あとがき



BGMはディーゼルカーの警笛(タイフォン)です。


水俣駅の改札口から 一番遠いホームに止まっている
赤いディーゼルカー
ドアを手で開けて乗り込み 青いシートに腰掛けると
ほどなく発車ベルが鳴り タイフォン(警笛)一声 ゆっくりと発車

徐々に速度が上がり 窓を大きく開けると
冷房のない車内にも 心地よい自然の風が吹き込む
車内では なまりの効いた乗客の声が あちこちから聞こえてくる

県境の峠越えにかかり エンジンを唸らせループをぐるりと登り
サミット(頂上)の薩摩布計駅に停車すると ひんやりした空気を感じることができた

今度は一転して下り坂の連続 それがおさまると
『カタンコトン カタンコトン』と 
まるで歌っているかのように 軽快なジョイント音を響かせ 
両側に広がる田んぼを見ながら 伊佐盆地を駆け
市街地に入り線路がいくつも分かれると 薩摩大口駅にすべり込む
乗り降りする人びとが行き交い 職務を遂行する鉄道員の姿がりりしく頼もしい

そんな光景が まるで昨日のことのように 鮮明に思い出される

一年を通じての正確な運行は 沿線住民の『時計代わり』となり
物資の輸送・通勤通学・買物・行商・出征復員・集団就職・遠足・修学旅行・・・
その時代時代の人びとの生活と 密接に関わってきた
そんな鉄道だった 山野線

時代の流れに逆らえず 惜しまれつつ消え去って もう20年・・・
かつての思い出と 廃止から現在までの変容を記してみました。




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