今月の一押し
['96.11]
「横目で見た郷土史」
言いたい放題でごめんなんせ
片岡吾庵堂著 高城書房出版 1500円
表紙


(主な目次)
  • 巻頭提言
    郷土史の「候国史観」は改まらぬか
  • 横目でみた郷土史
    • 陰に農民の苦しみが”薩摩藩は名君ぞろい”はホント?
    • 天文館の街角からみた新幹線 隼人タイプは直線的思考?
    • 島津藩の七十七万石は揚げ底のインチキ表示か?
    • 明治元勲の月給
      一千万円 兼務の役職にも支給
      お手盛り? 超高級の政府高官
    • 明治元勲の暮らし
      食器類少なくて交代で食事
      男の身勝手? 女性の地位低く
    • 郷中(ごじう)教育への疑問
      今もまかり通る「絶対服従」
      「まけるな」は旧士族の亡霊
      いじめの極 奄美の”砂糖地獄”
    • 「若き薩摩の群像」に思う
      「ヨソモン」として二人除く
      銅像のほとんどが武士階級
      栄光に背向けた帰国留学生
    • 「敬天愛人」とは何なのか
      権力ない庶民にはナンセンス
      奄美の妻から娘も引き離す
      飾り?自己を律する言葉?
    • 「西郷神格論」を考える
      西南戦争で無益な流血続く
      脱却することが今日の課題
 西郷隆盛や島津斉彬といえば、鹿児島の人々の英雄、名君として不動の地位ができあがっているものとおもっていたら、魂消たことに、お膝元の鹿児島出身者が、異論爆弾を投下した。 「砂糖を耕作していた奄美大島での資料から島津氏の 『圧政』 に触れ、 『バカ』の一つ覚えで名君ぞろいと言うのか と書く。徹底して普通の人の目で郷土史を見た。西郷さんと女性のことも書いた。」(天声人語より) 奄美人には著者のような視点はなかば常識的だが、本書の意義は繰り返すようだが鹿児島人が問題を提起している点にある。開国130年にしてやっと、薩摩藩も武士たちの愚かな眠りから目を覚ましはじめたのだろう。鹿児島の郷土史の歴史的金字塔と言っても過言ではない常識をひっくり返す内容! とにかく面白い!
(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)

(帯より)
エッ!西郷さんが千五百万円!!
大久保ドンが一千万円の月給だったと!! タマガッタ!!
郷土史の常識をひっくり返す内容!とにかく面白い!
逆説あり、裏面史あり!
逆もまた真なり、か?
正面からは美談でも横目で見れば違う!!
朝日新聞の”天声人語”も応援!!
(内容より)
 「一口ご免なんせ 横目で見た郷土史」は昭和六十三年(1988)の十二月から、平成五年の十二月までの一年余り、朝日新聞鹿児島版に連載したもので、その間「痛快」とか「目からウロコが落ちたようだ」といった激励の投書や、郷土の誇りとして明治の偉人西郷崇敬の念に、冷水を浴びせられた気持だとの投書もありました。
 郷土史を考えるとき、学者先生たちと違って学問教養の低い我われ民衆から見たら、どう思うかという視点で精一杯かいてみました。
 大所高所からのご批判もありましょうし、低い視点からの共感も期待しておる所であります。

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