一般健康雑誌や、歯科医院で出てくる「医者語」の歯科用語辞典

この章は、平成9年2月に発刊された主婦の友社の
「最新全国歯科名医ガイド(よい歯医者さんを選ぶために,賢い患者さんになるために)」という著書の総監修を私が務めました。

名医2200人の歯科医師の選定作業は、主婦の友社が独自にして公開されました。
さて、その本の付録となった
「歯科名医の条件とは」「よくわかる歯科専門用語ミニ事典」「保険診療と、自費診療の違い」などの執筆を私が担当しました。
以上のものは当ホームページでも紹介しています。以下は、「よくわかる歯科専門用語ミニ事典」のものです。
なぜ、この事典をわざわざ作ったかというと、以下のような理由がありました。

以前からの、他社の「全国歯科名医ガイド」もめくって読んでみました。
ある歯科医院の院長の出している紹介医院の診療科目、得意な診療科目、モットーなどを見ても、
歯科医療関係者だけが理解できたり、院長だけが理解できている、
いわば、患者さんを無視した「歯科医師用語、医者用語、専門用語」であり、
一般の読者には全く理解できないチンプンカンプン用語、つまり「医者語」が多数ありました。
これをらを拾い出し、市来英雄がまとめて一般の方々に分かりやすくしたものです。

改めて校正したうえで「一般健康雑誌や、歯科医院で出てくる「医者語」の歯科用語辞典」と題して以下に紹介しました。
(歯科の専門用語や内容をもっと知りたい方には、歯科専門の出版社からの出版の「歯学辞典」などがあります)


市 来 英 雄 作

(アイウエオ順) 

ITIインプラント → インプラント,人工歯根 (注:→印は他所に解説あり)
人工歯根の数種類ある中の一つ、骨内インプラント(あごの骨の中に根の部分を入れこむ人工歯根)である。
スイスで開発され約22年前にヨーロッパで導入された。ITIは商品名である。
現在世界で広く使われている。純チタン製。特徴は小さくて力持ち。 

アタッチメント義歯
針金を使わずに外れないよう工夫された部分入れ歯。
入れ歯(義歯)には入れ歯が外れないように歯をつかんで支えとなる針金(鈎)を使うのが普通である。
アタッチメント義歯はその針金を使わずに、金属同士の摩擦力や弾力を上手に利用した義歯である。
そのバネによって歯に無理な力がかからず、また審美性にも優れた義歯となっている。 

アパタイト → ハイドロキシアパタイト
リン灰石とも言う。骨や歯の基本構造もアパタイトである。 

アマルガム
銀との合金を総称してアマルガムと言っている。

他の金属の粉末を混ぜ合わせると硬化をはじめて硬くなり金属化合物を作る。
このことを利用して昔からむし歯の穴に詰める治療に使われている。
歯科用には、銀アマルガムと銅アマルガムが使われる。 

一口腔単位
口の中には親知らずを除いて28本の歯が存在する。
その全部の歯を予防も含めて、むし歯や歯周病、そして噛み合わせまでも含めて
すべて調和(バランス)良く総合的に治療をしていく方法。
ひと昔は、悪い歯だけの治療が主流を占めていた(一歯単位という)。

一歯単位
問題がある歯だけの治療をすること。その歯の治療がすむと終わり。
またどこかの歯に問題が出てきたら歯科医院に行って治してもらうという、いわば、悪い歯との追い駆けっこの治療方式。
治療期間は短いが歯はどんどん悪くなりやすい。

印象採得・印象
歯型をとるということ。診断用に、また、入れ歯や金属の詰め物、
固定式のブリッジ、継ぎ歯(さし歯)、人工の歯冠を作るために歯型を取る(採得する)こと。 

インプラント・人工歯根
失った歯の場所に人工の歯を植えること。
普通、歯が失われた所には入れ歯を入れるが、その場所の、ドテの骨の中に人工の歯根を植え込むことをいう。
口の中に出ている先端(杭=ポスト)に人工の歯や入れ歯(義歯)をはめ込んで完成させる。
現在、形や材質の異なる数種類の人工歯根が開発されている。入れ歯よりも快適だが、衛生的な管理が難しい。 

インレー
むし歯の治療の一つに用いられる金属の詰め物。
むし歯に侵された部分を取り除いた後の空洞(クレーター)に入れる金属の詰め物
(現在、色や硬さが歯とほとんど同じ高品質のセラミックの詰め物もある)で、元あった歯の形に合わせて作られている。
ほとんどが神経の生きている歯に用いられる。
 

インフォームド・コンセント
医師・歯科医師から治療に対する充分な情報提供や説明が(インフォーム)なされ、
患者さんはそれに同意・納得(コンセント)した上で治療は進んでいくという意味である。

最近では医療全般にわたってインフォームド・コンセントがとみに求められている。 

う蝕(しょく)=むし歯=カリエス
全て、むし歯のことをいう。カリエスというと、英語では「デンタル・カリエス」または、「キャビティ」というのが正しい。 

う窩(か)
う蝕によってできた凹型の穴を言う。むし歯でできたクレーターのこと。 

う蝕予防
むし歯を予防すること。その方法はいろいろある。
国際的に推奨されている方法に、公衆衛生的な集団予防としては水道水フッ素化と、学校や施設でのフッ素洗口がある。
個人的な予防方法にはフッ素の歯面塗布、家庭で行うフッ素洗口、フッ素スプレーやフッ素入りの歯磨き剤を使用して
歯垢を徹底的に落とすことである。
特に甘味を制限すること、歯にくっつきにくい良く噛む食物をとることも口の中の清掃効果が上がってくる。
歯みがき、つまりブラッシング単独での方法は歯周病の予防とその初期治療に効果が大きい。
ブラッシング単独ではむし歯予防には期待が薄いので上記の他の方法も併せて行うべきである。 

永久歯
大人の歯のことをいう。最初に生える歯は乳歯であるが、それが生え変わったり乳歯の後ろに大人の歯が追加して生え、
大人の歯がすべて生えそろう。永久歯は親知らずまで数えて全部で32本になる。
しかし、現在、親知らずが正常に生えてこない人が多くなった。
であるから現在は統計上で集計するときには親知らずを除いて28本で計算をしている。 

SAブレード臼歯・ブレート臼歯
総入れ歯の噛む力を高めるために、入れ歯の歯の噛み合わせの面に金属の刃が組み込まれているもの。 

ME機器
メデイカルエレクトロニクス(医療用電子機器)の略称。
診断や治療に用いるためのコンピュータなどの機器をいう。現在、歯科関係でME機器の発達は目覚ましいものがある。 

オールセラミック → セラミック・セラミッククラウン
全てがせともの(陶器=陶材)で作られた歯のかぶせもの(歯冠)。

音楽療法
歯科医院では誰もが緊張する。歯を削る音や金属音はさらに緊張を高める。
不快音をなるべく除去して、音楽によってリラックスした快適な治療が受けられるように、
治療椅子自体に、音楽を患者さんに聴かせられる装置が仕組まれているものがある。
ヘッドホンを付けて聴かせる方法、治療椅子に仕組まれた数個の体で聴く振動スピーカー(ボディサゥンド)装置で
聴かせる方法のものもある(市来歯科ではこの方式を取り入れています) 

開面金冠
昔流行したが、現在、使用は禁忌となっている悪い治療の方法。
前歯にかぶせた金冠も、金冠の表面に窓を開けて作って前歯にかぶせた開面金冠も、全て歯や歯周に著しい害を及ぼす。
なぜなら、入れるときに歯ぐきに金冠の縁を食い込ませて傷つけたり、裾の方が開たりして必ず合わず、
いつも歯垢の溜まり場所になり、やがて歯がだめになり抜ける。
審美的にも良くない。金色よりも自然の白い歯のほうが健康美の極致である。 

顎関節診療・顎機能異常の診療
顎関節(がくかんせつ)つまり、あごの関節に異常が起こったために、
周囲の筋肉や神経機構などに症状が現れている人に顎関節の治療を行うこと。
それには充分な診査・診断を行う必要がある。現在、診査・診断機器類は発達してきて、
コンピュータを駆使したりして適確に診断できるようになった。
その治療には、引金になっている原因歯の調整、あごを安静に保つ咬合挙上装置(スプリント、テンプレート)よる
一次的な治療がある。恒久的には全体の噛み合わせを正しくするための
オーラル・リハビリテーションという大がかりな治療法がある。
 

顎関節症のペインクリニック
顎関節症で痛みを伴って口が容易に開けらずに、ご飯も食べるのが難しくなる人もいる。
そのような患者さんには、まず痛みを和らげるために、噛み合わせを高くして、
あごを安静にさせるスプリント、テンプレートを入れる。もちろん鎮痛剤なども併用する。 

架工義歯(橋義歯)→ ブリッジ
英語でブリッジという。歯の抜けた場所に、入れ歯を入れるためにその近くの歯を支柱(支台)にして削り、
橋を架けるような形で作られた金属の固定義歯。 

顎骨造成法・骨再生歯科
失ったあごの骨を新たに造成する治療法。歯周病や事故で部分的にあごの骨がなくなった人や、
長いこと入れ歯を入れていてあごの骨がうすくなった人に、
審美性や機能性または義歯の安定を得るために新たに骨を造成する治療法である。
自身の骨を他の場所から持ってきたり、人工骨などを植え付けて骨を造成する。
最近は、骨の造成を促してくれる膜(GBR法)を用いた治療法もなされている。 

顎偏位症
噛み合わせの不調やむし歯などによって噛み合わせの具合が悪くなった状態を長く放置したなどの原因で顎(あご)が偏り、
あごの関節や他の部位に症状が現れてきている状態をいう。
ひどくなるとあごから全身症状に移行することもある。 

噛み合わせと全身症状
噛(咬)み合わせが不調和な状態などで全身症状が出てくる場合がある。
顎の痛みや雑音などの症状、耳鳴り、めまい、耳閉塞感、難聴などや、頭の部分には偏頭痛、
果ては首や肩のこり、腰痛、不眠症、高血圧、腰の曲がり、生理痛、手足のシビレなど多くの全身症状が現れることがある。
歯を完全に治療したら全身症状が治ったという例もある。
症状のある方は、これらの治療を得意とする歯科医院で診断と治療を受けるべきである。 

噛む機能・咀嚼機能
食物を噛む(咬む)ときには下あごが上下に動いて口が開閉するが、
頭の方からあごに架かっている数種類の筋肉がのびたり、ちぢんだりしてあごの上下の運動をさせる。
また筋肉は歯を左右に擦(す)り合うような運動も併せて行って上下の歯をガッチリと噛み合わさせている。
脳の中で“噛む”指令をする場所は大脳の一等席を占めているが、人間の噛む機能は非常に複雑で最も重要な機能である。 

カリエスコントロール
むし歯にならないように常に口の中の衛生に気を付け、口の中を清潔にコントロールすることである。
それには歯垢(歯くそ、プラーク)を徹底的に取り除けるような歯みがきの習慣化が大事である。
また、歯の質を丈夫にしてくれるフッ化物の応用や、むし歯菌を育てる甘いものを制限したり、歯にかすがくっつきにくい食べ物や、
良く噛んで食べる食物などを選択し、唾液を良く出すことなどもカリエスコントロールには大事なことである。 

仮歯(かりば)
治療の途中でかぶせる仮の歯。
例えば前歯が欠けたり無くなったりすれば、審美(口元の美しさ)や発音、食事や歯ならびに障害が出るので
治療の途中で仮の歯をかぶせたり入れたりする。暫間歯(ざんかんし,しばらくの間の仮り歯)とも呼び、

長くはもたない仮の歯をいう。歯科医院では“テック”と略称(本当はテンポラリー・クラウン)して呼ぶ場合もある。 

仮義歯・本義歯
仮義歯とは、仮に、しばらくの間(暫間)だけ入れておく義歯(入れ歯)。
本義歯とは、仮の期限が終わり(例えば歯を抜いた場所のドテ(歯槽堤)の傷が治って)
再び型を取って作って入れる完成させる本格的な入れ歯。  

矯正歯科
でこぼこに列を乱して生えている歯の歯並びや、うけぐち(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)などを
直してきれいな自然な歯並びや顔形に治療する歯科のことをいう。 

クラウン
日本語訳すれば“冠=かんむり”であるが、歯の頭の部分がむし歯で大きく欠損(欠落)している場合、
その頭の部分を金属の冠ですっぽり覆い修復する治療。
最近は歯とそっくりな色と形の丈夫なセラミック冠ができるようになっている。
クラウン治療のほとんどが、神経が死んでいる歯に使われる治療法である。 

旧義歯の改善
噛み合わせは良いのだか、義歯を長く使っているとそれにつれて、義歯が乗っているドテの骨(歯槽骨)が
次第に減ってきて義歯が合わなくなってしまう。
そのために現在使っている義歯を再利用して、減ったドテの部分をプラスチックで付け足し
裏打ち(盛り合わせ=改床)改善して再び使えるようにすることをいう。 

局部義歯 → 部分床義歯
一般に歯が一本もない顎(あご)に入れる義歯を総義歯と言うが、歯が部分的にないあごに入れる義歯を局部義歯と呼んでいる。
局部義歯には固定式(ブリッジ)と取り外しができるもの(局部床義歯)がある。
局部床義歯は英語でパーシャル・デンチャーと言うが、パーシャル(局部)という言葉は現在一部の冷蔵庫に使われているように、
実は一般の耳になじんでいる言葉である。 

計画診療の治療プログラム
一口腔単位の治療を行う上で、段取りを立てて計画的に治療をしていくこと。
それには歯科医師は、まず精密な診査・診断を行い、治療の終わりまでの綿密な計画(治療プログラム)を立てる。
そのプログラムをもとに患者さんに良く説明し、了承を得たうえで治療を進めていく。
予定される通院回数・治療時間も、治療の方法、治療にかかる費用も前以て良く説明できる。 

外科矯正・顎変形の外科矯正治療
普通、矯正治療は針金の弾力を利用して時間をかけながら徐々に歯を移動させ、正常な歯並びに直していく。
外科矯正とは外科的な治療方法であり、直接あごの骨を分割して移動させたり、
余分に伸びた顎骨を切除したりして矯正する方法であり、外科治療後も微調整のために針金を用いた普通の矯正治療も必要となる。
外科治療の時には入院して治療を受けなければならないという大掛かりな治療法である。 

頸椎調整法と全身的不定愁訴の改善
首の骨の頸椎(けいつい)は第1から第7頸椎まであり、積み重なった7つの頸椎を筋肉が支えている。
咬合の不調和ではバランスを保とうとして周囲の筋肉にまで無理が及ぶ。
それが続けば、特に1と2番目の頸椎の筋肉や神経系、血管系にまで影響し、果ては痛みが走ったり腰が曲がったり
全身的な不定愁訴が起こってくる。
その治療には引金となっている咬合(かみあわせ)の改善治療とカイロプラスチック(頸椎整復整体治療法)を併用していく。 

口蓋(こうがい)
こうがいと読む。口の中のうわあごの部分。
下の方には舌があるが、上には何もなく大部分を占める硬い硬口蓋、奥の方には動くことが可能な軟口蓋で成り立っている。
上の総義歯はこの硬口蓋の部分を覆う。 

抗菌剤を使った無菌化療法
特に若年者で歯の神経が少しでも侵されていたり深いむし歯の場合には
根の先が未完成のために神経を抜くのには困難な治療が待っていたりしたし、神経を抜いて治療しても将来大きな問題があった。
しかし、最近それらの治療法が開発され、3種混合の抗菌剤で侵された神経の部分を
無菌化して神経も抜かずに回復させ残せるようになった。その治療法のことをいう。 

口腔衛生の確立・維持
歯科治療中でも、終わってからも何よりも大事なことは、患者さんは責任をもって自分の口中の衛生を確実に守ってくれることである
患者さんは必ず、専門家(歯科医師や歯科衛生士)から指導を受け早く技術を確立(マスター・習慣化)し、
それをずっと維持していくことが再び口の中の疾病を起こさせないことにつながっていく。
また、充分にその習慣が保たれているか、半年に一度の定期検診と歯みがきチェックも大事である。 

口腔外科
歯を抜くのも口腔外科に分類される一種の治療であるが、抜歯などは一般の歯科医が常に手掛けている。
口腔外科とは、難しい抜歯、顎骨(あご)や口の粘膜や組織の大きな腫瘍、骨折、損傷、口や顎の奇形などを主に
治療する専門的な診療科のことを言い、大きな病院施設には標榜されているが、町の開業医でも口腔外科の標榜が可能となった。 

咬合平面
今あるすべての歯の一点を結んで面を作る。これを平面とみなして専門用語で咬合平面と言っている。 

鈎歯
こうしと読む。取り外しができる部分床義歯を、しっかりと一時的に固定するために、
残っている歯に鈎(針金で歯をつかむ)を掛ける。この鈎の掛けられている歯を鈎がかかった歯、つまり鈎歯という。
 

行動変容歯科治療法
小児歯科において、泣き叫んだりする非協力的な子供の治療への導入に使われるテクニックである。
いわば心理療法の段階的な手段を応用したもので、上記の小児が歯科治療を受けることを可能にさせる方法である。 

コーヌスクローネ・コーヌス義歯
残っている歯と義歯とを組み合わせて、二重冠となった金属同士の摩擦抵抗を利用した針金のない入れ歯のことをいう。
まず残っている歯に金属の冠をかぶせる。それを義歯の維持装置とするために、
入れ歯には残っている歯に作られた冠よりも一回り大きな冠を作って入れ歯をはめこむ方法である。
取り外しができるため残った歯も充分に清掃ができる。これには高度な技術が必要である。 

咬合理論
人間の噛(咬)むという行動を分析したら、上下の歯がお互いにかみ合うまでの間に様々な経路をたどるのである。
単にちょうつがいのようにあごがカチカチと合わさるだけではなく、前や左右に微妙に動いてかみ合っている。
食物をかみ切るだけでなく、穀物をすりつぶす臼(うす)のような働き(臼摩運動)もしなければならない。
その噛む(咀嚼)ことや、噛み合わせ(咬合)には学者によっていろいろな説と理論があり今も研究がなされている。

咬耗
こうもうと読む。長年、噛むことによって歯がすり減ってくること。
食物のかたさ、歯のかたさ、かむ力によってもすり減る程度もちがってくる。 

骨膜
骨の表面に癒着して骨を包む薄い膜で、多数の細い血管を骨質の中に送り込んでいて栄養を助けている。
造骨機能もある。

 

骨膜下インプラント
骨膜下インプラントは1950年頃から行われ始めた植え込み式の入れ歯で、
骨膜下に義歯の特殊な金属の土台を植え込み、その土台から1〜数本の杭(ポスト)を出して維持を求める方法である。
現在はほとんど行われなくなっている。 

骨内インプラント
骨内インプラントは、骨膜下インプラントの約10年後に導入されて、
特殊な金属や骨になじむ材料でできた人工歯根を顎(あご)の骨の中に植え込みができるようになった。
外に出した杭(くい)に、義歯(単独や複数歯を固定や取り外しも可能)を入れて元あった歯の代用をすることができる。
現代はこの骨内インプラントが主流を占めるようになってきた。 

「気」を用いる咬合治療
東洋医学では、経穴(ツボ)が体のあちこちに存在しているが、
そのツボを刺激することなどで痛みなどの症状を緩解していく方法が取られている。そのツボは「気」が出入りするところと言われている。その気のツボを針などで刺激することによって顎関節症(咬合病)の痛みなどを軽減していく治療法である。
(気=万物が生じる根元=生命の原動力となる勢い) 

根管治療
生きている歯の中心には歯の根の先までつながる細長い管があり、神経や血管が収まっている。
その管を根管という。神経がむし歯の細菌に侵されていたり、細菌はもとより打撲などで神経が死滅したりしていたら、
根管の中の神経や血管を抜いて細菌で汚れた複雑な根管の中を丹念に消毒する。
その後、消毒された根管が細菌の巣にならないように専用の材料で密閉する。
この治療を根管治療という。高度な技術が要求されるため長時間の治療が必要である。 

混合歯列弓・混合歯群
歯が前歯から奥歯まで並んでいる歯群(歯列)に永久歯と乳歯と混合し生えあっている場合を言う。
この交換期の若年者にみられる。その歯の全体の並びが弓のように曲がっているので歯列弓という。

 

在宅歯科診療・在宅訪問診療
在宅寝たきり者訪問歯科診療とも言う。寝たきりになったり、診療施設に通えなくなったりした老人の自宅を、
歯科医師、歯科衛生士、栄養士が訪問し、その老人の、口の中の管理や治療、食事指導などを行うこと。
入れ歯の調整・作成、口の中の痛みなどを改善、噛む機能の回復、さらに食生活の充実をも考えた診療体系。 

刷掃指導 → ブラッシング指導
歯みがき(ブラッシング)指導のこと。患者さんは少なくとも一回以上、歯科衛生士による専門的な歯みがき指導を受けるべきである。
自己流で歯みがきを行っている人は、歯をすり減らしたり、歯ぐき傷つけたりするうえに、歯を磨いてもむし歯や歯周病にかかってしまう。歯みがきしていることと、歯の掃除ができていることとは俄然違う。歯の掃除ができなければ何にもならない。 

差し歯・継続歯・継ぎ歯
特に前歯の場合を言うが、むし歯が大きく進んで歯の神経まで侵されていたら、まず歯の根の治療である根管治療を確実に行う。
その後、その歯の根管に、人工の歯冠から出している杭(俗名:釘)を根管に差し込んでつなげて歯を修復する治療法である。
これを継ぎ歯という。
しかし現在では、いわゆる継ぎ歯はあまり行われなくなった。現在、前歯だけでなく全ての歯に対して行われている治療法は、
歯の根の上に直接人工の歯をつなぐのではなくて、人工の歯をかぶせるための土台としての支台(しだい)というものを
歯の根に差し込んで作る。
その支台の上に実際の歯と同じ形の人工の歯をすっぽりとかぶせて覆う(ジャケット冠)治療法が行われている。 

残存歯
歯が既に抜けて無くなっている欠損歯に対して、歯並びの列の中に残存している歯のことをいう。
残存歯は欠損歯の場所を修復する基準になる歯として重要であるばかりではなく、
その場所に入れる義歯の維持装置としても重要な歯にもなりうる。
そのような大事な歯であるからなるべく長く残せるように術者も患者さんもお互いに努力するべきである。 

周辺医学・隣接医学
主に口(口腔)の領域に近い周辺の全身医学のことをいう。
例えば、口腔は耳鼻咽喉、頭部にも近いし周辺の筋肉、神経、血管、さらに呼吸器系、消化器官、循環器系などにも
おおいに関連をもっている。

口を単独のものとしてとらえるのではなく、口は健康の門と言われるように重要な臓器の一部であると考える。
言い換えれば、口は消化器官の第一の関門であり、歯は衛兵で臓器の守り役といえる。
口腔の機能が失われることによって起こる様々な病気や、全身症状と口腔の関連を学んでいく学問のことを言う。 

自家歯牙移植術 → 歯の移植(歯牙移植)
自分の歯をある部位から他の部位へ外科的に移植することをいう。
親知らずを抜いて、歯が抜けてしまった場所に植え直すことが多く行われている。
また、その場所に保存ができない歯や、歯列を乱して噛めない所に生えている歯、
あるいはあごの骨の中に埋まっている歯を抜いて、歯が抜けてしまった場所に移す場合もある。 

歯科東洋医学
東洋医学を歯科の治療として取り入れたもの。
経穴(ツボ)、経絡(ツボの流れ)を応用して針などで刺激を与え、歯の治療時の痛みを無くしたり和らげたり、
顎関節症から起こる不定愁訴の診断や、顎関節症の治療に針やカイロプラスチックを応用すること。 

歯間清掃法
歯と歯との間の歯間にたまっている食べかすや歯垢を取り除き、
隣接した歯の壁にできる隣接面のむし歯や歯周病などの予防のために行われる特別の刷掃法である。
歯ブラシでも少しは清掃ができるが難しい。
そのために、歯間を掃除する専用のフロスや歯間ブラシを使うとさらに効果的に清掃できる

歯間ブラシ
歯と歯との間やブリッジの橋の下などに停滞した歯垢を取り除く小さなブラシのこと。
ブラシの形は、家庭でビンの中を洗う針金付きのタワシに似ている。 

歯頚部知覚過敏・知覚過敏
歯周病の治療で、ブラッシングの効果が出たために腫れが引いて歯肉が退縮したり、
歯石を除いたり、あるいは歯肉を切除した後に歯の根面が露出して急に冷たい水がしみるようになったりする。
さらにブラシの毛先が当たっても痛みを感じるようになる場合がある。
知覚過敏の発端はほとんどが、上記ものが原因になっているが、
普段は、その部分にたまっている歯垢を徹底的に取り除いて清掃しながらしばらくすると回復してきて、
しみるのは感じられなくなるので心配はいらない。
しかし、あまりにも不快であれば歯科医院での知覚過敏症の治療を受けたり、
市販の知覚過敏回復用の歯みがき剤を使ったりして回復を待つ場合もある。 

歯垢・歯苔
プラーク(歯くそ)のこと。歯に付着している食べかすではなく、細菌の固まりや集落。
長時間かかって増加した毒性や酸性が高まった細菌のかたまり。1ミリグラム(約耳かき1ぱい)の中に
数種の細菌が30〜50億個もいる。細菌は歯垢中で、口の中に食後に残った食物かすなどを分解させながら強力な酸を作る。
この酸が歯のカルシウムを溶かし、むし歯を発生させる。また細菌は、毒を出したりして歯周炎や歯周症を発生させていく。 

歯周病治療
歯の周りの組織、つまり歯ぐき(歯肉)や歯を取り巻く骨(歯槽骨)の病気の治療のことを言う。
歯ぐきだけの病気を歯肉炎と言い、さらに病状が進行して歯の周りの歯を取り巻く骨まで及んでいるのを
歯周炎(俗名で歯槽膿漏)と言い、総称して歯周病と言っている。
治療方法は、患者さんと、歯科医師、歯科衛生士の連携プレーによってなされる。
患者さんは、歯周病の原因菌の集落となっている歯垢(プラーク、歯くそ)を
ハブラシの毛先などで徹底的に取り除くようにするプラーク・コントロールを行う。
歯科医院では、歯科衛生士や歯科医師が、歯垢が変化して硬くなった歯石を取り除いたり、
歯科医師が歯周病に侵されている歯肉や歯槽骨を、薬物療法や外科療法などで治療したりしていく。
歯周病は患者さんと医療サイドの連携の努力と協力で必ず治せる。
歯を失っていく(入れ歯を使うようになる)のは、むし歯よりも歯周病が原因であることががぜん多い。
最近では、糖尿病などの全身的な病気や、喫煙が歯周病を進行させたり治癒を遅らせたりする因子であると言われている。
歯周病治療を行うと共に全身的な病気を治したり、禁煙したりすることによって回復を早めることができる。 

歯周ポケット
歯周病、つまり歯肉炎や歯周炎にかかり、歯の回りを取り巻き歯と歯ぐきの境目に存在する歯肉溝(健康な状態の呼び名)が
深くなり病的な状態になることを歯周ポケット(病気の時の呼び名)が出来たと言う。
そのポケットの深さを測ることで炎症の進行の度合が分かる。 

歯周補綴
歯周病のうちの歯周炎(俗名は歯槽のうろうと)は、歯を支えている歯槽骨がなくなっていく病気である。
ひどくなると歯は歯の周りの、骨の支えを失いグラグラと動くようになってくる。
そのような動く歯をつなげて動かないように固定するための補綴治療がある。 

磁石を使った義歯・マグネット方式義歯
義歯は、義歯が動かないようにと、普通、針金を使って残っている歯に維持を求めている。
マグネット義歯とは、磁石の引力を利用して義歯が外れないように工夫された義歯のことをいう。
針金のかわりに磁石のくっつく力を利用している。歯の方には、歯の根に磁石に反応する金属を差し込む。
義歯の方には歯に対応する場所にマグネット(磁石)を入れ込む。義歯を装着すると、磁石と金属が引き合うことで維持が得られる。
このため、入れ歯の取り外しも容易であり、針金なども外から見えずに審美的にも優れている。 

自浄作用(口腔の)
口の中は自分できれいにする働きを持っていて、歯や歯周の病気を予防しようとする作用がある。
このことを口腔の自浄作用と言っている。それには唾液が口の中にうるおうことがまず大事である。
唾液の中には細菌の働きを押さえたり、細菌の作る酸も薄めたり、食べかすが歯や歯肉にくっつきにくくする作用もある。
この他に、繊維性の食物や良く噛まなければならない食物でも歯に付いた付着物を取り去ってくれるという自浄作用もある。 

歯髄(しずい)
いわゆる歯の神経のことを専門用語でこのように呼称している。
歯髄は歯の中心にあり、神経や血管で構成され、血管からは常に歯に栄養が運ばれてくる。
歯髄を抜くことになれば、木の髄(導管)が死んで枯木になったのと同様で、歯は次第に弱りもろくなる。 

歯石
歯垢は生きた細菌の固まりである。生あるものはやがて死が訪れる。細菌の死骸が蓄積して、
その中に唾液や血液に含まれる無機質(ミネラル)が沈着して石のように硬化したものが歯石である。
いわば細菌の墓場である。歯石はハブラシでは決して除けないので歯科医院で取り除いてもらわなければならない。
歯石があると、そこは生きた細菌の絶好の溜まり場所(隠れ家)となり悪循環が続いていく。 

歯槽堤・顎堤・ドテ(土手)
歯が植わっている骨の部分を歯槽堤あるいは顎堤ともいう。
歯を抜かれたりして歯が無くなると骨だけが残り、川の堤(つつみ)つまりドテ(土手)のように突出した状態になる。
ドテは俗名で言っているが、入れ歯を入れる時にはドテの状態が重要である。
ドテの具合で入れ歯が安定するための難易度が決まってくる。
 

支台歯
歯にかぶせる治療の歯冠補綴またはブリッジの橋の支柱になる歯のことをいう。 

歯内療法・エンド
どちらも根管治療と同じ言葉である。エンドは歯科医師などの専門家が使う簡略語で、正式にはエンドドンティックと言う。 

歯肉炎
歯周病の中の一つで、歯肉だけに限局して起こる炎症である。
口の中の清掃が悪く歯肉の方に歯垢が溜まると歯垢の中の細菌が毒素を出し、
それが発端になった免疫反応などで歯肉に炎症が起こってくる。
また不適合な補綴物や、食物の介入、むし歯などによっても発生する。単純なものであれば確実な清掃によって早期に回復する。
しかし、そのまま放置をしておくと、さらに悪化して歯周症(俗名:歯槽のうろう)になっていく場合が多い。 

歯肉溝
歯と健康な歯肉との間にある歯冠や根を取り巻いている溝。
正常な場合、その溝の深さは1〜2ミリである。3ミリ以上になると、歯周ポケットといわれる病気の溝になる。 

歯肉のメラニン除去レーザー
自然で健康な歯ぐき(歯肉)は艶やかなピンク色をしている。
その歯ぐきにメラニン色素(黒や褐色の色素)が沈着して茶色や黒色となり審美性に欠ける場合がある。
それにはいろいろな原因があるが、特に最近の研究によれば、
喫煙によるニコチンやタールの作用でメラニン色素やタールが呼び込まれるという。
除去には普通、注射麻酔をして歯肉バサミや歯肉を削る器具でメラニンの沈着した部分を取り去るのだが、
歯科用に開発されたレーザーで容易に取り去ることができるようになってきた。4〜5回のレーザー処置が必要とされている。 

ジャケットクラウン
歯にかぶせる歯冠補綴のうち、前歯に使われる治療の方法で、歯の表面全部を人工の冠で覆う。
英語で、すっぽり覆いかぶす服装のジャケットからきている。形態や機能、審美性の回復を望める。
作る材料には、合成樹脂のレジン、陶材がある。それぞれレジン冠、陶材冠と呼ばれている。 

自由診療=保険外治療=私費治療
保険の枠内ではできない治療。保険診療には適用の枠があって治療が制限されている。
保険では受けられない治療のことであり、自由診療と言って、
例えば最先端治療のインプラント治療や審美セラミックなどは患者さんが自分のお金で治療費を支払わなくてはならない。
義歯の中でも、金属の義歯床を用いた義歯、チタンや貴金属の義歯、アタッチメントやテレスコープを使った義歯などは、
患者さんが自分のお金で負担をしなければならない。これらの治療は歯科医師から充分な説明を受けるべきである。 

充填
じゅうてんと読む。
むし歯を削り、プラスチックや金属を詰めること。 

修復・修復物
むし歯に侵された歯を人工の詰め物やかぶせものなどでつくろい直すことを修復という。
レジン、インレー、冠などが修復物である。 

障害者歯科診療・重度心身障害児の歯科治療
全身的な障害があり、歯科の診療が困難なために特別な方法を駆使し治療を行う専門的な診療。
術者は隣接医学、周辺医学の知識がぜひとも必要である。
歯科の診療が困難な障害者は、知的障害と肢体不自由が主である。
知的障害者(児)は歯科の治療に理解が得られない場合がある。肢体不自由者(児)は、治療椅子に座るのが難しかったり、
治療機械が容易に使えなかったりする場合がある。全身麻酔を使用して歯科の治療する場合もある。
障害者歯科診療は、治療よりも予防が主体であり、施設や家庭での十分な予防への取り組みが必要不可欠である。 

笑気ガス・笑気麻酔治療
歯科治療時に極度の恐怖を持つ患者さんに対して、精神の安定のためや、
痛みも感じないようにする目的で笑気ガスというものを使う一種の全身的な麻酔。
しかし、麻酔作用はさほど強くなく、意識も失わせないという笑気ガスを用いたガス麻酔下で、歯の治療を行うことをいう。 

小児の咬合誘導・咬合育成
小児期はあご、顔面、歯が発育・成長を続ける重要な時期である。
噛み合わせも年齢と共に刻々と変化していく。特に噛み合わせは将来の適切な噛み合わせを作るために重要な鍵を占めている。
小児期を通じての適切な健康管理と指導によって、完全な咬合機能を完成させることができる。
噛み合わせの育成上の問題が起これば、早期に矯正装置や咬合誘導装置による治療によって正常な育成を促す。 

床装置による小児矯正・床矯正装置
小児の矯正や、咬合誘導に用いる小規模な矯正装置のことである。

取り外しのできる、維持となる床に歯を動かすための弾力のある針金などが仕組まれていて、その弾線などを徐々に動かし、
目的の自然な歯並びに仕向けていく矯正装置のことである。
矯正装置には他に、針金の弾力には頼らずに歯を正しい方向へ滑らせていく咬合斜面板などもある。 

小矯正
本格的で大規模な矯正ではなくて小規模な矯正のことを言う。
本格的な矯正は、まず害になっている歯を抜いたあと(抜かなくても良いこともある)全体の歯に装置を仕組み、
それに組み込んだ弾性のある矯正線を調整しながら全体の歯を徐々に動かしていく方法である。
小矯正とは、1,2本の数少ない歯を簡単な装置などで動かして歯を矯正していく方法である。 

シーラント → プラスチック樹脂で歯の溝をシール
歯には溝がある。奥歯の溝は特に狭く深いために、汚れが溜まってもブラシの毛先も届ず、予防を怠るとすぐにむし歯に侵され易い。
特に、子供の生えたての幼若永久歯や乳歯は、細菌が出す酸に容易に溶かされ易い。
このため、あらかじめ深い溝を流れの良いプラスチックで完全に塞いでむし歯のかかり易い時期を極力保護するという予防方法である。現在、材料も発達しており、耐久性も良くなったし、
歯を固く丈夫にしてくれるフッ素を混入したフッ素徐放性シーラントも使われている。 

歯石
歯垢は、生きた膨大な数の細菌が住み着き、それらの集落でできている。細菌は時が経つと次々に死んでいく。
その死骸は次第に歯の表面に積み重なっていく。そこに唾液の酵素やミネラルなどが作用して硬く石のようになって歯にこびりつく。
また歯石の表面はデコボコであり、新しい細菌の良き住家となり歯周病を起こす原因となる。
ブラッシングが上手な人は歯石ができにくい。

人工歯根 → インプラント・インプラント療法
 

審美歯科・審美歯科補綴
従来の歯科は、美容は二の次で、噛める機能を回復するために失った歯のかわりに義歯を作ったり、
むし歯の治療で歯につめ物をしたり、かぶせものをしたりする修復治療が主な目的であった。
審美歯科は、それに加えて先端技術を駆使しながら顔貌の美しさ、自然の口元の美も追及していこうとするものである。
歯の治療には、美しい歯、白い歯、自然な歯並び、すてきなスマイルを作るため歯科医師は全能を傾ける。
フランスの歯科医院では“素晴らしいスマイルの筋肉訓練法”を教える審美歯科専門医もいる。 

スケーリング
歯にこびりついている歯石を除去すること。歯にこびりついている歯石はブラッシングでは決して取れない。
専門家の歯科衛生士が取り去ってくれる。年に一回、または歯石が付きやすい人は年に2回の定期検診が必要である。
そのまま放置しておくと歯周病は悪化していく。 

スプリント
顎関節症の痛みを和らげるために一時的に歯にはめこむ装置。
その装置によって噛み合わせを高くするとともに、あごを動かす筋肉の張りを緩めたり安静にさせたりする装置。

 

スルフォン床義歯
スルフォンは、レジンつまりプラスチック(合成樹脂)の一種類で、普通に用いる義歯のプラスチックよりも耐摩耗性も強度もある。
普通の義歯用プラスチックは粉と液を混ぜ合わせて型に流し込み、熱を加えて化学反応を起こさせ、硬い義歯に仕上げていく。
スルフォン床義歯は、プラスチックの約小豆大の粒子などを、大掛かりな機械の中でドロドロにして、
強固な義歯の型枠の中に圧力をかけて流し込み義歯に仕上げていく。 

生理学的咬合の回復
問題が起きている咬(噛)み合わせを、人間本来の自然で生理的な咬み合わせに回復をさせるということ。 

生物学的手法を用いた根管治療
むし歯で、歯の中心にある歯髄が死んだら、歯髄の入っていた根管の中を確実に消毒したあと、専用の薬剤で完全に密閉する。
しかし、根管の中は一様ではなく、歯によっては様々な形や分枝をもっている。
根管を消毒して再び細菌の巣にならないように完全に密閉する、優れた技術が特に求められる。
これが正しく行われれば、歯髄がない歯であっても、歯そのものや周囲の組織は再び活性化してくる。
このような考え方に基づいて行う根管治療のことを総称して言う。
根管治療の後は歯が割れないように、また折れないように、冠をかぶせたりして歯が破損するのを防ぐ。 

接着技術
最近の歯科用接着材料の開発と技術の改善は目覚ましいものがある。
このおかげで従来の歯科技術では不可能とされていたことが可能になってきている。
接着のメカニズムは、マクロ的な機械的結合(固体表面の凸凹に接着剤が流れ込み接着する)と
ミクロ的な化学結合(固体表面の分子に対して接着剤が分子レベルで配分して、分子間の引っ張り合い、
イオン結合などによって接着する)がある。 

接着性レジン

レジンとはプラスチック(合成樹脂)のことであるが、歯や金属に接着性のレジンを接着させて修復物や冠を強固に固定する方法である。この方面の研究は目覚ましく、さらに新しい臨床応用が展開している。 

接着ブリッジ
橋の支柱になる歯の表面のエナメル質と金属とを接着させてブリッジを固定する方法。
従来からある一般的なブリッジの術式は、橋の支柱になる歯を全体的に多く削り、
その上に大きな金属の冠をかぶせて接着剤で固定していた(つまり、一本の歯を失うことで、
隣の2本の歯まで金属の冠をかぶせることになる)。
接着ブリッジは、接着剤(接着レジン)の開発や電子顕微鏡によるミクロのレベルでの接着の解明で、
歯をほとんど削除しなくても良くなるくらい強固な接着が得られるようになった。
しかも、むし歯の発生も極力抑えられるようになった。 

セラミック・セラミッククラウン・オールセラミック
セラミックは陶器、陶材、瀬戸物のことで、歯科界では、その応用に長い歴史がある。
最初、取り外しの義歯(総義歯、局部義歯)の人工歯として用いられ、引き続いて、歯冠の再現修復(継ぎ歯など)に用いられた。
現在では、硬さも審美性も優れたものが出来るようになった。その一つが、白いセラミックによる冠(セラミッククラウン)である。
前歯のむし歯治療や変色した歯に、非常に薄い強固なセラミックが使われている。
最近はさらに奥歯の金属冠の変わりに使われるほど強度と精密性、審美性が出せるようになっている
その応用方法には数種類があり、見える部分にはセラミック、見えない部分には金属となっている金属焼き付けポーセレン
すべて瀬戸物(セラミック)で作るオールセラミックの冠もある。
また、変色歯の、表面の部分だけを爪のような薄いセラミックでできたもの(ベニヤクラウン)を接着させるものもある。
セラミックを使うことで、白い自然審美的な歯を得ることができる。 

全身咬合学
口(口腔)はただ一つのものと考えずに、食べること、話すこと、容貌、噛み合わせ(咬合)、
全身の健康や精神面など様々な面においても、充分にかかわりがあるということに重点をおいた歯科の学問。
つまり口腔は全身にとって非常に重要なの臓器の一つであるという大きな視点に立った歯科の学問のことをいう。 

全身状態も考慮した有病者歯科治療
歯科の疾患だけではなく、全身のどこかに大きな疾病も併せ持つ患者さんの歯科治療。
このような有病者の歯の治療は特に注意を払う必要がある。
例えば、全身的な機能の低下のある患者さんを、歯の治療によって悪化させたり、余病を併発させたり、
また重篤な状態に陥らせないとも限らないからである。
また、生態防御機構の低下や薬剤に対する反応の変化が健康な人よりも著しくなっている場合もあるからである。
このような患者さんには歯科医師は、患者さんのかかっている主治医と連絡を取り合って安全で円滑な治療ができるよう心掛けている。 

全人的治療 → ホリスティック医学的な考え方 

前歯部補綴
特に前歯の部分だけを人工で作って、審美的に天然の歯のような色の人工物を装着する治療で、
継続歯、セラミッククラウンなどの治療方法がある。
もしも途中の歯が抜けて欠損していたらセラミックブリッジで補うこともできるが、
最近は歯のない部分だけに人工歯根(インプラント)を植え付けて、単独でセラミッククラウンなどを装填する方法も可能となっている 

即時義歯
歯を抜かなければならない場所に、抜いた時のドテを想定して義歯をあらかじめ作っておき、
歯を抜いたときにすぐ装着することが可能な入れ歯のことを言う。
この即時義歯によって歯を抜いた傷の保護、傷の回復の促進、ドテの整復平坦化、咀嚼機能回復、審美的回復などを得ることができる。

 咀嚼
食物をかみ砕き唾液とよく混ぜ合わせ、適当な大きさで水気のある食塊を作り出して飲み込みやすくすることをいう。
この行動が正しく行われるには約7つの筋肉がかかわって複雑な運動をしている。 

咀嚼機能 → 噛む機能 

ソフトレザー
現在、歯科医療に使われているレーザーは、ソフトレザーとハードレザーがあるが、
ソフトレザーは、低出力のレーザーを使用しており、主に痛みに対して効果がある
@    舌や口の中の炎症を抑えたり、痛みを緩和したりすること
A    抜歯後の痛みを取り除いたり
B    慢性化しつつある病変を、治癒の方向に向けさせる
C    歯が水などにしみる知覚過敏など、広範囲に使われ応用されている。 

治療プログラム → 計画診療 

ティシュコンディッショニング → ハイドロキャストテクニック
入れ歯を作る初期の段階で使用するが、ドテ(入れ歯が乗っている土手)の粘膜に傷が付いたりしていたり、硬い粘膜や軟らかい粘膜の入り混じったデコボコの粘膜である場合に、将来作る義歯にとつての最適な土手に回復させるための一治療法である。それは専用の柔らかい材料(ハイドロキャスト)を何回か入れ歯の裏に引いて数日間を使用してもらい、粘膜の回復を図り、その後に本格的な義歯を作る

 デンタルフロス → フロス

 チタン義歯
チタンはどの金属よりも体に対する親和性と安全性が高く、耐食性や生体適合性を持ち、
どの金属よりも軽く、たわみ(弾性率)強さにも優れている。
しかし、チタンは高熱でなければ溶けないうえ鋳込むのも難しく多くの問題があった。
近年、チタンの鋳造に対する技術の進歩、製品の開発が功を奏し、優れた性質を持つチタン義歯が誕生した。
インプラントの材料としても用いられている。

低周波で顎顔面の筋の緊張緩和・マイオモニター治療
間隔をもって送り出される電気(パルス電流)の刺激装置のことをいう。
この装置によつて、緊張してこわ張っている口の周り、顔やあごの多くの筋肉が、収縮とゆるみをリズミカルに反復させることで
マッサージの効果を得ることを利用している。
マイオモニターは商品名である。
これは顎関節症の治療に使われたり、総入れ歯の型取りや咬み合わせの高さの決定にも使われている。 

テレスコープシステム
二重冠によって維持力を得ることのできる装置のことである。
義歯が外れないようにするには、義歯に付けた針金(鈎)で、残っている歯に引っかかりを作るのであるが、
テレスコープシステムは、針金は使わずに義歯の維持となる歯の冠に、
ひとまわり大きい正確にはまり込む冠を義歯に取り付けることで維持力が発揮される。
緻密な診療と技工操作が必要で、また、数本の歯に維持を求めるときには非常に精密な作業が必要であり平行性の狂いがあってはならない。このテレスコープシステムを用いた義歯をコーヌス義歯とも言う。 

テンプレート → 顎関節症を伴う不正咬合のスプリント 

東洋医学的療法
歯科に東洋医学的な療法を応用したものである。
まず患者さんの全身的な病状を診たうえで、生活環境まで観察し、総合的な診断をする。その情報などから、
経穴(ツボ)などを利用し刺激し、口腔から発している痛みの軽減などを行う。
抜歯のときに針を利用して麻酔することも行われている。
 

二重金冠 → コーヌスクローネ・コーヌス義歯 

乳歯
脱落歯ともいう。人間は人生で2回歯が生える。まず小児期に生えるのを乳歯という。
乳歯は20本の歯が生えそろう。乳歯は生後6〜8カ月から生え始める。乳歯は2〜3年で生えそろい、
6歳頃から永久歯への交換が始まり、11歳頃には全ての永久歯へと変わる。 

ハイドロキシアパタイト
歯の基本の構造物質である。歯の表面の一番硬い部分はエナメル質と言う。
そのエナメル質の下の方にある、象牙のようにいくぶんか軟らかくなっている構造物を象牙質と言っている。
エナメル質の97%、象牙質の70%がハイドロキシアパタイトで構成されている。
むし歯になると、歯垢によって作られる強い酸でエナメル質は“脱灰”という溶け出しが始まる。
ごく初期のむし歯は、歯垢をしっかり取り除くことで唾液の中に含まれている再石灰化物質(フッ素など)で、
溶け出した所のむし歯の欠損部は再び自然な状態に修復される。この現象を“再石灰化”と言って最近非常に注目されている。
フッ素入りの歯みがき剤で早期の再石灰化は期待できる。 

ハイドロキャストテクニック → テイッシュコンデイッショニング 

ハードレーザー・レーザー応用の歯科治療
高出力のレーザーを応用して歯科の外科手術などに応用している最先端の歯科医療技術である。
他にむし歯の予防処置、根管治療、むし歯の削除(窩洞形成)、歯石除去にも応用されておりその用途は現在広がっている。 

歯ぎしりの治療
歯ぎしりは上下の歯が異常に強く擦り合わさる時に、特異なきしり音を発する雑音である。
これが長く続くと歯が擦り減ってしまったり、顎関節症を招くとも言われていたり、歯周組織にダメージを与えたりする。
これらの治療は、噛み合わせの調整によって不均衡を除いたり、
ナイトガードやテンプレートなどの咬合保護床というのを使ったりして、歯が異常に擦り合わさないようにする方法がある。
また、精神的な疲れが大いに原因している場合には、暗示療法も用いられる場合もある。 

8020運動
80歳で20本の歯を残そうという運動。
人生80年時代を迎えて、健康で快適な生活を営むためには、栄養面から考えても最低20本の歯が必要である。
20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物がおいしく幅広く食べることができる。
しかし、わが国では、現在80歳で約5〜6本しか歯が残っていない。
ちなみに、アメリカでは80歳で平均15本の歯が残っているし、スエーデンでは20本も残せる可能性も出ているという。 

歯の移植(歯牙移植)→ 自家歯牙移植術
歯を外科的にある部位から他の部位に移植させること。
例えば、親知らずなどを抜いた場合、歯が抜けてしまった場所に植え付けることもできる。 

歯のクリーニング
歯には、歯垢や歯石、タバコのヤニ、食べ物に含まれている色素(例えば茶シブ)などが付着している場合がある。
それらを歯科衛生士の専門家が専門的な器具を用いてクリーニング(除去)をすることを言う。
歯周病の治療の段階で、歯垢や歯石を取り去ってもらう治療には健康保険が適用できるが、
美容のためにタバコのヤニや茶シブを取ってもらうことは保険が適用できず自費払いである。
歯科医院ではサービスで除去してくれるところもある。 

歯の再植
偶発的な事故、例えば子供が硬い物にぶつかり歯が抜け落ちたのを、再び元あった場所に植えもどすことをいう。
あるいは、意図的に抜歯された歯を元の位置にもとどおりにもどすことを言う。 

歯の裏側矯正
外から矯正装置が見えないように裏側から矯正装置を取り付ける方法である。
大掛かりな矯正治療では、一般に、歯の表面に金属のバンドや小板(ブラッケット)を接着し、
それに矯正の針金を付けて針金の弾力で歯の移動を行っている。
外から見える位置に金属装置を取り付けるので審美的にも少し問題がある。
そこで、表からは見えない歯の裏側に小板(ブラッケット)や針金を付けて矯正するということである。しかし、技術は難しい。 

パラメディカルスタッフ
デンタルスタッフともいう。歯科医院に勤務している従業員のこと。
受付、事務、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工師などのこと。 

針(鍼)治療 → 東洋医学的療法・歯科東洋医学 

BBOで診断
バイオ・バランス・オクルージョンの頭文字を取った略語である。
顎関節の不調和からくる不定愁訴や、偏頭痛、腰痛などの症状が出ている患者さんを診断して、
本来の調和のとれた咬合を得る(噛み合わせの正常化)ことをいう。 

複製義歯
義歯(入れ歯)を作るときに、まずひとつめの義歯(治療義歯)を患者さんに装着してもらう。
そのひとつめの第一義歯によってしばらくの間、義歯が乗るドテ(歯槽堤)や粘膜を固めて整える。
そのドテの状態が良くなったら、さらにもう一つの本格的な義歯を作ること。
従って、入れ歯が出来るまでに、2つの入れ歯をはめ直すことになる。 

不正咬合
歯並びの弯曲(歯列弓)、歯、あご、顔面が何らかの原因で形や機能に異常があり、
その結果として、正常な噛み合わせとならない、つまり上下の歯が上手に噛(咬)み合わないことを言う。
不正咬合の種類は多く、しかも多様にある。この不正の状態が長く続くと歯や歯周やあごにいろいろな弊害が起こり易くなる。

フッ素中心の予防歯科
むし歯は、歯の汚れである歯垢から作られる酸によって、歯の構成成分のカルシウムが溶けだして起こる。
フッ素は、海、地中、食物など、ありとあらゆるものに存在するミネラルの一種であり、
人間が生きていくために必要とされているものである。このフッ素を歯の構成成分であるカルシウムに反応させ、
歯が容易に酸に溶け出さないような耐酸性の構造に歯を変化させることでむし歯の予防となる。
このフッ素を用いた予防法は国際的に大いに用いられて大きな成果を上げている科学的なむし歯予防法である。
日本はフッ化物を応用してのむし歯予防には、まだ認識が低すぎる。 

フッ素洗口
フッ素による永久歯のむし歯予防法の一つのである。安全で手軽、安価なむし歯予防。
比較的低濃度のフッ素溶液を少量口に含み、1分間ブクブクうがいをする方法で、保育所、幼稚園、学校などで、
集団で行うのに適している。我国では現在16万人近くの子供に実施されていて、むし歯予防の大きな成果をあげている。 

フッ素による再石灰化
歯の表面が溶けて白濁したりチョーク状に変化したりしてきたごく初期のむし歯に、
フッ素を働きかけると、元の歯の状態にもどることをいう。
むし歯によって溶けた歯が再び元の状態に治っていくことを“再石灰化する”と言う。 

部分床義歯 → 局部義歯
歯が全部なくてあごの全体に渡って入れた義歯を総入れ歯(総義歯)と言うが、
自分の歯がまだ残っている人が、部分的に入れた取り外しのできる義歯を部分床義歯と言っている。 

ブラッシング指導 → 刷掃指導
歯みがき指導のこと。
歯の汚れや細菌塊(歯垢)が充分に除けるように歯科衛生士が、その人に合った正確な指導をして歯周病の予防と、
歯周病の治療を補助すること。ごく初期の歯周病はブラッシングだけで治っていく場合が多い。
むし歯予防には、フッ素入りのブラッシング指導が、効果が望める。
自己流で歯みがきを行っている人は、歯や歯ぐきを傷つけることが多いので、
必ず1〜2回は専門家によるブラッシング指導を受けたほうが良い。 

プラーク・コントロール
むし歯や歯周病の原因となる歯垢を、ブラッシングなどで上手に取り除いたり、
歯垢が作る細菌の悪い物質や毒素を押さえるために化学的な方法を用いたりして歯垢(プラーク)コントロールすることである。 

プラスチック樹脂で歯の溝をシール → シーラント 

ブリッジ(固定式)
ブリッジは、日本語訳では“橋”であるが、歯が無い部分に、その隣の歯を橋の柱として利用して、
金属の橋を架け、固定して歯を補う治療の方法。一本歯を失うと、少なくとも両隣の二本の歯は金属冠となる。 

ブローネマルク・インプラントシステム
ブローネマルク博士の考案した人工の歯根で、1965年に歯科医院に導入された。
純粋なチタンによるスクリュー(ねじこみ)型のインプラントである。歴史的にも長く、世界中で広く用いられている。 

フロス・デンタルフロス
糸ようじのこと。よってない100本くらいの合成繊維の細い糸の束で作られている。
歯と歯との間に滑り込ませて上下運動を繰り返し行うことで、歯間の歯垢を取り去ることを目的とした歯の掃除道具。 

フロッシング
デンタルフロスを使い、ブラッシングでは充分に清掃できない歯と歯との間(歯間や隣接面部)に
付着している歯垢を除去して清掃効果を一段と高める方法。 

ヘミセクション
歯を分離・分割して抜歯すること。
根が二本以上ある奥歯(臼歯)で、悪くなって残すことが不可能な一つの根の部分だけを切り放して抜き、
良い根の部分は残して利用することをいう。
従来は残せる根の部分があっても一本の歯全部を抜いていた。 

包括歯科医療
健康指向の歯科医療であり、単に口の中の治療だけではなくて、
予防から治療後の機能回復(リハビリテーション)までを含めた人間の健康全体にかかわる歯科医療ということ。 

保存処置
歯を残すための処置(治療)。
むし歯を削って歯に金属などを詰めたりする修復治療、根管を治療する歯内治療、歯の回りの組織を治療する歯周治療に分けられる。

補綴(ほてつ)・補綴治療
歯が抜けてしまった(欠損した)場所に義歯を作り入れる(補い綴る)こと。
全部の歯が欠損していたら全部床義歯(総義歯)を入れる。部分的な欠損には、取り外しできる部分的な義歯を部分的義歯と言っている。歯冠の崩壊には金属冠、継ぎ歯、ポーセレン・ジャケット冠という取り外しがきかない歯冠補綴物などがある。
1,2本の歯が欠損していたら、固定式の義歯のブリッジがある。 

補綴前処置
有床義歯やブリッジ、歯冠補綴などの補綴治療を行う前に、ドテ(歯槽堤)や歯肉などの周囲の組織を整える治療である。
この処置が適確に行われれば、補綴治療後の経過は良く、痛みも起こりにくく、二次的なむし歯も歯周病も起こりにくくなる。 

ポーセレンインレー・セラミックインレー
神経がある歯で、むし歯治療の中でも比較的大きなむし歯の治療は、むし歯を削った後、歯型を取って、
それから作り上げた金属の詰物を詰める治療となる。
この詰物をインレーと言うが、セラミック(陶材)ポーセレンインレーは、詰めると自分の歯と同じ性質に近く、
歯と同じ色なので、治療の後も見えず自然な歯そっくりである。 

ホーム・ドクター
かかりつけの家庭医のこと。口のことすべてにおいて治療から予防、定期検診まで全てを管理してくれる歯科医師。
患者さんからの要望も増え、今後このホーム・ドクターも多くなるであろう。 

ホリスティック医学的な考え方・全人的治療
歯だけではなく、全身の健康を患者中心に考えて歯科の治療を展開していく歯科医療の考え方。
これまでの歯科医療は、口の中の病状を改善、修理していくだけの治療であった。
この考え方では、口も全身臓器の一部としてとらえ、この観念をもとに口腔内の病状を改善、
全身の予防、健康増進を図ろうとする“口腔医療”の考え方。 

ホワイトニング
美容的上、歯を白くしていく方法。着色歯の漂白や、歯の表面を薄く削ってセラミックの薄片を接着させる美容的な治療。
レーザーでのホワイトニングも可能である。 

マイオモニター → 低周波で顎顔面の筋の緊張緩和 

摩耗
さまざまな理由や原因で歯がすり減った状態(例えば、歯ブラシを長年間違った方向に使っていて歯が擦り減ったなど)。 

無痛歯科治療法
無痛麻酔のテクニック(痛くない注射麻酔の技術)、レーザーの利用や超音波振動、東洋医学の針麻酔、
笑気ガスなどによる鎮静法を用いたり、ヘッドホンやボディソニックなどの音楽を利用したりして
痛みをやわらげながら快適な歯科の治療をする方法。 

メンテナンス
日本語訳では、維持、管理、保守であるが、歯科医療ではいったん回復した口の中のが、再び疾患に侵されないように、
また維持できるように定期的に患者さんを呼んで診査して健康管理をしていくこと。 

メタルプレート
金属(メタル)床義歯のことを言う。
総義歯のメタルプレート義歯は、外から見えない場所に金属の丈夫で非常に薄い板(プレート)を仕組んで作る。
このため、口の中はプラスチックの義歯よりも広く使え、異物感も少なく、万一落としても割れにくく長持ちもする。
食べ物の温度も直接上顎に伝わってきて味も感じやすく、熱に対しても快適で、しかも清潔でもある。 

有床義歯
ドテの粘膜部分をおおう義歯のことで、床(プレートや翼)があり、取り外しができる義歯のことである。
ドテの一部をおおう形式のものを部分床義歯といい、全部をおおう形式のものを全部床義歯と言っている。 

ラバーダム防湿法
歯の治療中にゴムの薄いシートを使って、治療の歯に細菌や湿気などが入り込むことを防止する方法。
口の中はたくさんの種類の細菌がいる。その中でむし歯の修復や詰め物をしたり、
根管治療をしたりすると唾液といっしょに細菌も同時に入り込んでくる。
治療後から細菌感染して悪い状態になることも多くある。
また、詰物を接着したりする時には唾液などの水分が接着力を弱めるので湿気をあらかじめ防止していなければならない。
そのためにゴムで歯を孤立するためにクランプという専用の道具を使って湿気や水分が治療をする場所にこないようにする方法をいう。精密で良質な治療を望むには是非とも必要な方法である。 

ラミネートベニヤ・ベニアクラウン
前歯の色や形の悪い歯に対して、歯の外から見える表層の部分だけを削り、
ここにセラミック(陶器)で作ったラミネートベニヤという薄い貝殻のようなものを
歯科専用の接着剤でしっかりと張り付ける方法である。歯が白くなり、形も整えられ、自然感も出せる。
 

ランパントカリエス
一人が、多数の歯にわたってかなり進行したむし歯が見られるものを総称してランパントカリエスという。
小児の歯に多く現れる。突然発現して広範囲に広がり、迅速に進行していき、歯髄にも感染が及んでいることも多くある。 

リコールシステム
治療が完了した後でも、普通6カ月毎に、患者さんを呼んで治療状態を確認したり、
新たなむし歯を治療したり、予防処置やブラッシングのチェック、歯石除去をしたりするシステム。 

リライニング → 旧義歯の改善
あごのドテの骨が薄くなったり痩せたりして入れ歯が合わなくなったとき、
今まではめていた義歯に、ドテに面した入れ歯の内側に歯科専用の裏打ち材料であるレジンなど
(すぐに硬化する合成樹脂もある)を足してドテに良く合うようにすること。 

隣接医学 → 周辺医学 

隣接面
隣り合った2つの歯が相接する面である。
そのうちの前歯から見て、近いほうを近心面、遠いほうを遠心面と言っている。
その部分の面にできたむし歯を隣接面むし歯(隣接面う蝕)といっている。 

ルートプレーニング
歯の根の部分であごの骨から出てきてしまった部位、つまり歯根面が長年のうちに汚れて、
歯石や死んでしまった組織(主にセメント質)を丁寧に取り除き、
さらにツルツルの滑沢な面にして、再び汚れや歯石などが付かないようにする治療方法。 

レーザー応用の無痛治療
レーザーによるむし歯の治療のこと。むし歯の治療は歯を(歯質)を大きく削り、
そこに詰物をしていたが、レーザーの利用により削ることが最小限に止まり、
また痛みもほとんど無いために患者さんにとって快適に治療ができる最先端歯科医療技術である。 

レーザーによる歯内療法
根管(神経の入っていた管)の治療は、根管が複雑なために、技術、時間や治療回数も多くなる。
この治療にレーザーを使用することによって正確に早期に終わらせることができる。
根の先にできているおできも効果的に治療ができる。 

レジンアレルギー
義歯に使われたり歯に詰めるレジン、つまりプラスチック(合成樹脂)材料にアレルギー反応を起こして粘膜がかぶれたりすること。
このような患者さんの場合はアレルギーを起こさない他の材料の義歯や詰物を使用しなければならない。 

露髄
ろずいと読む。歯の真ん中にある歯髄(歯の神経)が何らかの原因で外に露出することをいう。
一般にむし歯やハブラシの使い過ぎなどの摩耗によって歯の硬い部分が無くなりしまいには神経が外に露出した状態をいう。
この場合は歯髄も感染を起こしていると思われるので歯髄の治療が必要になってくる。
また突然の、歯が折れたり欠けたりした場合、むし歯の治療中の削除でも起こる場合がある。 

ワンピースキャスト
比較的大きい複雑な補綴物を作成する場合に、ほとんど完成の形状につくった鋳型に金属を溶かして鋳込む方法で、
1回で行う鋳造のことをいう。
現在の、歯科の鋳造法の技術は発展を遂げてこの方法で比較的大きな精密な鋳造物もできるようになった

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