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ブランドイメージ崩壊

No.100(2019.09.20)


写真を趣味としていない私は、スマホ依存症の人たちとは異なる理由でカメラに関心がありません。

そんな私ですが、ニコンはカメラがデジタル化した以降も超一流メーカーである、と思っていました。

写り具合や交換レンズに特別なこだわりをもっている人たちが選ぶメーカーという印象です。

興味のない分野のことなので、世間一般の評判とは少々ずれがあるかもしれませんが。

そのニコンに失望させられ、今後は一切信頼しないと決意させられる出来事がありました。

私はスナップ写真程度しか撮ることがないので、安価で持ち運びやすいコンパクトデジタルカメラを利用してきました。

どこでも手に入れやすい単三乾電池が使えるものを選んでいます。

昨年7年間使い続けた富士フイルムのデジカメFinePix AV110に不具合が発生しました。

修理すれば費用がかかりますし、もう十二分に働いてくれたので買い換えることにしました。

乾電池で使えるものを探したところ、ニコンのCOOLPIX A10だけしかありませんでした。

価格は安いしニコンなら間違いないだろうと即購入しました。

撮影してからSDカードに記録するまでに少々時間がかかるので連写はできないものの、私の用途にはなんの不足もなく使える製品でした。

ひと月に10枚弱程度の撮影頻度で普通に使用できていました。

ところが先日のこと突然電源が入らなくなってしまったのです。

電池が切れたのかと思い、新しい電池に入れ替えてみても同じ状態でした。

そんなに長く使った記憶がないので確かめてみると、あと1週間くらいで保証期限の1年というタイミングでした。

無償修理期間ギリギリでよかった、と急いでネットで修理依頼方法を調べました。

宅配便のピックアップサービスのみが受付窓口になっていたので、ネットで申し込んだ後発送しました。

数日後にメールで修理受け付けの通知が届き、修理代金が税抜8,472円となっていました。

有償になる理由が書いてなかったので問い合わせ先のナビダイヤルに電話してみました。

すると現在サービスを停止中との録音が流れました。

そんなことあるのか、と思いましたが、都内の固定電話にかけ直しました。

案の定そちらに電話が殺到しているらしく何回かけても話中状態なのであきらめました。

代わりにニコンのホームページから質問用のメール送付先をみつけ、修理が有償になる理由の説明を求めました。

土日をはさんで翌月曜日に行き違いで郵便で修理見積書が届きました。

保証期間内であるにもかかわらず、ピックアップサービス代(税別1,700円)と修理代を合わせて税込9,150円という見積でした。

保証期間内ですが、電池室内端子液漏れ腐食・起動不具合の為、有料修理とさせて頂きます。」とのこと。

しかも、「進行後、内部腐食や本体部破損がある場合、修理不能となる場合がございます。」と予防線をはった記述が続いていました。

カメラ自体は1年前にネット通販のアマゾンで6,609円で買ったものです。

新品を買い直した方が安上がりなのではとネットで調べたところ、現在の販売価格は修理見積金額よりほんの少しだけ高くなっていました。

微妙ですな、ねらったのかニコン。(苦笑)

この見積金額で修理を進行するのか、修理を止めて返却するのかの返答をファックスか電話でする手順になっていました。

修理代を払って万が一修理不能になったらまったくの無駄な出費になってしまいます。

修理しない、という選択しかあり得ないだろ、と即決断しました。

ファックスはもっていないし電話は通じないだろうからとメールで修理をしないで返却するよう伝えました。

製品に付属してきた電池を入れて普通に使っていて、なおかつ電池の使用期限が過ぎていないのに液漏れを起こし、それで有償修理という経緯はすんなり納得できない、という一文を添えておきました。

するとニコンから、後日電話で連絡するとのメールが届きました。

その二日後に外出から帰ると留守番電話にニコンからの伝言が残っていました。

修理に関する説明はなかったので、再度かけてくるだろうと翌日まっていましたが電話なし。

翌々日こちらから試しにナビダイヤルしてみると、今度はつながりました。

ナビダイヤルを停止していた理由は台風が接近中だったため、とその時知らされました。

修理受付番号を知らせた後、話の本題に入りました。

まず驚いたのが、私が送ったメールの一便目の内容はオペレーターに伝えられていたものの、有償であることに疑問を呈した二便目のメールの内容をオペレーターがまったく知らなかったことです。

社内連絡が円滑になされていない、というか、あまりにもお粗末過ぎ。

修理しないで返却というこちらの返答も知らないという有り様。

二便目のメールの内容を口頭で伝え、修理不能の一文で修理を中止したことを説明しました。

すると、あの一文は修理内容に関係なくどの修理見積書にも載せている定型文だとのこと。

だったとしても、そんな言い草では顧客の神経を逆なですることが分かっていない様子。

ものの言い方の基本ができていない印象です。

ただ、修理不能だった場合には修理代を一切請求しないということが分かりました。

そして修理後の保証は同じ故障が半年以内に起きた場合のみ、とのこと。

ってったって今回は電池の液漏れなので、また起こしたらこちらの責任になるんじゃないの。

と言いたかったのですが、言ったところで意図は通じないと思い言うのをやめました。

また、製品に付属している電池で起きた旨の話に入った際に、製品に電池が付属しているかどうかも把握していないオペレーターに唖然。

電池が国産品ではなく、なおかつ小売用でもない中国製の安心して使えるかどうか不明のレベル、と伝えたかったのに、これでは無理。

単にオペレーターの能力のせいではなく、社内の部署間で情報が共有されていないことが問題なのは明らか。

これが天下のニコンの内情なのか、とあきれさせられました。

修理しないで返却の場合にはピックアップサービス代とは別に返却手数料として税込1,080円請求するとのこと。

せめてその返却手数料くらいサービスできないのか、とききました。

するとオペレーターは、上席の者に確認しないとうんぬん、と(不完全な)マニュアルにそった回答を。

もう時間はもったいないし、対応に腹も立ってきたので、じゃあいいです、と邪険に言い放ってしまいました。(苦笑)

その翌日ニコンから、修理が完了しましたので返送しました、と定型文メールが届きました。

そこには請求金額税別1,700円との記載が。

さすがに返却手数料をサービスしたのか、と半信半疑な私。

故障したカメラがそのまま返送されてきた際に代引で支払わされた金額には、返却手数料もしっかりと加算されていました。

オペレーターと私のやりとりを録音したものを上席の人は確認したのでしょうか。

それともオペレーター自身が上席に聞かせるかどうかの判断をしているのか。

どちらにしろ製造部門以外の社内体制は、めちゃくちゃというのがふさわしいと思います。

おっと、製造部門にしても高級品を作る技術はあっても、安くてそこそこの製品を作る技術がないのかもしれません。

価格競争のなれの果て、でしょうか。

私は今までさまざまなメーカーに問い合わせやクレームの電話をしてきました。

会社によって対応のレベルはまちまちなだったものの今回のニコンほど誠意のない対応は前代未聞です。

東芝、シャープ、パイオニア、と残念な展開が続きました。

ものづくり大国と自画自賛するのもいいですが、メイドインジャパンが悪い意味(安いけれど品質が悪い)で使われていた時代があったことを伝承してこなかったツケが回ってきたのでは、と嫌味を言いたくなる今回の顛末でした。

今度は乾電池が使えるかどうかにこだわらず、もう少しましなコンパクトデジカメを選ぼうと反省しました。

やっぱ安物買いは駄目ですね。(私の定型文)


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