おかげさまで、オオトラツグミ調査20周年
〜ついにオオトラツグミさえずり個体、500羽突破!〜

 地球上の奄美大島のみに生息し、絶滅危惧種で国の天然記念物に指定されている野鳥・オオトラツグミの
生息状況を把握し、その繁殖個体数の増減を記録しておくため、奄美野鳥の会では毎年3月にさえずり個体
の一斉調査を行ってきました。1994年から開始して以来毎年実施し、今年で20回目の節目を迎えることがで
きました。
 この一斉調査は、オオトラツグミがさえずる夜明け前の薄暗い時間帯に、林道を歩きながら、さえずりを地
図に記録していくもので、調査はデータの精度を高めるために短時間に多くの調査員の参加を必要とする
ものです。
今年の一斉調査は、2010年の奄美の集中豪雨以来、奄美中央林道などに生じた崖崩れ箇所がそのままに
なっていて、いまだ車が通行できない場所が少なくないなかで実施されました。そうした場所では、昨年に引
き続き安全のためベテランの調査員が調査地点まで歩いて行って調査を行いました。なお一斉調査で把握
できなかった地域につきましては、3月から4月中旬頃まで順次奄美野鳥の会の会員を中心に、できるだけ
多くの地域で補足追加調査を行ってきました。
 今年のオオトラツグミ調査では、3月17日(日)に奄美中央林道全域や油井岳林道、住用ダム線などを含む
一斉調査に140名の方々が参加し、3月16日(土)、19日(火)、20日(祝)の補足調査には、合計で99名の方
々がボランティア調査員としてご参加をいただきました。これら4日間の調査の合計では、延べ239名のボラ
ンティア調査員の方々に参加していただき、237羽(うち奄美中央林道は、96羽)のさえずり個体数を確認す
ることができました。
 全ての補足追加調査を含めた3月から4月中旬までの調査全体では、総計でさえずり個体数が昨年(355羽)
より167羽多い522羽となり、これまでの続けてきた調査で最も多い確認数となりました。また、調査地点の総
数は、昨年(318地点)より26地点少ない292地点(ICレコーダーによる19地点含む)となりました。延べボラン
ティア調査員の総数は昨年(394名)より5名少ない389名でした。
 今年も引き続き、環境省那覇自然環境事務所や鹿児島森林管理署・鹿児島県大島支庁林務水産課・奄美
市 ・大和村・宇検村・瀬戸内町のご後援をいただくことができました。また調査員説明会の会場として奄美博
物館と瀬戸内町立図書館・郷土館を使用させていただきました。
 ボランティア調査員として調査に参加されたみなさん、ご支援をいただきました行政や諸団体、個人の方々、
調査資金にご寄付いただいたみなさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。
 ご支援、ご協力ありがとうございました。
                              特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
                                        オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会


●2013年(第20回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   292箇所
確認羽数  522羽
調査員   389人(延べ人数)


●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移

奄美中央林道 その他 合 計
1990 24羽 1羽 25羽
1994 40羽 14羽 54羽
1995 18羽 14羽 32羽
1996 18羽 11羽 29羽
1997 27羽 14羽 41羽
1998 21羽 17羽 38羽
1999 44羽 28羽 72羽
2000 25羽 36羽 61羽
2001 40羽 34羽 74羽
2002 40羽 37羽 77羽
2003 43羽 61羽 104羽
2004 42羽 84羽 126羽
2005 68羽 103羽 171羽
2006 47羽 118羽 165羽
2007 78羽 171羽 249羽
2008 47羽 180羽 227羽
2009 51羽 225羽 276羽
2010 32羽 262羽 294羽
2011 45羽 288羽 333羽
2012  59羽  296羽  355羽 
2013  96羽  426羽  522羽 

奄美中央林道は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスに
よる調査。
その他は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、
1995年、1997年以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。
*表は、Strix vol.15.1997.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会.に1997年以降の調査
結果を加えて作成。


 今年の奄美大島全域のさえずり確認個体数は522羽(ICレコーダーによる19地点
の記録含む)で、昨年(355羽)より一気に167羽も増えて500羽の大台を突破し、こ
れまでの最も多い記録となりました。また、奄美中央林道の調査でも、これまでで最
も多い96羽の個体数を記録しました。特に調査地域(地点数)は昨年(318地点)よ
り26地点少ない292地点だったにもかかわらず、全体としての確認数が飛躍的に増
え、個体数が増加傾向に転じていることを示す結果となりました。


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