複素数と行列との関係について
コッホ曲線を複素数による表現と,行列による表現の2通りで表したように,
ベクトル的な考え方から,この二者は,表現は違えど同一の事を表している。
複素数z=a+biは,(a,b)と考えて、複素数平面上に図示することが出来る。
これは歴史的にみると,ウェッセル,アルガン,ガウスらによって公にされたが,
それとは別に,ハミルトンは単なる実数のペア(a,b)と同一視して,
次のような定義を与えた。
加法は a
c a+c
( ) +( ) = ( )
b d
b+d
これは,(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i を表し,
乗法は a
c acーbd
( ) ・( ) = ( )
b d ad+bc
これは,(a+bi)×(c+di)=ac+adi+bci+bdi2
i2=ー1より
=ac+adi+bciーbd
=(ac−bd)+(ad+bc)i を表す。
これらはまさに行列的な概念であるが,このように複素数を代数的に定義した
ことより,それまで空想上の数であった虚数が現実感を持ってきた。こういった
ことから発展して,現在では虚数(複素数)が正当性を得ている。
虚数単位iは,行列で表すと,
0 ー1
i=( )
と書くことが出来る。
1 0
これは,x+yiが,i(x+yi)=yi2+xi=ーy+xi
(x, y) → → → → → →
(ーy,x)となること。
つまり, x
が, 0 ー1 x ーy
となることを意味する。
( )
( )( ) = ( )
y
1 0 y
x
例えば,z=2+3iは,複素数平面上では(2,3)の座標で表されるが,
90゜の回転で座標(ー3,2)つまり,z'=ー3+2iに移るが,これは,
0 ー1 2
ー3
z'=iz
すなわち z'= ( )( ) = ( )
のことである。
1 0
3 2