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関節痛と可動域

No.232(2020.05.28)


私が左股関節の激痛に苦しんだのは確か3年前であった。

当時安倍首相が股関節炎になり治療のため安静にしていたので印象に残っている。

首相とは同世代であり、一種の老化現象かもしれないと思った。

股関節あたりの体側部に腫れがあり、寝返りがうてないほどの痛みだった。

例によって医者の世話にはならず、安倍首相と同様にできるだけ安静にしていたところ数日で完治した。

日常生活に支障はなかったことから、歩く際の痛みはなかったように記憶している。

最近、といっても半年くらい前からだが、今度は右の股関節に痛みを感じるようになった。

初めて軽い痛みがあることに気がついた時には、自然に治るだろうと思っていた。

ところが痛みは徐々に大きくなっていった。

数ヵ月後には日常生活にやや支障がでる程度の痛みにまで悪化した。

一番痛みを感じるのは立っている時であった。

歩いたり座ったりすると痛みは消えたので、ただじっと立っているのが一番つらかった。

今回は腫れはなく、痛い部分に触ったり押したりしてもまったく痛みは感じなかった。

痛みの原因に思い当たるふしはなかったことから、依然として自然治癒を期待していた。

が、よくなるどころか、さらに痛みは増していくことが日々実感された。

とうとう歩いている時や、座っている時にさえ痛みを感じるまでになってしまった。

ただ、一日の中で時間帯によって痛みの程度に差があることにも気がつくようになっていた。

そこで自身の痛みについて客観的に観察してみたところ、痛みが増すタイミングが分かった。

車の運転をした後と入浴後に、あきらかに痛みが増していたのだ。

入浴後に痛みが増したことから、体温に関係があるのかとも考えたものの、それでは運転後の痛みの理由が不明のままだ。

色々と考えをめぐらしているうちに、あることに思い当たった。

痛みだしてから真向法の第一体操を控えていたことだ。

この体操は、ひざを立てて腰をおろす、いわゆる体育座りのままひざを開いて床に着ける姿勢になるのである。

普通の人であれば、ひざが床に着くほどの柔軟性はないと思う。

私の場合、股関節が柔らかいので簡単に開くことができてしまう。

この体勢は股関節に刺激が強すぎると思えたので体操を中止していたのだ。

このことから、もしかしたら姿勢に関係があるのかもしれないと考えたのだ。

さらに、そういえば運転時と入浴時に右足の股関節を右回りに90度回転させている、との共通点にも思い及んだ。

運転する際には、なんとなく楽なので、右足をがに股のように開き加減にする癖がついてしまっていた。

また入浴時には、いすに腰かけている。

そのため顔を洗う際に、ひざを曲げた両足を思い切り開いて前かがみになる。

さらに悪いのは、身体を洗う前に手ぬぐいに石鹸をこすりつけるときの姿勢だ。

ひざを曲げた右足を90度開いて、太ももの内側に手ぬぐいをのせていたのである。

これまた普通の人はとらない、いや、とれない不自然な姿勢だと思う。

これらの姿勢、右足の使い方に問題があると考えるようになって思い出したことがあった。

ネットで見た情報の中に、関節の可動域が大きいのは必ずしも良いことではなく、かえって怪我の原因になることもある、とあったのだ。

まさに人並み異常に大きい私の股関節の可動域が痛みの原因だったのだろう、と思えた。

この主因に加えて、加齢老化と運動量の減少が遠因になったのだろうと推察した。

それ以降運転中がに股にならないよう注意し、入浴の際にいすの使用をやめて正座で爪先立ちの姿勢をとるようにした。

また多少の痛みがあっても、散歩する距離をできるだけ長くするように心がけた。

即効性はないものの、痛みの悪化は止まった、というか足踏み状態になった。

運転時の姿勢は癖になっていたので時々は無意識にとってしまっていて、降車後に痛んで気がつくこともあったが。

それでも痛みの程度は少しずつ薄皮をはがすように軽くなっていき、痛みを感じる頻度も下がっていくことが実感できた。

痛み始めてから、原因に気づいて改善策を実行するまで約半年かかっていた。

よって完治するまでには同様に半年はかかるだろうと覚悟している。

私の場合股関節だったが、可動域が大きいために問題を起こす関節はほかにもあるようだ。

普通の人と比べて可動域が大きい関節が身体のどこかにある人は、要注意かもしれない。

ご自身が該当すると心当たりのある方は、まずはネット情報で調べることをおすすめする。


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