本年度の鹿児島県チャンピオンは誰か!

  来る4月29日,日本武道館で行われる全日本柔道選手権の九州予選出場の鹿児島県予選会を兼ねた標記大会が,澄みきった青空の下,平成15年2月2日(日)鹿児島アリーナ武道場で開催された。
 当大会は,柔道本来の姿である無差別級による「真のチャンピオン」を決める本県では唯一の大会である。
 出場選手は,県下13支部,県警機動隊をはじめとする各職域・大学等から選出された総勢35名であった。
 決勝は5年連続決勝戦に勝ち進み昨年に引き続き連覇を目指す宮原選手(鹿児島刑務所)と,初優勝を目指す濱田選手(県警察)との対戦となり,昨年に引き続き同じ顔合わせとなった。
 これまで同大会や国体予選等で幾度となく対戦している両名は,お互いに手を知り尽くしており,また,体格も似かよっていることから組み手争いが続き,双方に警告まで言い渡された。
 この展開を何とか打破したい宮原は,終了20秒前,強引に払い腰にいった。それを何とか返そうとした濱田ではあったが,組み手不十分の彼には払い腰から大外へ変化していった宮原の動きについていけず,そのまま崩れるような格好となり背中から落ちていき技ありとなり,先の警告と合わせて総合勝ちとなり,宮原の連覇が確定した。
 自分に不利な体勢からも技を掛けようとする宮原の姿勢と,相手に組まさず守ろうとする濱田との差が結果として現れたのだと思う。これからの濱田には,チャレンジャーなのだから,ガッツのあるのびのびとした試合運びが望まれる。
 宮原選手初めとする4選手には,来るべく九州大会においてベスト4を目指して果敢に攻めまくり,久しく鹿児島県から選出されていない晴れの全日本選手権出場を果たしてもらいたいものである。


もう一つの柔道

 本年の参加選手の中に,また,県警機動隊の中薗選手の姿があった。
 今年4月35歳を迎える彼の得意技は判定勝ちである。彼の柔道は派手ではないが,確実性のある柔道である。
 不利な試合も,着実な試合運びで,終わってみれば中薗選手に旗が挙がっていくものであった。
 試合は勝ってなんぼのものであって,勝たなければならない。立ち技で一本勝ちを目指すのも美学であるが,
自分の持てる力を最大限に引き出すのも,また,大変なものである。
 かつて日米親善野球の際,日本のプロ野球を『海の向こうにもう一つの野球があった』と大リーガー達が皮肉ったと聞くが,
彼の柔道に『もう一つの柔道』を見いだしているのは私だけではないのではなかろうか。
 今回で九州選手権に7回目の出場を果たした。
 七転び八起きではないが,晴れの日本武道館の畳にぜひ彼を立たせたいものである。


失格者多発

 本年の大会では,ゼッケンがなく失格する者が多数見られた。
 大会要項に明記されているので仕方はないのだが,本部から各支部に注意の喚起があったのだろうか?
かねて,試合機会のない各支部の選手はなかなかゼッケンまでは気が回らないものである。
 昨年までの大会要項にはなかったのだから,今回に限り注意処分とするなど,選手への配慮もあって良かったのではと思われた。