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農村で暮らす (2)

No.58(2001.08.11)


最終的に決めた移住先は広大な土地に建っていた中古住宅でした。

そこに住んでいた方もよその人で、土地を購入して家を造っていたのでした。

そこは地目が農地になっている土地も含んでいたために、所有権を移転するには農業委員会での承認が必要でした。

何かの本でそのことを読んだことがあった私は若干不安を感じました。

売り主の方が、ご自身の土地売買時に世話になった司法書士にまかせれば大丈夫だと教えてくださいました。

そこで仲介した不動産業者に同行してもらいさっそく事務所を訪れました。

有機農業にも挑戦してみたいという話をしたところ、それなら新規就農で大丈夫だろうとのことでした。
もっとも仕事の当てはないものの農業で生計を立てていこうという気持ちは最初から私にはありませんでしたが。
当時は私も30代にはいったばかりという年齢だったので可能な申請方法だったようです。

委員会に先立って移住先の地区選出の農業委員に挨拶にいっておいた方が良いとのこと。要するに根回しです。
日を改めてその司法書士の方と一緒に焼酎をもって委員宅に挨拶に伺いました。

その後特に問題もなく無事に名義の書き換えを終えました。
ただし、相続による共有部分があるなどしたため最後の一筆の名義変更が済んだのは移住してから半年後でした。

そこの土地柄ではこのぐらいかかるのは普通なのですが、都会の感覚からすると随分事務処理が遅いと思ったものです。

およそ8年後に農村を離れる際に、私の移住に反対した委員会出席者に対してその司法書士の方が反論し説得した旨を当人から教えていただきました。

私の農村暮らしは最初から地元の人達を困惑させ、また迷惑をかけてもいたのだということをその時に思い知らされました。


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