店主のつぶやき 平成以降に、アナログメディアに書いてきた分を収めています。
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南海日日新聞 2002年5月6日付け 「広場」 シンボルロードは本当に必要か?

 名瀬の「シンボルロード」がゆれている。

 主権者の「地域住民・地権者」や「名瀬市民」、さらに、「郡都の顔づくり」
の対象である「来街者」たちの合意を得れていないからだ。
 いったいなんのシンボルかというと、「島建ての『神の道』」という。
 ……かみぬみち……?

 すでに、一億円以上ものコンサルタント料を支出ずみの「みなとまちづくり
計画」。「都市計画マスタープラン」によるとシンボルロードとは、「聖なる杜
と海、そして人々の暮らしとを結ぶ『神の道』となる軸像」とある。
 ……ぬがふがぬ……?

 しかし、神ならぬ公僕、オカミたちの「神の道計画」は、いたずらに補助金
振興(信仰?)に裏うちされていて、ご利益といえば、港湾(うめたて)・道路
(トンネル)・公園・ハコモノなど、いつもの公共工事の「神器」ばかりで、市税
からの支出金などは不透明だ。

 たとえば「聖なる」「拝み山」には、名瀬中学校までのトンネル工事。そのト
ンネルと結ぶ「神の道」には、三十一b幅のシンボルロードと地下二階の巨
大な駐車場。心臓部の「ミャー」には、広大な多目的広場や公共施設。「集
落」には、中心市街地(商店街)活性化のためという末広・港町の都市計画
などがめじろおしなのだ。

 「ネリヤ」からのジョグチの「聖なる」「海」浜は、マリンタウン用のうめたて地
区だが、ある資料によると、「五市町村合併を想定した新たな公共施設の建
設用地の確保が必要」、のためらしい。
 漁港のうめたて事業の申請も二年後にはせまり、東西南北のトンネル事業
も「着々と進捗」している。巨額の血税を動かす三位一体の政官業の事業だ
が、ポスト寿屋・奄振もあり、あまり時間がない。 

 ここにきて、当局は「しかるべき判断と決断を行う」と、計画の見直しを陳情
する署名者たちに、請願権の侵害に抵触する前代未聞の公文書を郵送した。
 
 これが、「カミの道」という「カネの道」・「オカミの道」計画のアウトラインであり、
その大動脈になるのが「シンボルロード」である。

 『名瀬市誌』には、昭和三十四年八月、第二次都市計画で伊津部地区の「神
の道」が消滅したとあるが、実はわんはこの「神ん道」のたもとでほでてきた。
 拝ん山からくだり、アシャゲのあったジョノシキ(広場)から大島病院のうしろを
通り、永田橋通りの田畑食糧売店と川口金物店(わん家ぬあたんまっこ!)のト
ネヤのわきから、立ちがんにむかって永田川の左岸に出、川の淵を御殿浜にお
りていった、三尺ほどのかぼそい小径だ。

 平成の今また、拝み山と名瀬湾をつらぬく政官業の「新・神の道計画」。歩道部
は二十二bも取ってある、まちの活性化の処方箋でありカンフル剤だ、とオカミ
たちは豪語する。

 しかし、そのために「再度の土地の無償提供」と「移転(店」」と「仮店舗営業」など
で「安楽死」という犠牲を強要される、体力の弱い地域住民へのまなざしはオカミ
にはない。地場産業の低落や人口減などで最悪の不況下、関係者たちは眠れぬ
夜が続いている、のにだ。

 「反対者は誤解と情報不足!」とくり返すだけのオカミたち。
民はマジ、逆だ。
  「かみんみち?」
                                           (了)

                                   森本眞一郎(名瀬市)



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