(99 東大)
 
(問題) 
以下の三角関数の加法定理を導け。(ちょっと改題ね。) 
  sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ 
  cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ
三角関数の加法定理
 
(解) 
単位円(原点中心,半径1の円)において, 
始めの位置として,(cosα,sinα),(cos(−β),sin(−β))=(cosβ,−sinβ)をおく。
・・・・・・・・・・・・・・・厳密には三角比の定義から論じておく必要があるが。。
ABの2点間の距離は, 
AB=(cosα−cosβ)+(sinα+sinβ)  
   =cosα−2cosαcosβ+cosβ+sinα+2sinαsinβ+sinβ 
   =2−2(cosαcosβ−sinαsinβ)・・・・・・・・・・(T) 
次に, 
OABの三角形を,OBをX軸正方向と重なるように回転させ,AがC,BがDの座標になったとすると, 
(cos(α+β),sin(α+β)),(1,0)となり, 
CDの2点間の距離は, 
CD={cos(α+β)−1}+sin(α+β) 
   =2−2cos(α+β)・・・・・・・・・・(U) 
ここで三角形の辺として,AB=CDだから,(T)(U)より, 
cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβである。 

授業では,「スモススモスない咲いた」 
       cos   cos   sin    sin   と教えている。 
 cosはコスモス,sinは咲いた。咲かないだからマイナス 
 角度は,α,β,α,βの順番ね。 

また, 

sin(90°+θ)=cosθ  cos(90°+θ)=−sinθ より

・・・・・・・・・・・・・・・厳密には三角比の定義から論じておく必要があるが。。。 
 
sin(α+β)=−cos{90°+(α+β)} 
            =−cos{(90°+α)+β} 
                 =−{cos(90°+α)cosβ−sin(90°+α)sinβ} 
           =−(−sinαcosβ−cosαsinβ) 
           =sinαcosβ+cosαsinβ 

こちらは,「いたスモス,スモス 
       sin  cos      cos    sin     と教えている。 

【解説】 
かなり噂になった問題。この手の出題は,それまでなかったものだけに,その後の賛否両論は記憶に新しい。 
一方でテクニック重視の受験数学に警鐘を鳴らしたと,拍手喝采で迎えられたり, 
他方では,やはり天下の東大でこういった出題が必要なのか,今後の受験指導に組み込まれてゆき, 
出題意図とはかけ離れ,一人歩きしてゆくのではないか,ともいわれた。 
私個人としては,数学の(理学としての研究の意味で)本質に迫った画期的な出題と評価したい。 
−−−−なーんちゃって,私が評価したって,なんちゅーことはないんだけどね。。。。。