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地方行政に接して (7)

No.88(2002.07.01)


よそ者でありながら自治公民館長(行政区長)を務めさせてもらった時のお話です。

たまたまその年に我地区は私有地の境界線を確定する通称地籍調査の対象になっていました。

もちろん基本的には役所の職員が中心になってすすめる事業です。

が、地区民の私利私欲がからんでくる難しい問題が起こることが予想されるためか、地区民のなかから数人の推進委員を選出するよう行政側から地区に要請がありました。

公民館長は地区の代表として自動的に委員になることが恒例となっていたので私もその経験をすることになりました。

推進委員の待遇は臨時職員扱いで規定通りの日当が支給されました。

梅雨から初夏にかけての蒸し暑い季節に、管理が不十分な山林に入ったり急斜面の登り降りをしたりと肉体的にきつい仕事でした。

しかしそれ以上に辛かったのは、境界線の位置で意見が食い違った際に普段は見えなかった各人の本性が表われるのを目にすることでした。

それに対する慰労の意味があるのかもしれませんが、やたらと飲み会が多かったです。

職員と委員の初顔合わせとなる説明会の後に「入れ込み」と称する懇親会があり、予定を半分消化した時に委員だけで飲み会をし、完了したら再度職員とともに「打ち上げ」で飲むのでした。

しかも後日には委員だけで一泊の旅行に2回も行きました。

各委員が毎日数百円の旅行積み立てをしていたものの、どう考えてもそれだけでまかなえる金額ではありませんでした。

実は行政内部で勝手に我々委員が仕事をしていない日にも空日当を支給するかたちで旅行の予算を捻出していたことが後日判明しました。

行政区長の任期を終えるにあたって書面で首長にこの不正な問題を提起しました。

すると即座に、現場で仕事をした係長の上司で現場経験のない課長が我家に事情説明に来ました。

先ずは謝罪し「前任の課長が始めたことで私は把握していなかった、来年からはこういうことがないようにする」とのこと。

このようなことは日本全土で日常的に行なわれているのでしょうし、それが良いか悪いかを断定するのは差し控えさせていただきます。

ただし、推進委員の経験者のあいだでは、この錬金術を採用した前課長の評判がすこぶる良かったという事実だけは申し添えておきます。


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