川嶺の皆様へ

 先日の新聞で川嶺集落の皆さんが、軍事施設のための用地提供をしているという報道を知り私達は驚いています。

 確かに皆様の土地ですからそれを売ろうと売るまいとそれは皆さんの自由であり、それを私達がどうのこうの言う筋合いはないかも知れません。しかし、私たちはこの「象のおり」建設の問題は、単に赤連・川嶺とかの問題ではなくて島全体の問題であり、島の将来に関わる大切な問題であると考えています。私達はその点を皆さんにもよく考えていただきたいのです。東京や大阪そして鹿児島でも「象のおり」建設反対のグループができ、本土に住む島出身者の多くの方々も赤連農地を守る会を支援しているということからも、そのことが分かります。川嶺の皆さん、この問題は島の将来に関わる大きな問題であるということを忘れないで下さい、お願いします。

 用地が農地でないからいいんだとか、見返りに簡易水道施設や農業施設を作らせたら集落のためになるといったことが言われているようです。しかし、象のおり建設を望まない町民が同じ島にもたくさん住んでいることを忘れないでください。この問題を川嶺集だけの事として判断するには余りにも島全体の将来に対して軽率な気もします。

 国の防衛の為の軍事施設として必要だと言う方もおられるでしょう。しかし、時代は軍拡ではなく軍縮の方に大きく変わりつつあります。既に喜界町議会でも地球は一つであるという、崇高なる理念に基づき全世界の恒久的な平和を願う地球人宣言がなされています。平和を願い島を深く思う川嶺の皆さん、45年前にそれこそあの悲惨な空襲を受けられたのは、皆さんも一緒であったはずです。戦争が終わり、もうこんなことは二度と繰り返すまいと誓ったのも明さん自身であったと思います。あの戦争でどうしてこれ程まで多くの一般人が尊い命を失わざるをえなかったのか。それはひとえにこの島に軍事基地があったからです。島の子や孫達に、太平洋戦争のあの悲惨な体験を繰り返させないために、そして将来にわたってその不安を背負わさせない為にも、右記の事実から皆様方の賢明なる判断が導かれることを私達は望んでおります。

◆ 喜界島の豊かな自然と平和を守る町民会議 : 議長 丸山 邦明
◆ 赤 連 農 地 を 守 る 会     : 代表 嘉津 正丸


WEB master 註
句読点を含む一字一句、原文のままであるが、改行位置等は若干変更した。