5 複素数と行列との関係について

 4(1)(2)で,コッホ曲線を複素数による表現と,行列による表現の2通りで表
したように,ベクトル的な考え方から,この二者は,表現は違えど同一の事を表
している。

 複素数z=a+biは,(a,b)と考えて、複素数平面上に図示することが出
来る。これは歴史的にみると,ウェッセル,アルガン,ガウスらによって公にさ
れたが,それとは別に,ハミルトンは単なる実数のペア(a,b)と同一視して,
次のような定義を与えた。
  加法を
  a     c     a+c
 (  ) + (  ) = (     ) 
  b    d     b+d
乗法を
  a   c     acーbd
 (  )・(  ) = (      ) 
  b   d     ad+bc

 これらはまさに行列的な概念であるが,このように複素数を代数的に定義した
ことより,それまで空想上の数であった虚数が現実感を持ってきた。こういった
ことから発展して,現在では虚数(複素数)が正当性を得ている。

 虚数単位iは,行列で表すと,
    0 ー1
i= (       ) と書くことが出来る。
    1   0

例えば,z=2+3iは,複素数平面上では(2,3)の座標で表されるが, 
90゜の回転で座標(ー3,2)つまり,z'=ー3+2iに移るが,これは,
                0 ー1   2     ー3
z'=iz すなわち z'= (       )(   ) = (    ) のことである。
               1   0    3      2



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