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必死は美しいか

No.241(2022.05.20)


気持ちよく晴れた日中になんとなく庭の様子をながめることがあります。

アゲハチョウが蜜を求めてひらひらと空中を舞っている姿に目を魅かれました。

ただそれだけのことに美しさを感じました。

その時にふと思い出したのは、バードウォッチングに関する専門家の手ほどきでした。

小鳥たちの姿がかわいらしく見えても実際は日々死に直面した過酷な生活をしている、という認識をもって観察鑑賞すべきだとのこと。

考えてみればアゲハチョウも同様でしょう。

生き残るために常に必死なわけですから。

そのことを思い起こしてから見ても、やはり美しさを感じてしまいます。

野生動物や昆虫が生きる(食べる)ための行動をしている姿を美しいと感じることは多いように感じます。

もちろん例外はありますし、感受性の個人差にもよるでしょうけれども。

人間界に目を向けてみましょう。

「あいつ必死だな。」

と聞いて良い印象を受けますか。

称賛ではなく侮蔑としての言葉にしか聞こえません。

ただしこの場合、必死、という言葉の選択自体が誤りではないかと考えます。

「あいつ狼狽してるな。」または「あいつパニクってるな。」という意味合いで使っていると思われます。

日本語は正しく使いましょう。(笑)

それはさておき、道徳や倫理を説くつもりはありませんが。

金儲けをするのにできるだけ楽な方法をさがさないのはバカ。

とまでは言わないものの、毎日なるべく楽をして暮らしたい、という価値観が当然のように語られていると感じる機会が多いです。

ひたいに汗して働く。

このことを美徳と考えるのは時代錯誤なのでしょうか。

自然界をながめれば、こちらが「普通」であることを心しましょう。


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