こんな本入りました!


「こんな本はいりました」2000/10/31

『奄美民俗雑話』


登山 修著
2000年9月10日発行・春苑堂書店
1500円(税別)・229頁

目次(別項)が示しているように、本書は奄美という奥の深いコスモロジーを、「神話・伝説」、「ことば」「地名」「からだ」、「星空」「自然」「小動物」「野鳥」「貝」「植物」などをキーワードにして、著者のこれまでの研究の成果を縦横無尽に披瀝している。

後半の「民間信仰」の部の「出産の習俗」と「霊魂と禁忌」も興味がつきない。一気に読める。「くらしの民俗」の「なりわい」と「食べ物」では、今はたえてしまった奄美の習俗がつぶさに描かれている。

よもやま話ふうに奄美の広く深い世界を一人で細密に活写できるのは、著者が奄美大島の南部に生育し、長く加計呂麻島をはじめ大島地区中学で教職のかたわら民俗学のフィールド研究に携わってこられたからだろう。

名著の『蘇刈民俗誌』や『奄美民俗の研究』をはじめ共著など六冊を発表してきているので、汲めども尽きぬ味つけができるのだろう。肩のこらない奄美の民俗雑話集をおすすめしたい。毎週が読書週間のアナタへ。

「奄美の民俗の古層には日本の古代文化のモチーフが綾織りされている。その悠久な古代の面影の片鱗にでも触れてみたい。本書では奄美の神話・伝説に始まり、妖怪、民間信仰、天体、自然、生業等についてふれながら、奄美民俗の基底を流れる先人たちの世界観を探ろうと試みた。四方山話の体裁をとったので、民俗雑話とした。」(帯より)

(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)


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