自衛隊喜界島通信所が中国艦船の電波を傍受


 奄美大島西方の日本の排他的経済水域内を反復航行し、海上保安庁や海上自衛隊が追尾、監視を続けている中国の軍艦や海洋調査船の暗号電波を、自衛隊喜界島通信所が傍受、防衛庁防衛情報本部に報告していることが12日分かった。収集した情報は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に基づき、米軍側にも提供されているものとみられている。中国の軍艦や海洋調査船は東シナ海の尖閣(せんかく)諸島や久米島、奄美大島周辺海域に出現している。海上保安庁によると1998年に不審な行動をしたり違法操業などの不法行為をしたとして認知した外国船は1992隻で過去最高だった。奄美大島の西方海域でも停泊やジクザク航行を繰り返すなどして第10、第11管区海上保安本部の巡視船艇が退去警告を発しているが、このうち9割の1873隻は中国、台湾が領有権を主張する尖閣諸島周辺海域に現れているという。尖閣諸島海域は鉱物資源などを調査、開発できるとする日本の排他的経済水域。喜界島通信所の活動実態や中国船侵入の背景について防衛庁側は「(通信所が傍受した)個々の情報は公表できない。(海自、海保)それぞれが監視活動を継続しいるとしか言えない」と説明している。山口大の纐纈厚教授(現代政治軍事論)は「ガイドライン成立以降、中国は日米協力関係の強化に警戒を強めており、有事、戦時に備えての中国側の事前警戒と受け止めていいだろう」と指摘している。

2000年01月13日、南海日日新聞記事より