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奄美の自然と特異性

アマミノクロウサギ

1999年ウサギ年の年初1月4日、NHKテレビジョン★生きもの地球紀行「奄美大島の森・初めて見るクロウサギの子育て」が放映されました。見て感動された方も多いと思います。見られていない方のために番組案内を紹介します。

「東洋のガラパゴス」といわれるほど、独自の進化を遂げた生きものが数多く生息する鹿児島県の奄美大島。その代表格が国の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」。小学校などで飼育されているウサギと異なり、耳が短く、鳴き声でコミュニケーションを取るなど原始的な特徴を持つため「生きた化石」と呼ばれている。数は少なく、夜行性であるため、生態はほとんどなぞであったが、初めて子育ての様子を撮影することに成功。奄美で発見され、アマミノクロウサギと命名されてから約100年。今もなぞが多い生態を、子育てを中心に紹介。(11.1.4)

 アマミノクロウサギ(学名:ペンタラグス フアーネス)は、1896年にアメリカ人フアーネスによって奄美大島で発見された珍しいウサギで、ムカシウサギ亜科に属するウサギです。
 ムカシウサキ亜科に属するウサギで現存しているのは、世界でも3ヶ所、奄美大島、徳之島に生息するアマミノクロウサキ、メキシコ高地のメキシコウサギ、南アフリカのサバンナ地帯に住むアカウサギしかありません。
 ウサギは、ナキウサギ科とウサギ科に分けられる。更にウサギ科はムカシウサギ亜科とウサギ亜科に分類される。ムカシウサギ亜科は始新、漸新世には10数属が生息していたが、その後1千万年前ほどに現れ、現在広く世界中に分布しているノウサギや、アナウサギの仲間に駆逐され、世界にわずか3種を残して絶滅した。
 この亜科に属するウサギは耳と後足が短く、前足の爪がよく発達しているなどの形態的特徴のほか、生態の面でも原始的な特徴を有している。

上の絵はパソコン塾ハローキッズのわんぱく教室を受講している生徒が描いてくれたものです。

奄美大島

 九州の南の洋上約380キロに浮かぶ亜熱帯の島。照葉樹の密林、コバルトブルーの珊瑚礁、そんなイメージが浮かぶ島です。
 学問的には、奄美大島以南の南西諸島は、トカラ列島の南を横切る生物分布境界線「渡瀬線(わたせせん)」によつて東洋区に区分され、トカラ以北の日本(旧北区)の動植物相とは、さまざまな点で異なった亜熱帯のものが多くを占めることで有名です。
 奄美大島のように地質学的にも古い地層の島があり、古い時代に大陸と離れて孤立し、更には島が海没した経験を持たないなどの好条件が整い、既に大陸では絶滅した古い時代の生物が遺存し、あるいは、島内で固有に進化したものが多い。南西諸島の生物相の特徴を「東洋のガラパゴス」と端的にしかも的確な言葉で表現されたのは、東京大学の佐々学教授や聖母女学院短大の伊藤正春教授です。

奄美といえば「ハブが・・・」とほとんどの人に言われ、恐れられている島だけれども、用心さえすれば何とかなるだろう。5万分の1の地図を広げて、数日奄美の各地を眺めながらフィールドワークの対策を考えた。結局、300メートル以上の山に全部印をつけて、これを片っ端から歩いてみようと計画した。4年後には調査回数は300回を越えて奄美の主な山はすべて踏破できた。アマミノクロウサキの生息の確認には、林道2キロにわたる糞塊調査、食み跡、巣穴の確認、ウサギに寄生するツツガムシを指標する方法などで、ほぼ全島における生息分布を確認することができた。−本文より「クロウサギの棲む島」鈴木 博

奄美大島の動物相

 奄美大島の動物相の特徴については、生物地理学的に「東洋区」と呼ばれる亜熱帯に位置し、地質学的には第三紀中ごろ、既に島の形態をそなえ、その時、中新世から鮮新世代の生物の一部を島に隔離する結果になった。その後、現在までこの島にだけ行き続けれた生物は肉食獣のような天敵がいなかったことも幸いして、過去の姿のまま生き残り、あるものは独自に進化したものと理解されている。
 オオサンショウウオの仔ではないかと間違えそうな姿のイボイモリ属は、イモリ科のうちでも最も原始的な属で、現生種は第三世紀に繁栄していたものの遺存種であることがヨーロッパの始新、中新世にかけて発見される化石種から推定され、現在、沖縄、奄美大島と中国、南西部およびヒマラヤ東部に6種が分布するだけという。
 天然記念物の鳥ルリカケスはヒマラヤ山脈の高地のものと類縁関係にあるという。この他にも両生・爬虫類にも固有種が多いことなど古くからよく知られたところである。
 ところが、これほど特異的な生物相に恵まれている奄美の生きものについて、実は、あまり詳しい調査が行われていないようです。もつと広い分野の研究が集積されたときには、更に奄美の生物相の様子が明らかになってくるものと思われる。深い照葉樹の森に生きる奄美の動物たちは、多くのロマンを秘めて、今日も静かに息づいていることであろう

奄美の主な動植物

種類 名前 記念物
哺乳類 アマミノクロウサギ
ケナガネズミ
アマミトゲネズミ
アマミジネズミ
鳥類 ルリカケス
オオトラツグミ
オオストンオオアカゲラ
アカヒゲ
アマミヤマシギ 危惧種
リュウキュウカラスバト
リュウキュウコノハズク
昆虫類 アカボシゴマダラ
ツマベニチョウ
ナガサキアゲハ
アマミマルバネクワガタ
リュウキュウアカギマダラ
両生類 イボイモリ
オットンガエル
イシカワガエル
爬虫類 ハブ
ヒメハブ
ヒャン
植物他 ヒカゲヘゴ
マングローブ
アマミセイシカ
ウケユリ
ナゴラン
魚類 リュウキュウアユ

◎国指定特別天然記念物
○国指定天然記念物

自然は誰のものか

 自然の破壊により、鳥はすみかを失ってだんだん奥地へ追い込まれて行き、身近に見る鳥が減っていくのはさびしいことです。1億を超える人が4つの島にとじこめられているので、山をきりひらき、森を伐採して人家を建て、また海岸が埋め立てられて工場地帯となっていくのもやむをえないのかもしれない。しかし、このように環境が破壊されては、鳥はすむことができない。
 日本では開発の名のもとに、自然の破壊はあたりまえのように行われているのは残念である。開発もよいが、各自がもっと木や森を大切にして、美しい自然の姿を守るように心がければ、自然にめぐまれた日本はもっと美しく、鳥もすみかを失うことなく、われわれの身近にもたくさんの鳥が見られるようになるだろう。
 鳥を愛するためには、まず鳥を知ることがたいせつである。庭や公園に来る鳥、郊外に出て目につく鳥の名前を一通り知っている人は、日本にはあまり多くない。それは身近に見られる鳥が少ないからでもある。鳥が多くなれは、一般の関心も高まるだろうしそのためにはなんといっても鳥のすむ環境を作ってやることが先決問題である。

世界の鳥の分布

旧北区
アジア大陸の中部以北と北緯20度以北のアフリカ大陸を含む地域。日本もこの地域に含まれる。
東洋区
インド、中国南部、インドシナ半島、マライ諸島の大部分を含み、熱帯、亜熱帯の地域である。台湾と沖縄諸島もこの地域にはいる。
エチオピア区
北緯20度以南のアフリカ、アラビア南部、マダガスカル島がこの地域にはいる。マダガスカル島の鳥相は、アフリカ本土とは趣を異にしており、現在では絶滅してしまったが、鳥類の中で最大といわれるマンモスドリ(エピオルニス)がすんでいたことは、有名である。
新北区
北アメリカ全部とグリーンランドを含み、旧北区と共通の種類が多い。本来、旧北区と新北区とは、氷河時代以前は動物相は共通であったが、それ以後の時代に旧北区は東洋区から、また新北区は新熱帯区からの動物の侵入により、古代と異なる動物相になったと考えられている。
新熱帯区
中央アメリカ、西インド諸島および南アメリカの全土を含む地域である。
オーストラリア区
オーストラリア、タスマニア、ニューギニア、ハワイ諸島、ミクロネシア諸島を含む地域である。地域によりそれぞれ特色があるので、4亜科に分けることができる。オーストラリア亜科・ポリネシア亜科・パプア亜科・ハワイ亜科
ニュージーランド区
ニュージーランドとその付近の島を含む地域である。古い地質時代から隔離されていたので特異な種類が多い。絶滅した巨大長モアもこの地区の特産種であった。

出典:標準原色図鑑「鳥」小林桂助著



日本の鳥の分布

 日本は鳥の分布上、大部分が旧北区に属している。旧北区と東洋区との境界は屋久島と奄美大島との間の七島灘(渡瀬線)とされているので、奄美大島と徳之島だけが、わずかに東洋区に入っているだけであり、ルリカケス、アカヒゲなど屋久島以北には見られない種類が分布している。
 また、旧北区に属する日本列島の中でもよく調べてみると、南方と北方では、鳥相の違うことが分かる。その境界線が津軽海峡であり、これを最初に提唱した人の名前を取ってブラキストン線とされていることは有名である。
 その後の研究で、満州系の多くの種類は、津軽海峡を越えて北海道まではいり込んでおり、一方シベリア系の多くの種類が、カラフトと北海道との間の宗谷海峡を越えて南下し、北海道は両亜科の混交地帯であると考えられるようになった。しかも注意してみると道南と道北とでは、鳥相に違いがあることが分かってきた。たとえば、メジロ、ホトトギスなど満州亜科系の種類は、北海道南部では決してまれではないが、北部には少ない。一方エゾセンニュウ、シマノセンニュウ、シマアオジ、ノゴマなどシベリア亜科系の鳥は、北海道北部にはごく普通に繁殖しているが、道南地方ではまれである。そしてその境界は札幌地溝帯であるように思われる。北海道は昔、海峡により2つの島に分かれていたが、恵庭岳、樽前山の両火山の噴火によって海峡が埋め立てられ、現在の札幌地溝帯が出現したといわれる。今なおこの辺りが満州亜科とシベリア亜科との境界となっているようである。

出典:標準原色図鑑「鳥」小林桂助著


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関連ホームページ

奄美野鳥の会 奄美の野鳥、固有種の紹介。探鳥会の情報。

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