コラム酒池本林 怪しい店主の近況報告です。


「酒池本林」2001年01月23日記

奄美「自然の権利訴訟」結審!!

昨日は、「クロウサギ裁判」で有名な、奄美「自然の権利」訴訟の判決がでた。
門前払いの判決は予想通りだったが、延べ六年に及ぶ裁判だっただけに、
榎下義康・裁判長裁判官の判決文の「第四 終わりにの全文を今朝、新聞紙上で読んで、
この裁判の意義とともに自然の価値も大いに認められたことに涙が流れた。

原告ではないが、当初からの会員であるボクとしては、ゼヒ、鹿児島市の裁判所まで行く予定でいた。
ところが、出発前にお袋が急に発熱したため、やむなくキャンセル……。
昨夜のテレヴィに映った原告・弁護団の明るい表情を眺めながら、この闘いは本当は認知されたんだ、と直感したのだった。

これを書いている今、なんと代表の薗博明から電話がはいった!
「今、シマに帰ってきた。結果は負けたけれど、(判決文の)内容からして、みんなは勝ったような騒ぎだったよ。
控訴することも決めた。夜中まで盛りあがってねぇ・・・あとで寄るから・・・」

この裁判を通して、見えてきたものは多い。
いつか、ここでも、きちんと、まとめてみたい。

以下に、地元南海日々新聞の本日の関連記事の見出しだけを抜粋するが、
一番終わりのゴルフ場建設予定地の市(いち)集落の区長のコメントが、
21世紀、ボクらが進むべき方向を逆に指し示してくれている、と思う。
自然と人間社会の関係性はどうあるべきなのか。
農山魚村が過疎になった原因を究明し、みんなでそれをどうクリアしていくのか。
その手がかりや足がかりだけは、見えてきたのではなかろうか。

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(一面)
自然の権利訴訟・原告側請求を却下
鹿児島地裁・
原告適格性を否定
      訴えには一定の理解
解説自然代弁の意義認める
   現行法の限界と課題指摘

(二面)
奄美「自然の権利」訴訟判決文要旨

(三面)
原告「自然保護 負けた気しない」
   「判決にぬくもりの部分も」
県「今後も法にのっとり執行を」

識者コメント・法の整備必要か
山村恒年神戸大教授(環境法)の話

鹿児島地裁の判決では、原告適格について八十七nにわたりさまざまな角度から検証、,また訴訟の意義自体を認めていながらも、現在の法律、または判例に従えばこの判決にならざらるを得ないと、裁判官の苦悩がうかがえる。
判決では原告の主張する「自然享有権」について、存在を認めつつも,抽象的権利であり、個人の個別的利益とするのは難しいとしている。
しかし、独、仏では自然保護法で環境保護団体の訴えも認められており、また現在、司法制度改革審議会で行政法における原告適格をもっと幅広く認めるべきとの意見も出ている。
判決の結論には不満だが、課題を解決するには法の整備が必要なのではないか。


地元のコメント・予想通りの判決
寿元彦村長

予想したとおりの判決だ。
村では当初南部町村合同でゴルフ場建設促進決起大会も開いたりしたが、着工の見通しは景気の問題などもあり厳しいと思う。
ただ岩崎産業が進出する気でいる間は状況を見守りたい。

用稲良久区長(市集落)

当たり前の判決だ。
戦当時五百人を超えた集落人口が今や半分以下だ。
農家も若い後継者はおらず、若者が働ける雇用の場がない。
そのためにもゴルフ場はぜひ必要だ。
クロウサギが大事か人間が大事かと言いたい。

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どっちもダ・イ・ジです。(あえていえば自然の方、か)
ヒトは自然の一部にしかすぎない。
自然無しではヒトは存在しないし、またゼニ(そのもの)も食えないから。
「ヒトが一番!」「ゼニが一番!」というヒトビトのおごりが、地球の様々な危機を招いているのでは?
過疎や農業や雇用や環境の問題などは、地球に生きるヒトたち全員の共通課題だ。
ともに話しあって、模索して、来世につないでいきましょう、やぁ。                                                         (了)Morisin


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