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酒を飲まなくても肝硬変に

No.23(2002.11.24)


メスで満13歳(犬の年齢に換算すると91歳か?)になる我家の愛犬ノノが肝硬変になり、腹水も溜まってボール状のお腹になってしまいました。

そもそも今年の春頃からノノの肋骨が横に広がったように感じられたので5月に獣医師の診断を受けました。
体温は正常で寄生虫もいないし触診した結果内臓にも異常はないとのことでしたし、予防薬を飲ませているのでフィラリアの可能性はありません。
ただし体重が11.5キロあり、骨格からみた適正体重9キロを超えているので肥満状態だと言われました。

ノノは3回出産した後に避妊手術を受けているので太りやすい体質になっていましたし、また太った原因に思い当たる節もありました。
ですから獣医師からもっと詳しく調べるのなら血液検査だと告げられた時に、まずはダイエットをして様子を見ることにすると応えました。

思い当たる節とは与えるドッグフードの量が多過ぎたということです。

元来我家では通常は犬も玄米食をしていました。
玄米(夏場は分搗き米)と丸大豆を圧力釜で炊いた後に野菜くずなどとともに煮込んでほんの少々塩分を加えたものを常食とし、忙しくて準備できなかった時だけドッグフードで代用していました。

しかし、ノノが高齢になってきたので高齢犬専用のドッグフード主体の食事に切り替えていたのです。

何故なら、以前12歳目前で病死したオス犬が10歳を越えた頃からやせ始めていたことを死後に気付き当時通っていた獣医師に話したところ、犬も老齢になると食べたものの消化吸収能力が弱まるので老犬用のドッグフードを与える方が良いと言われたことが心に残っていたからです。

ドッグフードの適正な量は犬の体重を基準に決められています。

ノノの場合はドッグフードに切り替える際に体重を量った時に既に肥満気味で11キロあったため、与え過ぎる状態が続いていたのでした。

ちょっと考えてみれば分かることですが、適正体重ではない犬に単純に体重ごとに決められた量のフードを与えた場合、元々やせていた犬は益々やせ、反対に太っていた犬はさらに太ることになってしまいます。

一つの目安に簡単に依存してしまった私のミスでした。

玄米を食べていたノノが太り気味になったことにも理由があります。

2年前の夏にオスの仔犬をもらってきました。
パルと名付けたその犬は非常に食が細いというかつて我家で飼った犬にはない性質をしていました。
一方ノノの方は年甲斐もなく与えればいくらでも食べるという犬なので、しばしばパルが残した餌をノノに与え、それで少しずつ太ったのだと後になってから気が付きました。

医者に行った後はフードを適正量にし、玄米主体の餌を与える際にもカロリー計算をして与え過ぎないようにしました。
その成果か体重は少しずつ減っていき、見た目にもスリムになってきました。

夏の暑い盛りになると朝の散歩は喜んで行くものの、まだまだ猛暑の余韻が残る夕方の散歩にノノは行きたがらなくなりました。
今夏は一際暑かったことと、ノノの年齢をも併せて考えると、犬の夏バテだろうとその時は考えていました。

秋口になり涼しくなってきた頃からまた太り始めたように感じ、体重を量ってみると少し増えていました。
多分夕方の散歩に行かないことが続いたので消費するカロリーが減ったせいだろうと思っていました。

10月に入ると胸ではなく腹の部分が少し膨れ始めたので心配になり、獣医で血液検査を受けることにしました。

獣医師は姿を見てすぐに腹水が溜まり始めていると診断しました。
心電図をとり血液検査も受けた結果、腫瘍の可能性は低く初期から中期の肝硬変だと結論されました。

腹水をぬく薬を処方され2回ほど服用してみましたが、ほとんど効果はありませんでした。

獣医師と薬の成分などについて電話で話し合った際に、いつ合併症を起こしてもおかしくない危険な状態であるから薬を連用すると副作用による内臓の負担が大きくなると助言されました。
また、肝硬変自体の治療法としては高栄養の餌を与えて安静にしているしかないとも教えられました。

それを契機に薬に頼ることを一切やめました。

人間の腹水に対する民間療法のそばパスターをしばらく試してみたものの、犬には汗腺が無いためか温熱効果以上の効き目はないようなので中止しました。

身体はガリガリにやせ腹水は徐々に増えていき、今ではお腹がパンパンに膨らんで痛々しい姿になっています。

夕方から朝までは玄関に入れているものの寒い時は冷えるので腹巻をして使い捨てカイロを入れてお腹を温めています。

旺盛ではありませんがまだ食欲があるので、あとはノノの生命力にかけるしかないと覚悟しました。

フードを与えると下痢気味になるので、玄米食か薩摩芋を蒸かしたものを与えています。

腹水を注射針で抜いてやれば気分が楽になるので、それをすすめてくれる知人もいます。
が、そのように飼い犬の腹水を抜いた経験のある人に聞いても、また自分自身がそのように腹水を抜いた体験がある人に聞いても、抜いても抜いてもすぐにまた腹水が溜まるし腹水と言えども体液の一部なので抜いた際には体力が非常に弱まる、と言います。

ノノの表情を観察していると可哀想に感じる時もありますが、下手に情に流されてあれやこれやと身体に負担がかかる処置を重ねると死ぬ際の苦しみが増すので、心を鬼にして接しています。
まだ治る可能性は残っているとも思っています。

医師は肝硬変の原因として肥満をあげていました。

今思えば、10歳以上歳の離れた仔犬とじゃれ続けたのも原因の一つである気がします。
仔犬の身体が小さいうちはよかったのですが、同じくらいの大きさに成長してからは加齢による体力差からノノにとってはかなりのストレスになっていたようでした。
じゃれついてくるパルが鬱陶しく感じるようになったノノは嫌がって怒るようになり、今年の夏からは離してつなぐように変えていました。

犬も人間と同じ様に肥満とストレスが重なると重い病気にかかるようです。


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