2001年8月15日記

水が育む島 奄美大島
写真・文   常田 守

2,500円+税 発行所  (株)文一総合出版


ダチコウの常田守がついに出版した。
ついに、と言わざるをえないほど,待たれていたからだ。

1980年に奄美に帰ってからの彼とアマミとのかかわりが、アマミの自然をとおして伝わってくる。彼はクロウサギ裁判で有名な「奄美自然の権利訴訟」の原告の一人である。現在も高裁で控訴中だ。では、「アマミ」とはなんだろう?

「本書ではしばしば、「アマミ」ということばが使われているが、これは筆者の造語で、豊かな自然環境と多種多様な生き物たちを含む奄美大島を一つの有機体としてとらえ、それに「アマミ」と名づけたものである。」

地球は生き物である。ならば、当然奄美大島も生き物にはちがいない。
しかし、彼のまなざしは読書による観念の産物ではなく、20年に及ぶ奄美大島での自然観察からうまれたものである。ぼく自身も1980年に奄美に帰ってきたのだが、はて、なにをしてきたのだろうか?本の観察?

「今、この時代に島で生きている者は、祖先から受け継いだこの奄美大島の自然を次の時時代へどのように「自然のまま」伝えるのか、もうそれを考えて行動するときに来ており、われわれは今、その時代に生きている。」

まさにそのとおりである。もう行動するしかないのである。
彼の優しくも厳しい視線を本書でたっぷり味わってほしいと思う。(森本)拝


(目次)

はじめに
 奄美大島の成り立ち…4

アマミの四季
3〜4月  黄金色に染まる山々…10
5〜6月  梅雨の季節…24
7〜8月  活気づく島の生物…44
9〜10月  タカの到来…60
11〜12月  島の秋…68
1〜2月  冬の到来…78
3〜4月  再び春に…84

アマミに暮らす仲間たち

アマミノクロウサギ…88
イノシシ…90
ケナガネズミ…90
ルリカケス…92
オオトラツグミ…93
アマミヤマシギ…94
オオアカゲラ…96
アカヒゲ…98
リュウキュウコノハズク…100
カラスバト…101

夜のアマミ
…102

アマミの陸生脊椎動物リスト…106
さくいん…116
あとがき…120


直前へ戻る INDEXへ