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地方行政に接して (10)

No.91(2002.08.01)


私が住んでいた農村地帯では地区住民の行政側職員に対する評価、というか印象、感想は以下のようなものが主でした。

今(現在より6年以上前の時点)の課長職に仕事のできる人はいない。今の課長が公務員になった頃(昔)はなり手が不足していたので私でもその気になればなれた。今となっては(楽な仕事で待遇が良いのに)当時ならなかったことが悔やまれる。

このような考え方をするのは権限をもっている上に経済的にも安定している地方公務員を妬む気持ちが根底にあるからなのです。

地区住民の妬みの暴発を防ぐ目的があるのか私が住んでいたところでは、同一家族内に二人の役所職員がいる場合に一人が役付きになったらもう一人は自主的に退職する、という不文律さえありました。

都会や地方都市とは異なり田舎では住民と行政は至近距離にあるのです。

最近市区町村合併について話題になることが多いです。

地方公務員としては将来合併による人員削減が行なわれるのではないかと警戒するのが普通でしょう。

地区住民は地方公務員という地元での希少な安定した就職口が減るのではという不安を抱くでしょうし、市区町村議会の議員さん達も定数削減に結びつくと用心するでしょう。

結局、市区町村合併を積極的に押し進める勢力は地方自体のなかには皆無なのではないかと私は考えています。

良いか悪いかは別として、どうしても合併させるのなら国側が「ムチと飴」を上手く使い分けて強引に進めるしかないように思えます。

該当する地域にすんでいる住民はことの成り行きを注視し続ける必要があります。


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