鹿児島県マルチメディア教育研究会                  平成18(2006)811

「メディア教育セミナー」資料                    かごしま県民交流センター         

 

コンピュータやインターネットを活用した動的な教材提示の研究

〜〜もっと理解を深めるために,アニメーションGIFを使った実践を通して〜〜

 

鹿児島県立奄美高等学校

教 諭 (どう)(ぞの)幸夫(ゆきお)(数学)

 

1.はじめに

現在の日本において,ネット利用者のいる世帯は85.4%、ネット人口は7,6619,000人であるそうだ。そういう私も例に漏れず,この原稿をWordで書きながら,バックグラウンドでは『「インターネット白書2006」で見るインターネットの現在』から上記のデータを「光ファイバー」で「Google」検索し,「コピー&ペースト」している。私がコンピュータに初めて触ったのは,まだ昭和の高校時代であった。BASICでグラフが即座に美しく描けることが感動だった。その後高性能化し,インターネットという外部の頭脳と連動することに底知れぬものを感じたものだった。

このメディア教育セミナーの盛況ぶりを見ても明らかなように,この流れは止めることは出来ず,むしろ加速している。グーテンベルグの活版印刷以来の,世界の大きな変革の時代を我々は生きているといっても決して大げさでは無いだろう。それらの技術を経済活動だけではなく,教育に生かそうと試みるのは自然なことである。この資料を通して実践の一部をお伝えしたい。

 

2.教育的活用の方針

教師としてこのツールを,教育活動の中に生かせないかと考えたわけであるが,教育の目的とは,理解することであり,理解させることであり,そのために定着させ,また関連性あるものを連想させることであり,更に新たなものを発想させることであろう。端的に言うと,準備・連想・定着・発展というところではなかろうか。そのために必要なこととしては,概念をすぐに伝えることは出来ないか?何度も繰り返し伝えることは出来ないか?新たなイメージを想起させることは出来ないか?などを課題として考えてきた。しかし,授業にPC中心で臨むのは逆に自分で解くという力が不足することになる。バランス感覚が問われるところである。

 

3.動的な画像教材の利用について

我々が黒板でチョークを使って説明するのは,教科書には確かに書いてはあるが,それだけでは伝えることが困難であり,A:静的なものを動的に B:ライブでの臨場感を だからではないだろうか。では一歩進んで,黒板の限界を問うて見たとき,黒板に出来ずにコンピュータに出来ることは,X:もっと自由に動かすことが出来る Y:保存し再現が可能 だと思われる。そうするとファイルはJPEGのような静止画像だけではなく,動くものが必要となる。

アニメーションGIFというファイルはWebサーバにかける負荷を減らし,Java AppletJavaScriptなどのようなプラットフォームやソフトによる不都合が無い。つまり特殊なソフトを必要としないということである。アイコンなどはこれによって作成されていることが多く,アイキャッチと呼ばれるアクセントとなっている。そもそもアニメGIFは作るのが簡単である。このような特長を持ったものを,そこで終わらせておくのはもったいない。言葉で説明することや印刷物でも難しいものを,動的画像として提示することは教育的価値が高いと認識し,製作を続けている。

4.実際のアニメーションGIFという動的ファイルの製作について

(1)使用するソフトウェア

Mathematica………強力な数式処理システム。複雑な記号処理はもとより,音声処理・

画像処理など多くの機能を備えており,その応用範囲は多岐に渡る。

EasyGraph…………グラフ作成のフリーソフト。直感的に使える。

Grapes………………有名なグラフ作成フリーソフト。若干,数学的知識が必要である。

MuPad………………Mathematicaに似た数式処理システム。フリーバージョンがある。

Studyaid……………数研出版の問題データベース。数式ワープロとしても利用できる。

MathType…………数式エディタのプロ仕様であり,数式作成ツール。

・カルキングJ………ジャストシステムの数式エディタ。

EasyTex……………LaTexの数式エディタ。

CaptureXP…………画面の任意の範囲をキャプチャーするためのフリーソフト。

PhotoshopElements……言わずと知れた画像処理ソフト。

Giam…………………GIFアニメーション作成のフリーソフト。

FrontPage……………HTML作成ソフトウェア。

FFFTP………………ホームページデータ転送のためのフリーソフト。

(2)製作の手順

大きく分けて3つのパターンがある。(これは紙面で伝えるのは難しいため,実際にご覧下さい。)

@出来上がりから逆に製作してゆく方法(数式エディタ+Photoshopで消しゴムツール利用)

          

 Aグラフソフトのパラメータを変化させる方法(EasyGraphCapturXPで一枚ずつ保存)

    

 BMathematicaで連続的に書き出し処理する方法

 

ExportコマンドでアニメーションGIFを書き出すことが出来るが,Version3では実装されていないため,ノートブックをHTMLドキュメントとして保存する。index.htmlファイルを含む新しいディレクトリと,その中にドキュメント中のすべての画像が入ったimagesサブディレクトリが出来る。

その後はGiamで処理する。

 

5.インターネット上での利用について

保存性再現性の意味から,インターネットの個人HP上で公開している。これにより自分の資料保管庫となり,また生徒の自宅での学習にも寄与でき,学力向上につながるものと信じている。

(1)保管庫として

 教員の仕事として,数年おきに同じ教材を扱うことがある。生徒のつまずきに対してその都度更新しておくことによって,間違いやすい部分を防ぐことが出来るだろう。もちろん教師自身の資質の向上につながることは言うまでもない。

(2)自宅学習として

 理解が不足した部分をeラーニングの形式で学校外で再度見るということは,関連情報が張り巡らされたWebの利点として,復習をしながら予習や発展させることも可能であろう。

私個人の数学関連のホームページは,下記のURLである。 サイト名は,“活動大写真動的数学“

http://www.synapse.ne.jp/dozono/math/math1.htm             

Yahoo!Googleなどの検索エンジンで,「dozono 数学」でヒットする。        

ご意見ご感想は,こちらへ。 dozonopo.synapse.ne.jp