bP.正月に門松を立てるのは
bQ.鶏になったうそつきの占い者
bR.湯湾大親(ゆわんふうや)の父子
bS.龍郷での平家落人の悲劇
bT.殿様をやりこめる炊事係
bU.豪傑太郎はケンムンの声を聞けた
bV.恋仲を引き裂かれた美人娘
bW.為朝の子、親に似た力持ち
bX.もとは人間だった奄美の妖怪
10.上納の機織りで子供を失う悲劇
11.お月待ち祭りは旅の神様の祭り

bP2 会えば災いが起こる恐ろしい神
天城町 ユハトゥシ神 
 昔の旧道は、ユハトゥシ神という神が通るものだった。千鳥の群れが鳴いて通り、その後、馬に乗った武士らがクツワを鳴らし通るものだった。時間は夜の十一時以後。この神に会った人は、必ず病気になったり死んだりした。防ぐ方法はこの神に会いそうなときには、両手両足の爪を隠すとよかったという。

 この神は、徳之島町の下久志と母間(ぼま)との間のウン崎から起こつて、花徳の三叉路で二手に分かれ、一組は山回り、一組は平土野の回りをし天城町松原のトノギ原という所で秘密会をするものだった。

 昔、立派な人が死んだら、まず最初に馬を引かせる習慣があった。この馬上の霊がユハトゥシ神になった。千鳥の群れが鳴いたら、その後を神が通るといって、戸を閉め切ったものだ。

時期は十二月、一月、二月の冬の頃が多い。この神(悪いカゼ)に当たったら病気になったり、真っ黒になって死んだともいわれる。

 旧東天城町に残る伝承によると、肉眼で見える神だ。遠くから見えるが近くでは見えない。ある時、沖で舟に乗って網漁をしている人に、浜を通るユハトゥシ神が見えた。ず−っと見ていた。その様子はこうだ。ある女が、荷物を背負って帰ろうとして、遠くに殿さまが来るようだったから殿さまを通らせてから行こうと待っていた。しかし待っても来ない。帰ることにした。舟の人は、ユハトゥシ神が女の籠を何かで突くようにしているのが見えた。女は何も気づかないようだった。女はその後、家に帰ってから急に頭が痛いと寝込み、死んだ。それは「ユハトゥシ神に会ったからだ。」といわれた。
               (原話『徳之島の昔話』)

 ユハトゥシ神は、恐ろしい神とも福の神ともいわれる。シマタリという人が投網をして休んでいると「シマタリの家内に愛嬌がなければ、米富の家へ運んで行こうか。」という話を聞き、帰ると家内に尋ねた。「誰か訪ねて来なかったか。」「さっき、誰かが呼んだが子供が泣いていたので、返事ができなかった。」シマタリは福を逃がしたのだった。
          
      花徳スリバチ山 花徳里久浜
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