羽
1998 21羽 17羽 38羽
1999  調査方法変更 28羽 72羽
44羽
2000 25羽 36羽 61羽
2001 40羽 34羽 74羽
2002 40羽 37羽 77羽
2003 43羽 61羽 104羽
2004 42羽 84羽 126羽
2005 68羽 103羽 171羽
2006 47羽 118羽 165羽
2007 78羽 171羽 249羽
2008 47羽 180羽 227羽
2009 51羽 225羽 276羽
2010 32羽 262羽 294羽
2011 45羽 288羽 333羽
 2012  59羽   296羽  355羽 
 2013 96羽   426羽 522羽 
 2014  85羽  調査方法変更 
215羽  300羽 
2015  73羽   241羽 314羽 

「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。
1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年
以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。



 奄美中央林道での調査では、昨年より12羽少ない73羽を記録し、これまでで4番目に多い個
体数であった(平均個体数52.6羽)。全調査地域(地点数)は昨年の185地点よりも8地点多い
193地点で、全確認個体数は314羽となった。2013年以前との比較は単純にできないものの、
奄美大島全域としても比較的個体数が多かったものと推定される。


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