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さらばベータよ

No.36(2003.07.10)+(2020.02.27)


収納場所を確保する必要に迫られ、先日重い腰を上げてビデオテープの整理をしました。

昨年の8月にソニーからベータ・ビデオデッキ生産終了の発表がなされた以降何も行動を起こしていなかったので、150本あまりのベータ・ビデオテープはそのまま手付かず状態でした。

なんせ発表と同時に開設されたソニーベータマックスご相談センター専用フリーダイヤルに問い合わせて、5年前に修理不能と宣告された我家のベータ・ビデオデッキSL-F11についてもう一度質問しようと思ったまま1年近く経ってしまったわけですから。

テープを廃棄する前に念のため修理の可能性があるかどうか確かめてみようとその日の午前中にやっと電話しました。

担当者の女性に過去の経緯を話したところ折り返し電話するとのこと。

デッキが直る可能性はなきに等しいと考えていた私は返事を待つ間にテープをゴミ袋に入れる作業を始めました。

テープの約半数はビデオレンタル店から借りた80年代後半から90年代前半にかけての主にハリウッド映画をダビングしたものなので、それらに関しては捨てるに際して何のためらいも感じません。

残り半分はテレビの音楽番組を録画したもので、海外アーティストの来日公演などのコンサートものも数多くあります。

中には内容も素晴らしく何度も見て愛着を感じているものもかなりの数含まれているので、テープを処分してしまったら二度と見ることができないと思うとちょっぴりさびしい気もしました。

そういうものだけでもベータ・ビデオデッキが故障する前にVHSテープにダビングしておけば良かったと悔やんでも後の祭りです。

午後になっていかにもクレーマー担当者風の男性から電話連絡がありました。

慇懃無礼な雰囲気を漂わせていたものの、こちらがもはやソニーという企業に対して何も期待していないし今後同社の製品は一切買わないと決めているためか不思議と腹は立ちませんでした。

同氏の説明によるとSL-F11の交換部品で残っているのはヘッドとピンチローラーだけでそれ以外のメカ部品はないとのこと。

よって修理できる可能性はほとんどない、と作り笑いしながら告げました。

それでも直るかどうか試したいのなら福岡のサービスセンターに送ってもらうしかないとも言いました。

私がもしまだベータに未練があれば、送料着払いで受け付けるのが当たり前だろ、と怒鳴りつけるところでした。

話のついでにVHSと比べてベータはカビに弱いと指摘すると、ベータは規格上VHSほど余裕がありませんからね、と平然と応える始末。

VHSだけではなくベータのテープであってもカビ取りサービスをしてくれる店があることを話したら驚いていました。(勉強不足)

商品を売りっぱなしで後は無責任というこのような会社とは縁を切りたくなるのが道理でしょう。

これでテープだけでなく壊れているデッキも同時に処分することに決まりました。

5年前にデッキは再生不良と言う故障の症状だったので現状はどうなっているかを捨てる前に試してみました。

電源は入ったもののテープのローディングすらしないという状態にまで症状は悪化していました。

さて、最終的に私的映像が録画されている2本のベータ・テープだけは手元に残すことにしました。

そのうちの1本は少々カビが生えているので上記のお店でカビ取りをしてもらうことになります。1本あたり3,000円也。

そしてその2本は同店でDVDに焼いてもらうつもりです。120分までメディア代込みで1,800円也。

それが済めばベータマックスという規格とは永遠におさらばです。

以下余談になります。

ベータのテープと一緒にVHSのテープも十数本捨てました。

酷くカビが生えたものと、少々カビが生えていてなおかつもう見ないだろうというものです。

手持ちのVHS市販音楽ソフトで気に入っている作品の中にも少々カビが生えているものが数本ありました。

一か八かでその中の一本をデッキにいれ、最後まで早送りして巻き戻しをしてみたところ、予想通りほとんどカビは取れていました。

しかし、そのカビがヘッドに付着したためかデッキが再生不良状態になってしまいました。

急いで乾式クリーニング・テープを数回使ってみましたが改善されずに画面はノイズだらけのままでした。(冷汗)

続けて湿式クリーニング・テープを使ってみたら1回で直りました。(安堵)

VHSテープは少々のカビなら問題ないということが実証された一件でした。

追記(2020.02.27)

この記事を読みにきた方は、映像(動画)記録方法としてビデオという方式があったことを知っているでしょう。

ある世代以降の若い人たちはビデオというテープを使う方法は知らず、映像記録といえばディスクかメモリーになるでしょうから。

というよりも、動画は気軽にスマホで撮るもの、というのが一般常識になっているかも。

もはや「昔ばなし」になっていますかね、ここでの話題は。(苦笑)

この記事以前に、第4回「ベータというビデオがあった」を載せた際には不快なリアクションがあったことを覚えています。

恐らくソニーと何らかのつながりがあると思われる人物から、匿名でメールが届いたのです。

上から目線でこちらを見下したような文面で、ベータ方式の悪口を書くな、というような内容の脅しともとれるような嫌なメールでした。

私としてはベータ方式の長所も併記したつもりだったので、読解力がないくせにプライドが異様に高い奴(失礼)、と感じたので無視してやりましたっけ。

当時は、自分が言いたいことだけを一方的に言いっ放しの匿名メールが時々届きましたね、他にも。

おっとっと、閑話休題、閑話休題。(笑)

映像の配信や放送をフローとするならば、ディスクやメモリーにコピー記録するのはストックとなるでしょう。

クラウドという利便性の高いストック方法があるにはるものの、エネルギーを消費しますし、他者に依存しているという不安感が残ります。

大昔のテープ方式もディスク方式も経年劣化でデータが消えてしまうことがあります。

形があるものは壊れる、という真理をも覆すようなデータ保存法はあり得るのか。

そんな画期的な技術があらわれるとしたら、私が生きているうちであって欲しいものです。


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