トップページへ

白昼堂々詐欺未遂(後編)

No.225(2019.07.13)


私は電話での話だけではシンク交換の必要性を確認することができませんでした。

しかし、仮にシンクの交換が本当に必要だったとして、呼んだ業者に頼まなくてもほかにいくらでも水道業者はいます。

そのことを相手に伝え、そちらに工事を頼んだ際にはなにか特別なメリットがあるのかをたずねてみました。

すると、アフターサービスに関して、私が責任をもってずっと担当するので担当者がころころ変わるような心配はありません、とのこと。

私は心の中で、個人の水道屋さんなら当たり前なんですけど、と思いましたが口には出しませんでした。(笑)

人は悪くなさそうな印象を受けたので、続けて扱っているシンクのメーカーをききました。

私は知っているメーカーでしたが、一般の人だったら多分聞いたことのないメーカーでしょう。

悪いメーカーという意味ではありませんけど。

ただ私はその時点で、シンクを交換する必要が本当にあるのかどうかを別の業者で確かめる必要があると判断していました。

それでも一応シンク交換の見積もりくらいは頼んでみてもいいか、と思っていました、見積もり無料が売りである業者でしたし。

相手はそれを察したのかもしれませんね、というのも話がふくらんでいったからです。

実家台所の床は、老朽化のためにところどころ踏むと少し沈むところがあり、そのことを指摘してきたのです。

しかも、母親が高齢であるから心配だろう、と余計なお世話付きで。

私は床の劣化については当然知った上でそのままにしておいたのですが。

なぜなら床に差し迫った危険性はないし、むしろ床の改修という大きな工事で母にストレスを与えることの方がリスクが大きいからです。

床の工事をするつもりのない私は試しにと思い質問してみました、シンクを交換する際に床の強度は問題ないか、と。

すると、ちょっと待ってください、もう一度見てきます、といったん電話口を離れました、いかにも演出っぽい不自然さで。

もどってくるなり、フィフティーフィフティー五分五分ですね、との回答。

なんで最初にいわないの、と心の中でつぶやいた私は、この時点でこの業者は信用できないと確信しました。

そしてこう答えました、床の工事をするかどうかを母とよく相談して後日こちらから連絡する、と。

とりあえず今日のところはできるだけの応急処置をして、と話している途中でで相手は受話器を放してしまったようでした。

そのあとに続けた、その分の料金はお支払いしますから、は聞かなかったようです。

結局明らかに手を抜いた応急処置をして料金はとらずに名刺とシンクのカタログを置いて帰ったそうです。

もう1社も同じ穴のむじなで、どうせ似たようなものだろうと推察されました。

地元にある個人経営の水道屋さんが一番安心なのです、不測の事態がない限りは。

母にそのことを話すと、十数年前に今回の水漏れと同じところを修理してもらった水道屋さんがあるとのこと。

名前は忘れたそうなのでお店の場所だけを確かめておきました。

シンク交換の必要性は半信半疑だったものの、もし本当に必要で床の工事も必須だとしたら、と悪い方に考えてしまう心配性な私です。

その性格は母に似たらしく、母子で翌朝は不安のため早朝に目覚めてしまいました。(苦笑)

私は朝一番で地元の知り合いの水道業者に電話してシンク交換が必要である可能性を確かめました。

シンク流し台が古く現存しないであろうメーカー製であると説明したところ、シンクごと交換する必要があるケースも多い、とのこと。

これは専門家に実際に現場を見てもらわないと正確な判断はできないと思いました。

そこで母に教えてもらった場所をたよりにグーグルマップで調べてたところ、水道屋さんはありました。

しかしクリックしても電話番号が表示されず、店名をグーグル検索してもでてきません。

ストリートビューで外観だけでも見てみようと表示させたところ、幸運にもお店入り口に大きく電話番号が書いてあり読み取れたので、さっそく電話してみました。

電話にでてはくれたものの、地の果てからだったためか、不信感があったらしく最初はおっかなびっくり(死語か)の対応でした。

今回の状況と以前の修理実績を話すと安心した様子で、午後に見に来てくれるとのこと。

結局なんのことはない、修理可能な水漏れで、30分くらいで工事は完了したのでした、しかも料金は一万数千円で。

母がいうには、流し台排水口の部分まで含めて排水管一式の取り替えできれいな仕上がりとのことでした。

もちろん最初に呼んだ業者は断わり、これで一件落着。

とはなりませんでした。

約一週間後のこと、以前に実家の外壁塗装工事を頼んだことのある総合リフォーム会社が突然実家に来たのです。

定期巡回点検をしていたら床下の異常がみつかり追加調査に来た、といういい分でした。

どうやら最初に来た水道業者が情報を伝えたのでしょう、偶然にしてはあまりにもタイミングが良すぎます。

私が電話でその業者と話すと床下断熱材がどうのこうの、と床の劣化補修とは直接関係ない話をするので今度は即座に断りました。

すんなり帰ったようなのでブラックとはいわないものの、グレーですな。

そんな連中ばかりなのでしょうか、リフォーム関連業界って。

それにしても恐るべしグレーネットワーク。

白昼の詐欺未遂が2回たて続けに起こった顛末でした。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む