キビ植え 買収抵抗

喜界町象のオリ 町民会議、立て看板も


 大島郡喜界町で防衛庁が計画する電波傍受用大型アンテナ施設(通称・象のオリ)に反対している市民団体・喜界島の豊かな自然と平和を守る町民会議(丸山邦明議長)は十二日、建設予定地に開墾した畑約六アールにサトウキビを植え付けた。「土地は絶対に手放さない」との意思を示し、同庁が進めている用地貿収に抵抗するのが目的。
 町民会議のメンバーら約十五人が参加。反対派地主から町民会議が十年契約で借り受け、六月下旬にススキの原野を開墾した畑で、耕耘機を使って土を掘り起こし除草剤、肥料、サトウキビの苗をまき、土をかぶせていった。作業終了後、畑の前に「島にこれ以上の軍事基地は要らない」と書いた看板も立てた。
 丸山議長は「戦争なんか起こるはずがないと言う人もいるが、北朝鮮のミサイル発射など、今も世界は危険な状況にある。戦争が始まれば真っ先に攻撃されるのは(象のオリのような)通信施設。平和な島に危険なものを造ることを許すわけにいかない」と話した。
 町民会識のサトウキビ抽え付けは昨夏に続いて二度目。昨年植えたキビの生長は順調で、来春には収穫できる見込み。
 一方、福岡防衛施設局け今回の行動について「今後も理解と協力が得られるよう、お願いしたいと考えている」とした。同施設局によると、建設予定地の登記名義人約百八十人のうち、現在までに土地の売買契約を結んだのは約百四十人。「残りの土地についても十年度中に契約できるよう努力中」としている。

1998年09月13日、南日本新聞記事