「なくそう!議員特権」キャンペーン
「虹と緑の500人リスト運動」会員
続 博 治(鹿児島オンブズマン代表)
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「なくそう!議員特権キャンペーン」を2007統一地方選挙に向けて、「虹と緑」「みどりのテーブル」「ネットワーク横浜」呼びかけで取りくみを進めてきています。
全国1840自治体(802区市、1038町村)47都道府県で、実施期間は2006年9〜11月です。調査方法はキャンペーン参加議員と事務局より各議会事務局へFAX、メール等により依頼回収・集計状況:回収率 約79%となっています。
結果は、http://www.no-giintokken2007.netにアップしています。
アップした項目は以下の3点です。
●費用弁償の有無、ある場合はその内容
●政務調査費の領収書の添付
●議員の永年表彰制度の廃止
今回、九州・沖縄の各自治体議会の内容を、志学館大学(鹿児島)/河原晶子教授(地域社会学)に地方行政や地方自治の専門家からの視点で、その特長と課題について評価をしていただきました。
一、なくそう「議員特権」キャンペーン九州・沖縄の自治体の特徴について PDF.
志学館大学 河原晶子
二、議員特権・全国1800自治体調査・集計結果概要
三、関連資料
(1)鹿児島県内市町村議会の「議員特権」に関するアンケート集約結果
(2)議員特権・全国1800自治体調査 集計表
(3)議員特権調査・都道府県
(4)議員特権調査・政令市
(5)費用弁償等調べ(中核市)
なくそう「議員特権」キャンペーンー九州・沖縄の自治体での特徴について
志学館大学河原晶子(地域社会学)
市町村合併と自治体の行財政「縮減」改革をきっかけにして、住民サービスに関わる諸制度は見直し対象とされてきたが、議員の処遇にかかる諸制度については、「議会の自律性」や「裁量判断」の名のもとで、制度実態がオープンにされることも制度の見直し自体も、検討対象にはなりにくかったようである。しかし、住民本位で進める地方自治においては、自治体の限られた予算は制度趣旨に即して効果的に、適正に支出されねばならず、その処理状況は透明でなければならないのであり、議会だけが例外という訳にはいかなくなっている。今回の調査は「議員特権」をテーマにしているが、筆者は、「議員特権」とは「議員活動も情報公開の例外ではない」という趣旨からのものであると理解し、公開によってこそ議会の活性化が進むことを期待する。
@ 回収率について
・調査の回収率は、全国の市・特別区で81%、九州沖縄の市で86%、全国の町村で77%、九州沖縄の町村で85%であった。全数調査でありながら、全国的にも高回収率であり、九州沖縄に限っても市・町村ともに全国平均より回収率は高く、調査関係者の並大抵でない努力が伺える。
A 議会出席に伴う費用弁償について(図1)
・費用弁償の「制度あり」は、全国の市・特別区で57.9%、九州沖縄の市で85.9%、全国の町村で55.7%、九州沖縄の町村で83.6%であり、市町村ともに九州沖縄は全国平均より「制度あり」の割合が高い。支給の実態では、全国レベルと比べて九州沖縄の市・町村ともに、「1001 〜3000 円」級が多く、それは福岡県・熊本県の市・町村がそこに集中しているためである。
・費用弁償は、地方自治法第203条第3号により条例化することになっており、議会・委員会等に出席した場合の旅費・日当が該当し、「実費弁償」と同義だとされる。議員の個別的事情を考慮せず定額支給するのも議会の裁量判断ということだが、市町村合併により区域が大きく拡大したり離島を抱えるような自治体では、議会出席に伴う特別の費用弁償が必要な議員も現れる。定額の支給も、費用弁償の一律廃止も公正妥当ではないのであって、市民に議員活動の実態を公開して、実情にあった実費弁償の仕組みを検討していく必要があるだろう。
B 政務調査費についてく(図2)
・政務調査費の交付は条例で定めることになっており、地方自治法第100条第12・13号に根拠を持つ。政務調査費は、議員としての職務を行うため議員個人や会派が研修・調査等に要する費用である。政務調査費の「制度あり」は全国の市・特別区で88.9%、九州沖縄の市で78.8 %、全国の町村で24.4%、九州沖縄の町村で14.5%である。九州沖縄の市・町村ともに、全国レベルより「制度あり」比率は低いのだが、九州沖縄の中では、市・町村ともに福岡県と他県との差が目立つ。たとえば鹿児島県内で見ても、市で59%、町村で6.5%と九州の平均よりさらに低い。
・政務調査費の交付を受けた議員や会派は、議長に対しその収支報告書を提出しなければならないが、その際に「領収書(写し)」の提出が義務づけられ、さらにそれらが情報公開の対象となるならば、公金支出の透明性はかなり担保されることになる。政務調査費支出報告書につき領収書の「提出義務なし」は、制度をもつ全国の市・特別区の27.9%、九州沖縄の市の19 .2%、制度を持つ全国の町村の22.2%、九州沖縄の町村の34.8%であった。九州沖縄では、宮崎県の市に「提出義務なし」の比率が高い。
・データのある鹿児島県内を見ると、収支報告書は制度を持つ全ての市町村で情報公開の対象とされているのだが、領収書も公開の対象とされるのかどうかは不明である。薩摩川内市議会(鹿児島)では、2007 年度から条例改正で政務調査費の収支報告書に領収書添付を義務づけるとともに、領収書も情報公開の対象とすることとなった。この動きが広まることを期待したい。
・全国・九州沖縄・鹿児島のどこを見ても、制度の有無における市と町村の差が目立つのは、自治体の財政力の格差を反映していると思われる。政務調査費の制度化がされていなければ、同費の支出を巡る不祥事は起こりえないのだから、政務調査費支出の「適正問題」は、まずは都道府県や指定都市、その他人口規模が大きく財政力ある「市」の問題である。政務調査費の詳しい使途基準が存在しているかどうか、収支報告書だけでなく領収書も公開対象とされているのかどうかなどを、チェックしていく必要があるだろう。
C 自治体予算による議員表彰制度の有無について
・調査の趣旨の「お手盛りの議員表彰」とは、まずは議会自らが設けている多選議員の表彰制度であると思われるが、「自治体独自の議員表彰制度」「自治体予算による独自の永年勤続議員表彰制度」といった質問文の表現からは、議会による表彰制度なのか市町村が行う「市町村民表彰制度」も含まれるのかが不明確であった。全国の市・特別区では38.3%、九州沖縄の市では29.3%、全国の町村では30.1%、九州沖縄の町村では25.8%が「制度あり」と回答している。しかし、これらの回答には「市町村民表彰制度」をもって「あり」とするものと、「議会独自の表彰制度ではない」として「なし」とするものが混同しているように見受けられ、不正確なデータと言わざるを得ない。現に、鹿児島市は「制度なし」と回答しているが、「鹿児島市功労者表彰並びに市議会議員待遇規程」をもっている。
・市町村が行う「市町村民表彰制度」に「議員表彰区分」があれば、議会独自の表彰制度とほとんど同じだ、という議論もあるだろう。多くの市町村では、自治体の「表彰規程」等で特別職や各種の委嘱委員に対し、一定期間の職務継続期間をもって「永年勤続者」として表彰する制度を持っている。議員の表彰はこれに含まれている。このような市町村の予算での多選議員の表彰は、わが国における「一生をかけて職を全うする・勤め上げる」ことを是とする通念・文化を多分に反映している。事実、企業においても「永年勤続表彰」を実施しているのは8 割を越えるという。このような「表彰文化」の存在が、多選議員の表彰を当然視させてきたのだろう。加えて、全国市議会議長会・全国町村議会議長会自体が、一定の在職年数の議員を表彰(30 年で特別功労者)しており、市町村議会ではその被表彰者をさらに永年勤続特別功労者として表彰することも多い。また、全国市議会議長会は政令指定都市以外の市議会議員には、永年勤続表彰として表彰状・額の他に永年勤続バッジが贈呈されている。バッジの「市」文字部分には、表彰される勤続年数カテゴリーごとに異なる宝石がはめ込まれているらしい。全国市議会議長会・全国町村議会議長会の表彰制度自体が、市町村における議員表彰にハクをつけ、拍車をかけているのである。このような複雑な背景を持つ実態であれば、ここではまず、文字通り「お手盛り表彰」である「議会の議員表彰内規・要項」類の再検討から始めるべきであろう。
D 「行政の付属機関(審議会等)委員への議員の就任」について
・「就任あり」は全国の市・特別区の68.0% (うち「報酬あり」は88.2%)、九州沖縄の市の74.7% (同じく93.2 %)、全国の町村の73.6% (同じく83 .1%)、九州沖縄の町村の78.6% (同じく90.4%)である。市・町村を問わず報酬・費用弁償が支給される審議会の委員に議員が就任する場合は、自動的に委員の報酬を受けていることがわかる。
・鹿児島県内を見ると、法令等により議会選出の委員枠により議員が就任すべき場合を除き、議員の選出は辞退する(鹿児島県指宿市)、または就任しない方向で見直し中(同、いちき串木野市)、市の政策決定に関わる審議会には議員を選出しない取り決めをしている(同、西之表市)、申し合わせによりできるだけ就任しない(同、与論町)など、議会自らによる自制の動きが現れている。
・この項目に関しては、行政の付属機関(審議会等)委員への議員の就任の是非、及び審議会委員に議員が就任する場合の報酬・費用弁償の支給の是非という問題がある。前者については、行政執行機関と議会の意思疎通を口実に、自治体の条例や要綱により審議会委員に議会選出委員枠を設けることがよくある。しかし、議員の委員就任は本当に必要かつ有効なのか、逆に執行機関と議会の緊張ある関係を阻害したり、審議会への一般市民の参加機会を狭める恐れはないか、等の観点から、議会選出委員枠の設定自体を見直す必要があるだろう。その上でなお議員が就任する場合の報酬・費用弁償については、議会から選出・指名された職務であることや、委員としての職務の実質を考慮すれば、反対給付に値するかどうかの検討がされてもよいのではないだろうか。
図1.2
