今月の一押し
['98.03]

『自然の権利−報告 日本における[自然の権利]運動』

自然の権利セミナ−報告書作成委員会 編
発行所 [自然の権利]セミナ−
発売所 山洋社
1998年1月20日 第一刷発行
定価(本体2500円+税)・307頁

[目次]
第一部 運動編
  • 1980年代の”自然権”立法運動
  • 相模大堰訴訟
  • 奄美自然の権利訴訟
  • オオヒシクイ自然の権利訴訟
  • 諫早湾自然の権利訴訟
  • 生田緑地・里山・自然の権利訴訟
  • 大雪山のナキウサギ裁判
  • [自然の権利]に関するNGO活動リスト
第二部 理論編
  • 人間は野生生物を守れるか
  • アニマルライトと自然の権利
  • 環境権と自然の権利
  • 自然物の権利と環境法の新しい枠組み
  • 自然の権利訴訟と市民の権利
  • 自然の権利の再分析
第三部 資料編
  • 訴状および、準備書面、弁論要旨
    (相模大堰訴訟、奄美大島訴訟、霞ヶ浦オオヒシクイ訴訟、諫早湾訴訟、生田緑地訴訟、大雪山ナキウサギ訴訟)
  • 「ランド・エシック」
  • 『樹木の当事者適格』
  • キーワード検索による新聞記事分析新聞記事
  • 関連新聞記事リスト
    (奄美・茨城・生田に関する、主に地方紙・地方版)
  • 自然の権利のイメージ調査結果
おわりに(編集者参考文献)
 「自然の権利ちば、ぬぅかい?」とお思いのあなたへ質問です。

「美しいあまみを象徴する色は?」

 私は、ブラック・イズ・ビュウティフルの黒だと思う。黒砂糖・黒糖焼酎・大島紬の泥(黒)染め・アマミノクロウサギなどはみんな黒。シマウタや八月踊りなどもシマジマのふか〜い闇の底からしぼりだされる伝統芸能だ。
 アマミノクロウサギやアマミヤマシギなどあまみ固有の動物たちはハブと共に夜行性が多い。ふか〜い奄美のモリがふか〜い奄美の闇を醸成し、多様で固有のアマミブランドを産んでくれる(た)。宇宙の全ての色を集めると黒になり、ヒカリだと透明になるから、黒と透明はやっぱりエライ!キョラカァ!ウトマラサァ(貴重)なのだ。

 さて、3年前の1995年2月に始まった「奄美自然の権利」訴訟は、日本で最初の生物が原告になり県知事を訴えた「クロウサギ裁判」として超有名になり、現在も継続中だ。

 今やどこに行っても埋め立て、林道、ゴルフ場、24時間灯かりが絶えず、インスタントでコンビニなカプセル生活、はて、吾きゃぁ地球(恥丘〜子宮)ぬ逝き果てや…? 

 現在、日本の6ヶ所で同様な裁判が進んでいる。しかし、この種の運動の目的は、おおかたが誤解しやすいようにアマミノクロウサギなどの貴重種を守るためという自然保護の観点からだけではないということだ。

 私たち人類を含めた自然と社会の生態系がこれからも継続していくために、ふか〜いモリ(闇)や川・干潟・海をとりもどし、地球の非砂漠化を回避するための切実な動きということ。そして、「××事業」・「××カントリ−」・「××美術館」などのバブル地獄とは無縁のところで、シマ々処々のコスモロジ−(自給自足)を再構築していこうよという呼びかけというと。

 「生活(金や蓄財)のためには開発も仕方ない、自然で飯が食えるか!」という人たちにこそ読んでほしい。「自然(水や空気や食べ物)がなくてもあなたは生きていける?」

 以上が本書を読んだ私の感想です。
 奄美からのあつ〜い報告者たち、薗博明(原告)・中原貴久子(原告)・籠橋隆明(弁護士)・杉原洋(新聞記者)・尚師尚人(新聞記者)はいずれも私の知人たちだった。
 「環境ネットワ−ク奄美」にあなたも入会しませんか。当庵でも受け付けていますよ。

(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)


直前へ戻る INDEXへ
あまみ庵:今月の一押し['98.03]